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リヨンに着くまでの珍道中

記事のような、エッセイのような、雑記記事です。
長めなので、エッセイのみ読みたい方は「リヨンへの珍道中」からお読みください。

リヨン行きの動機

今月は普段滞在している街から離れて、リヨン(フランス東南部の都市)に滞在します。

6月はフランスの様々な大学附属の語学学校が夏季大学(l'université d’été, le stage d’été)を開催しています。私は普段とは環境を変えようと思ったので、学期中に通っている学校の夏季大学ではなく、リヨンの大学附属の語学学校に申し込みました。

数ある中からリヨンを選んだのは、リヨンの大学は評判が良く、授業料が割とリーズナブル、かつ、大学寮を借りれるので滞在費も普段の生活とさほど変わらなそうだと思ったのが決め手です。あとは、卒論で取り上げようと思っている本の舞台の一つがリヨンなので、研究滞在も兼ねています。

リヨン行きの準備

リヨンに旅立った日の話をしても良いのですが、夏季大学の準備について、別記事で書くほどのボリュームがないので、ここで書いておこうと思います。

夏季大学の準備は、私の場合、割と順調に進みました。どうやら夏季大学に関しては特にCampus Franceなどを通す必要がないようで、自分で大学のホームページを見て申し込みました。

この時、バカロレア試験あるいはそれに準ずる学歴証明書が必要になったので、親に頼んで高校の卒業証明書を、高校から取り寄せてもらいました。幸い、私が選んだ学校は英文の証明書を受理してくれ、かつ、私の母校は英文でも卒業証明書を出してくれる学校だったので、翻訳会社を介す手間が省けました。尚、仏文のみ受理する学校もあるので注意してください。

ちなみに、オンライン手続きなので原本を送付する必要はなく、写真やPDFファイルで申請フォームから送れば大丈夫でした。今の情勢上、原本送れと言われたら詰んでましたね……オンラインの時代でよかった。

夏季大学から入学が許可されたら、滞在方法(寮またはホームステイ)を選び、あとはリヨンまでの交通機関(私は長距離バスを利用)を予約して荷造りをすれば終了です。滞在期間が1ヶ月なので、荷物は渡仏する際に使った大型のスーツケースに詰めました。

リヨンへの珍道中

さて、準備は順調でしたが、ここからが珍道中です。人生初の1人長距離旅行だったのですが、珍道中です。

無事前日のうちに荷造りも終わり「出発進行!」と5時台に寮を出て、トラムに乗って、今回利用する長距離バス会社のバス停に向かいました。現在、ヨーロッパは長距離バスが普及していて、主な都市にはバスで行くことができます。価格も電車に比べて安いので、学生はかなり重宝しています。私は今回、パリまでバスで行き、そこでバスを乗り換えてリヨンに向かうようにしていました。

無事、出発時刻15分前に街のバス停には着きました。しかし……なぜかバスが来ない。バス停には私の他にも数人いて、皆「来ないなぁ」とバスを待っていました。フランスなので交通機関が遅れるのはよくあることなので、定刻を過ぎても15分くらい待っていたのですが……

なんと、予約したバスの次のバスがやって来てしまいました!

私は6時台のバスに乗るつもりだったのですが、やって来たバスは7時台発のバス。チケットを見せれば「そのバスはもう出発してるよ」と運転手さんに言われ……。

でも、私は指定されたバス停でずっと待っていた(一緒に待っていた現地人に確認済み)し、そもそも利用したバス会社のバス停は、自分が待っていたバス停以外存在しません。そして、バス停は高速道路手前に位置していて、パリ行きのバスで私の滞在する街を経由するなら絶対通る道のはずなので、6時台にバスが通過していないのはおかしい。

というわけで、拙いフランス語でバスが来てないことを運転手さんに伝え、運転手さんのバスに乗っても良いか聞いたところ、最初は「サイトでチケット買ってね」と言われたのですが、出発時間間近だからかオンライン上ではチケットが買えず……。7時台のバス自体は空席が多かったのもあり「とりあえず乗って」と言われたので、ひとまず7時台のバスに乗ってパリへと向かいました。

乗せてもらったバスは定刻通り出発したのですが、パリが近くなると道が混み始めました。そして渋滞。スマホの時刻を見ながら「これ遅れるな」と、内心絶望しました。乗り換え不可、確定。

これまでも長距離バスでパリまで向かったことはありましたが、大抵予定より早く着くことが多く、遅れたのは今回が初めてでした。観光ハイシーズンになったからでしょうか……。

結局9時にパリに着くはずのバスが着いたのは9時20分過ぎ。元々9時のパリ発リヨン行きのバスに乗り換える予定で、これまでの経験のように定刻より早く着けば、ワンチャン乗り換えれるかと思っていたのですが。リヨン行きのバスは遅れもなく定刻発車したようで、乗り換えることができませんでした。

しょんぼりとバスを降りて荷物を受け取る際、特に運転手さんからは運賃を払うよう言われませんでした。……あれ?

「9時のリヨン行きに乗り換える予定だったのですが、もう出発しましたよね?」と運転手さんに聞けば、「チケットオフィスで対応してもらってください」とのこと。……あれあれ?

正直、9時台のバスを逃すと、リヨンの寮が空いている時間にリヨンに到着できないので困るのですが、かといってTGVを使うと、移動当日なのもあり90〜100€かかります。この値段、一泊ならホテルに泊まってもお釣りが来る……。

というわけで、仕方なしにバス旅を継続することにし、バス停内のチケットオフィスに向かいました。チケットオフィスの受付の方は英語も通じたので、元々バス会社に送りつける予定のメールを英語で書いていたこともあり、英語で状況を説明しました。すると、「あぁ」と言いたげな表情で無料で12時台のバスに振り替えられました。そういえば、バスが出発する前に運転手さんは何やら電話していたけど……あれあれあれ?

これ、マジで6時台のバスが私の街を経由しなかったってこと?そんなことある??

まぁ、何はともあれリヨンまでの足は確保されたので、駅近くのパン屋でサンドイッチを買って食べ、夏季大学の担当者には遅れる旨を伝え、「小銭をくれ」と言ってくる子供やおじさんを真顔でいなしながらバスを待ちました。大学の担当者はすぐにメールを返してくれて、「17時以降、寮の管理人はいないからホテルに宿泊してください」とのことだったので、待ち時間にホテルを予約しました。17時定時が守られる労働環境、羨ましい。

そんなこんなでやることを済ませながらバスを待っていたのですが、出発15分前になっても一向にバスの到着するホームが掲示板に表示されず、代わりに「20分遅れ」の表示が出ました。のちにわかったことですが、私が乗ったリヨン行きのバスはパリ中央始発。パリ市内の私がいるバス停までで遅延が発生しており、あの日は相当パリの道が混んでいたとわかりました。

そして、結局40分遅れでリヨン行きのバスはパリを出発し、おおよそ30分遅れでリヨンに到着しました。リヨンまでの道は、パリを抜けると割と空いていました。基本的に見える景色が畑……さすが農協大国です。

リヨンに着いてからはスムーズでした。予約した駅近くのホテルに向かい、チェックイン。お値段は朝食付きで約72€でした。都市部の中心街にしては安いです。
建物自体が古いのでドアの開け方にややコツが要りますが、部屋は綺麗だし、スタッフは優しくて荷物運んでくれるし、アメニティも石鹸と使い捨てコップは置いてあるし、朝食も食べ放題で、良いホテルでした。受付の人が英語が堪能なので、フランス語ができなくても大丈夫です。私も顔を見てすぐ英語で話しかけられました。まぁ、どう見てもアジア人ですからね……観光地ではよくあることです……。

でも今の私の頭の中は、第一外国語がフランス語なので、何も準備していないとうっかりフランス語で返してしまい……双方「なんだかなぁ」という感じです。意思疎通に問題はないので別に良いのですが。早く受付の人にフランス語に切り替えてもらえるくらい、フランス語堪能になりたい……。

そんなこんなでホテルで一泊し、翌日、無事大学寮に入寮しました。めでたしめでたし。

教訓

今回の件で、やはり交通機関の正確性は日本の方が高いなぁと思いました。というか、バス停を飛ばしたらダメでしょ……?

どうしても遅れてはいけない用事がある場合は、多少高くても電車を利用した方が良いかもしれません。定刻発車するかはわかりませんが、少なくともコースは決められているので、うっかり飛ばされることはありません。

尚、私は帰りもバス旅の予定です。帰るだけなので遅延するのは良いのですが、次こそ珍道中にはなりませんように……。

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