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ベネルクス3国周遊旅その2:オランダ

ベネルクス3国周遊旅、第2弾はオランダです。オランダはフランス語ではPays-Basと呼ばれ、複数形です。そのため、冠詞は複数形のLesを使います。これは、歴史上オランダが現在のベルギーやルクセンブルクなどの地域も治める連邦共和国であったに由来し、直訳(?)すると「低い土地の国々」となります。ちなみにアメリカも連邦共和国なのでLes États-Unisです。とはいえ、現在のオランダは王国であるので、正式名称はLe Royaume des Pays-Basとなります。ちょっとややこしい。

オランダでは首都アムステルダムと実質首都であるデン・ハーグの2つの街を訪れました。「首都と実質首都?」と思った方、オランダは何かにつけてユニークなのです。

アムステルダム

首都、アムステルダムには1日滞在しました。長距離バスを利用して行ったので、中心街の駅ではなくAmsterdam Sloterdijkという駅のバスターミナルに着きました。割と大きな駅で、駅内に夜まで開いているスーパーもあります。何しろ、近くに寝台列車の車両を利用したホステルがあり、私はそこに泊まったのですが中々に良かったです。電車旅気分が味わえます。

Amsterdam Sloterdijk駅
近未来感ある姿が印象的。

アムステルダムの観光で最初に訪れたのはダイヤモンド博物館です。オランダは大航海時代にダイヤモンド貿易の覇権を得たことから長年ダイアモンドの中心地として発展してきました。現在は原石の研磨に関してはアントワープに中心地が移っていますが、今もアムステルダムにいくつか研磨工房がありますし、宝石に加工されたダイアモンドのビジネスの場としてアムステルダムは重要な街です。

ダイアモンドの歴史から各国の王冠のレプリカや、ゴッホの「星月夜」にダイアモンドを散りばめた複製絵画、ダイヤモンドで飾られたキラキラの頭蓋骨の置物などの展示があります。あまり混んでないのでゆっくり見ることができます。入館料は学生料金で8ユーロです。他の美術館や運河クルーズとのセット券もあります。

ゴッホの「星月夜」avecダイヤモンドの複製版。
合計140カラットのダイアモンドが使われています。

次に訪れたのはアムステルダム国立美術館。フランドル地方の芸術品を集めた美術館でフェルメールやレンブラントの作品が見どころとして挙げられることが多いですが、家具や陶器など絵画以外のコレクションや、特別展も充実していました。庭園も美しいです。じっくり見るなら丸一日潰せます。説明文はオランダ語と英語で書かれていました。お土産売り場には嬉しいことに日本語のガイドが売られており、分厚く充実した内容なのに7.5€と、美術館ガイドとしては破格の値段でした。尚、入館料は20€と非常に高かったです……。公式サイトから買うこともできます。

船の展示もあります。
一時期世界の覇権を握ったオランダらしい展示です。

オランダの王宮は夏季の間観光客にも公開されています。ホール、廊下、居室……どこもとても美しかったです。ナポレオン一世の弟、ルイが1806年から1815年にかけてオランダ(当時はベルギー等も含んだホラント王国)を統治していたため、帝政様式の家具が多いです。尚、ルイは兄の傀儡とならず市民のために善政を行ったため人気があるとのことでした。入館料は学生で9€でした。こちらも公式サイトで買うことも出来ます。

王宮のホール

アムステルダムで最後に訪れたのはMOCO美術館。現代美術を扱う美術館でバンクシーやNFTに関する展示などがあります。草間彌生など日本人の芸術家の作品も多数展示されています。Digital Immersive Artとして壁や天井一面に光が投影された展示もあり、沢山の人が写真を撮っていました。インスタ映えスポットなのでしょう。入館料は16.9€と高めです。21時まで開いているので、アクセスしやすい美術館です。

草間彌生の展示の入り口
鏡の反射によってキラッキラしてます。

本当はせっかくなのでゴッホ美術館にも行きたかったのですが、人気故にチケットが買えませんでした。ダメ元で美術館のスタッフに聞いたところ、私が行った日のチケットは3日前には完売したとのことで、私が訪ねた日から4日先までチケットは完売状態とのことでした。恐ろしいゴッホ人気……絶対に行きたい人は遅くても一週間前には予約したほうが良いでしょう。

アムステルダムはとてもバラエティに富んだ都市です。今回私が訪ねた美術館・博物館の他にもちょっとダークな博物館がありますが、今回はひとり旅であり、時間的にも厳しかったので行くことが出来ませんでした。ゴッホ美術館含めて再挑戦したい街です。街も割と清潔で治安自体は悪くないですが、日本とはかなり感覚が違う部分(麻薬とか)があるので、その点は頭の片隅に置いておく方が良いでしょう。

デン・ハーグ

デン・ハーグ(単にハーグと言われることも)は国際司法裁判所等の国際機関があることや、ハーグ条約など条約名でも耳にすることがある有名な都市ですが、オランダの実質的な首都機能がある都市でもあります。オランダの議会はデン・ハーグにありますし、王族が普段居住している王宮もデン・ハーグにあります。アムステルダムの王宮は、実質的には離宮なんです。アムステルダムは現在の憲法で首都と定められていますが、歴史上にはデン・ハーグが政治的な中心であったため、実質的な首都機能は今もデン・ハーグにあります。

実際に王様が住んでいる方の宮殿。
中には入れません。

デン・ハーグではまず監獄博物館に行きました。世界でも最も古い監獄の一つである築700年の建物で、留置所から人質部屋、伯爵の監獄や女性用の監獄、拷問部屋などを実際に見ることができます。事前にベルギーで拷問博物館に行っていたので、拷問部屋の様子をより鮮明に想像することができました。実際に監獄内を見て回った後、第二部として実際に監獄で使われていた道具や裁判の様子に関する展示を見ることができます。ガイドは基本英語なのですが、実際の監獄を見て回るツアーのパンフレットは日本語もあります。入館料は学生料金で7.5€でした。

外観

次にブレディウス美術館を訪れました。この美術館はこの後訪ねたマウリッツハイス美術館の館長を務めたアブラハム・ブレディウスの邸宅を利用した美術館で、お屋敷の中を見て回る美術館なので絵画だけでなく家具や陶器なども見どころです。近くにこの後訪ねたマウリッツハイス美術館があるからか、あまり訪問客がおらずほぼ貸し切り状態で鑑賞することが出来ました。レンブラントの作品も展示されているのですが……不思議です。入館料は学生料金だと4€、一般だと6€でした。

外観。うっかり素通りしそう(だから客が少ないの?)
内観。絵画はもちろんシャンデリアや家具も美しい。

デン・ハーグ及びオランダのクライマックスはマウリッツハイス美術館でした。この美術館にはフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」やレンブラントの「テュルプ博士の解剖学講義」など有名な作品が所蔵されており、非常に人気があります。とはいえ、私が訪ねたときは混雑しているとはいえ、さほど並ばずとも傑作を見ることができました。マウリッツハイスも元は個人の邸宅であり、大きな美術館ではないので2時間あれば充分回ることができます。入館料は学生料金で12.5€。この美術館のガイドはアプリで、日本語の解説もあります。

外観も可愛い
お土産に買ったピンバッジ

デン・ハーグは政府機関が集まっている場所だからかホステルがなく、宿泊はホテル一択になります。私は中華街にあるホテルに泊りましたが治安はよく、近くにレストランやスーパーがあるので便利でした。パッサージュの帽子の展示が可愛らしかった(この記事のトップの写真)ので、デン・ハーグに来たら通り抜けて欲しいです。

オランダ編まとめ

オランダは美術館・博物館の入場料が高く、学生料金でもかなりの金額になります。実際、アムステルダムは宿泊代よりも美術館代の方が高かったです。そういう点では芸術大国フランスの凄さを感じたところでした。

しかしながら、オランダは街が比較的きれい(清潔)なので、フランスほど地面を気にする必要がありません。また、割と遅くまで開いているスーパーもあるので、夜に到着しても食事には困らないでしょう。アムステルダムにはゴッホ美術館等美術館が集まっている地区には、地下に駐車場に併設したコインロッカーがあるので、荷物の預け先も困りません。

言語としてはやはりオランダ語が第一なので、大抵の人が英語を話せるため観光する分には困りませんが、地名が読めません。地下鉄の乗り換え等は少しハラハラしました。現地の人は優しく、トラムに乗る際は現地の人が乗り方を教えてくれたりしたので、わからないことがあったら現地の人に聞くのが良いと思います。

正直、アムステルダムの観光は1日では足りませんでした。リベンジする機会があるなら、3日ぐらい滞在して楽しみ尽くしたいと思います。

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