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留学後の就活談

留学に対する不安の一つに就職活動(以下:就活)があると思います。転職が一般的になりつつあるとはいえ、やはりファーストキャリアは大事なので就活は人生の一大イベントです。それゆえ早い人だと2年生から就活を始めたり、3年生になるとインターンシップに複数参加して、場合によっては内々定を得る人もいるため、留学に行くことで「出遅れてしまう」と不安になるのは、ある程度仕方のないことです。

私も留学中は語学の勉強に、日本の大学のレポートに……と手一杯で、そもそも時差があるので時間的にも難しく、ほとんど就活をしませんでした。帰国が年末だったので本格的に就活を始めたのは2023年になってからです。それでも4月中に複数の会社から内定を得て、就活を終えることが出来ました。

私の経験は一事例でしかないので「生存バイアスだろ」と言われてはそれまでですが、誰かの役に立てば良いなぁと思って記事にします。

就活の流れ

私の体験談に入る前に、まずは就活の流れについて確認したいと思います。

全体の就活スケジュールに関して言えば基本的に3月に就活解禁となり、6月に選考を開始する企業が多いです。2024年卒の場合は2023年の3月1日から企業にエントリーが可能になったり、合同説明会が開催されたりしました。

しかしながら、このスケジュールは一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の定めた目安であるため、一般的な企業は守っていることも多いのですが、ベンチャー企業や外資系、日系大手でも一部(特にIT系)では「早期選考」が行われており、3月よりも前から選考が始まることもあります。また、インターンシップ(以下:インターン)が早期選考に関わる場合もあり、インターンの結果が良いと早期選考に招待されることもあります。

個別の選考の流れとしては、まず就活生は企業に履歴書やエントリーシート(以下:ES)を提出し、書類審査を受けます。書類審査が通れば能力・適性試験(以下:試験)を受験し、ここで能力や適性で審査されます。最近は書類審査と試験が同時に行われることも多いです。これらに受かると面接に進み、一次面接に受かれば二次面接、二次面接に受かれば………といった感じで面接が続きます。最終面接に受かれば内定が出て、それに承諾すれば就職先が決まります。

面接の回数は企業によってまちまちですが、特殊な職業(アナウンサーとか)でもない限り、2~3回のことが多いです。面接以外に面談や座談会を行う企業もありますが、これらは就職後のミスマッチを防ぐために行われているのであって、面接の合否には関係ないとされています(実際どうなのかは知りませんが)。

尚、内定は複数キープすることができるので、頂いた内定に一旦承諾しておいて最終的に行きたいところが決まってから、それ以外の企業の内定を辞退することも可能です。法律では入社日の二週間前までであれば辞退が可能であると決まっています。

私の就活の流れ

さて、ここから先は自分語りで恐縮なのですが、私の就活がどんな感じだったのかを書いていきます。
私の場合、前述のとおり2022年の末に帰国したため、2023年の1月から就職活動を始めました。文でずらずらと書いてもわかりにくいので、矢印(日本語変換ゆえの便利な記号!)を使って時系列で書きます。

2022年12月下旬
【留学中唯一の就活】
2021年のインターンの縁で帰国後の事務のインターンに応募&合格!

2022年12月末
【帰国】
帰国&空港から家に向かう車内で親から就活の話をされる……(院進不可決定)。

2023年正月
【就活開始】
年始番組を見ながら就活サービス各種に登録し、自己分析ツールを利用(乱用?)する。

正月明け
【業界&企業研究スタート】
オンラインの業界説明会や企業説明会への参加を開始。
志望業界に向けて勉強開始。
週1回の事務のインターン開始。

1月下旬
【エージェント利用】
年上の従兄弟のアドバイスで就活エージェントにいくつか登録する&ESの内容の添削を受ける。

2月
【説明会三昧】
毎日のように希望業界の企業説明会を受ける&早期先行に応募していくつか面接を受ける。
【番狂わせ1】
記念受験気分で日系大手の早期選考に応募&書類・検査・一次面接通過!
【番狂わせ2】
記念受験気分で外資系の早期選考に応募&書類・検査通過!

3月1日
【就活解禁】
就活解禁なので一応他業種にもエントリー&ES提出。

3月中旬
【面接三昧】
スケジュールから徐々に企業説明会の数が減って面接中心になる。
日系大手最終面接。
外資系一次・二次面接通過。
中堅企業の対面面接を受ける。
ベンチャー企業と中堅企業から内定を得る。

4月
【クライマックス】
日系大手から内々定を得る。
一応出した他業種の選考の対面面接を受ける。
外資系の最終面接通過&内々定!
事務のインターン終了。

終活!

ざっと書き出すと上記のような感じです。私は早期選考で内定を得たので、一番忙しかったのは正月明けから2月、平日は一日に2~3個予定が入っていました。3月は一日1予定、4月は就活の予定がない日も多かったです。

経団連の就活スケジュールに沿った就活をする人の場合は、私のスケジュールを2か月後ろ倒しにした感じになるのではないかと思います。

上手くいった点

私の留学後の就活が割とスムーズに終了した理由として考えられるのは以下の点です。
運要素と努力要素に分けて紹介します。

運要素

帰国が年末だったこと

コロナ禍ゆえ、大学に入学した時に考えていた予定より、留学に行くのは遅れてしまいました。しかしながら、留学開始日がずれたことで帰国が年末になったため、早期選考にも、経団連の就活スケジュールにも間に合う帰国となりました。これは怪我の功名ですね。
まぁ、国公立大学であれば休学は無料なので、仮に夏帰国でも休学することで就活スケジュールに合わせていた気はします。国公立に受かったこと自体、運がよかったと言えるかもしれません。

適性がはっきりしていたこと

私の場合、能力面でも性格面でも向いている業界・職種がはっきりしていました。どの適性検査をしても同じ結果、同じ職業ばかり提案される……どんだけ適性偏ってんだ……?
しかもその診断結果が割と図星だったため、自分の興味と掛け合わせて考えると志望する仕事内容に関して、あまり迷う余地がありませんでした。自己分析は三が日でほぼ終了。そのため、帰国後すぐでも早期選考に取り組むことが出来ました。

就活がオンライン中心になっていたこと

この恩恵を就活生は全員受けていると思いますが、特に地方に住んでいる(しかも志望業界については就活イベントすら行われない地方に住んでいる)人間なので、オンラインで説明会から選考まで受けることが出来るこの時代にとても感謝しています。怪我の功名その2です。

留学前にインターンをしていたこと

先ほども書きましたが、私の場合はコロナ禍で留学の時期がズレたので、3年生のうちに長期インターンに参加することができました。インターンをした企業は内定した業界とは全然違うものの、地元企業なのもあって「今度有給のインターンやるよ」とお知らせをくれたので、帰国後もすぐにインターンをすることができました。インターンの経験は面接で話す内容にもなりましたし、帰国すぐのバイト先がない状況では貴重な収入源にもなったので、非常に運が良かったと思います。

年上の人と喋り慣れていたこと

一人っ子だからか、地方出身ゆえ近所に若者が少ないからなのか、それとも茶道部だからなのか……わかりませんが、私は割と年上の人と話す機会が多く、おじさん相手でもあまり緊張しませんでした。面接官は大体40歳以上(で、大体男性)なので普段から話し慣れている分、緊張度合いは低かったです。ありがとう、身の回りのおじさん&おばさんたち。

努力要素

真面目に単位取得&好成績

入学当初から長期留学に行きたかったこともあって、真面目にコツコツ単位を取得していました。おかげさまで今年は卒論だけ書けば良く、帰国後すぐに就活に専念できました。企業にとっても「取得単位数が足りなくて卒業できない」というリスクがなくなるので、取得単位数が多いのは好印象のようです。
また、企業や職種によってはGPAを重視するのか「たくさん単位取ってるけど成績も良いんだね」と褒められることもありました。なので、ある程度良い成績を取っておいた方が有利です。

留学に行った&一人暮らしした

コロナ禍でも諦めず粘りました。「留学行かなきゃ卒業しない!」とまで言って粘り、留学を実現させました。また、留学先でも語学だけでなく卒論に向けた調査にも励んだので「目的を持って留学した」と面接で話すことができました。
また、日本では実家暮らしの場合、留学は一人暮らしができる貴重なチャンスです。私は寮を選んで一人暮らしをしていたので、その話をすると「じゃあ、日本での一人暮らしは大丈夫だね」と他県の企業を受けた際に安心してもらえました。ホームステイは語学力を伸ばす上では良いのですが、日本で実家暮らしの場合は留学先で一定期間一人暮らしをしておくと、「一人暮らし経験」として語ることができます。

留学以外のガクチカがあった

留学はもちろんガクチカになります。絶対的な切り札です。ただ、それだけだと書き方によっては「この子、学業はすごい頑張ったみたいだけど……」と捉えられるかもしれません。
もちろん学業は大事ですし、ある程度大手になってくると前述の取得単位状況や語学のスコアもしっかり見られるのですが、私が受けた企業で規模に関わらずよく聞かれたのは「グループでの活動経験」です。留学は基本個人プレーなので、部活動やアルバイトなどで「グループで協力した経験」を持っておくと良いです。私は茶道部での活動について話しました。お茶会は1人で運営できないので、話す上ではちょうど良い例でした。

リーダー経験があった

こちらもガクチカに関わることになりますが、「リーダーとして動いたことがあるか」も規模に関わらず様々な企業で聞かれました。私は茶道部で部長をしたので、そのことについて話しました。
ちなみにリーダー経験を聞かれる時、ほぼ確実に「立候補ですか?他の人からの推薦ですか?」と聞かれます。私の場合、部長になったのは成り行きなので、そのことを素直に話しましたが、立候補でも推薦でもないからといって不利になった感触はないです。むしろ「やるときはやる子なんだな」と思われたようなので、嘘までついて「立候補しました」とか「皆に推薦されました」と言う必要はないと思います。
まぁ、個人的には正直「組織にリーダーばっかりいてどうするの……」とは思うのですが。

志望業界・職種に向けて勉強を始めた

志望業界が固まるのが早かったので、1月中には資格の勉強を開始しました。また、志望職種が技術職なので、それが自分に本当に向いているか確かめるために、実際にその技術に簡易的ながらも触れてみました。そういった行動が企業側からは「志望度が高いんだな」「ミスマッチが防げるな」と判断されたと思います。また、特に留学から帰って間もなかったので「この子は行動が早いな」とより好印象が得られたと思います。

難しかった点

今度は逆に留学後に就活する上で難しいなぁと感じた点を挙げます。

インターンによる選考はできない

インターンに参加してその結果選考が優位になる、という状況は、留学に行くとなかなか難しいです。当たり前のことですが、現地に行けないし、オンラインだとしても時差があるしでインターンへの参加自体が厳しいです。インターンを利用した選考をしたい人は2年生のうちに長期留学するか、帰国したあとがっつり1年休学する必要があります。

情報取得が遅れる

いくらインターネットがあっても、やはり日本国内にいるのと外国にいるのとでは、得られる情報量に差があります。やはり時差はネックです。オンラインでもイベントに出るのは至難の業……。
まぁ、日本にいても都市と地方では地域格差(企業への物理的な距離、OB・OGの有無、開催されるイベント数)があるので、留学中はともかく地方の人間は帰国後もSNS等での情報収集は頑張った方が良いです。

就活はまだ先のことと思ってしまう

留学の弊害第一位はこれかもしれません。ただでさえ積極的に動かないと情報が手に入りにくいのに、留学中は「まだ帰国まであと○ヶ月あるし」などと思ってしまい、余計行動を起こさなくなってしまいます。意外と迫ってるんですよ、就活……せめて自己分析くらいは帰国前にしておいた方が良いですよ……。
私は相当偏った人間だったので首の皮一枚繋がったようなものですから、自己分析と自分が行きたい業界くらいは留学中に考えることをおすすめします

個人的なアドバイス

ここから先は私からの個人的なアドバイスです。

就活用にメールアドレスを作る

大学のメールアドレスでも良いのですが、就活中はとにかくたくさんのメールが届くので、大学からの連絡を見失いかねません。そのため、就活及び社会人用にGmail等を作って利用することをおすすめします。

基本はマイナビ/リクナビ

大学からもよく案内される就活ツールとしてマイナビ、リクナビがあります。似たようなサービス・コンテンツなのでどちらか片方で良いのですが、エントリー機能以外にも就活準備講座やWebテストの対策などは就活全般に役立つので活用しましょう。

無料で使える自己分析診断は使い倒す

様々な就活サービスで自己分析ツールが提供されているので色々試してみましょう。自分の向き不向きを確かめるには良い手段ですし、質問に答えるだけのものが大半なので、気が向かない時にもできる就活です。また、就活サービス以外にも厚生労働省が提供しているgテストは能力(学力ではない)の向き不向きも出るので、ぜひ受けてみてください。

ES作成まではエージェントを利用

エージェント利用は業界によって向き不向きがありますが、実際に面談をして話すことで業界・職種に対する志望理由が明確になっていきます。また、「ESの内容が伝わるかどうか」を見てもらうには良い相手なので、1〜2社程度利用するのをおすすめします。もし面談してくれた人と相性が良いようなら、ES作成後にも面談予約を入れてリフレッシュの相手になってもらうのも良いです。

口コミサイトは利用すべき

「Openwork」「ONE CAREER」「就活会議」といった口コミサイトは見ておくべきだと思います。企業は人を集めるために良いことしか言わないので、特にOB・OGがいない場合は、口コミサイトで「実際のところはどうなのか」をリサーチする必要があります。また、どのように選考が行われるのか書いてあったりするので、選考準備の参考になります。

大手にも怯まず挑戦

特に志望業界が大学での専攻分野と異なる場合、「知識も技能もないし、インターンにも出てないし、大手は無理かな……」と思うかもしれません。
しかし、日本の就活はポテンシャル採用なので「文理・学部不問」と書いてある企業の場合は「この子は育ちそう!」と思ってもらえれば内定がもらえます。外資も日本支社の場合は日本式なので、募集時点で学部等の指定がなければポテンシャルで採用されます。

とりあえず志望業界の大手には
エントリーを出すだけ出しましょう!

別に「大手が絶対良い」と言うわけでもないのですが、基本的に大手企業になればなるほど留学に対する色眼鏡がありません。中小企業だと「なんで留学までした人がうちの会社に?」「本当にウチに入社してくれるの?」みたいな反応をされることが多く、ゆえに内定が取りやすいかと問われると、個人的には「そうでもなかった」と言うのが答えです。

まとめ

私はたまたま就活がうまくいった人でしたが、分析してみると相応にうまくいった理由があるように思います。

留学経験は就活における大きなアドバンテージです。語学力や順応力、精神的なタフさ等々を担保する経験となり、特に長期の場合はそれらへの説得性が増すので、就活を有利に進める材料になります。

しかし、留学経験だけで内定が取れるかと問われれば厳しいです。志望する職種に対して能力・性格上の適性があること、留学以外の学校生活(大学以前も含む)や学業以外での取り組みについて、企業側にうまく伝える必要があります。ESを添削してもらったり、積極的に面接を受けたりして、志望度の高い企業の選考までにブラッシュアップしましょう。

とはいえ、最終的にはご縁でもあるので、準備は抜かりなく、しかし気負いすぎず就活に臨みましょう。

この記事が参考になれば幸いです。

画像はみんなのフォトギャラリーより。素敵なイラストありがとうございます。

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