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地域とお客様と作る"文化"

南国宮崎の短い冬。
タイミング良く雪の中を歩くことが出来ました…

文化(カルチャー)

この1ヶ月、地域の事業者・地域のショップのオーナー・関東の有名店のオーナー・山間部で森林保全に携わる方・行政の方・林業従事者などを始め、様々な方にお会いする機会に恵まれたのですが、そんな中でひとつのキーワードとして常に出ている言葉を振り返ると"文化(カルチャー)"という言葉だなと振り返っています。

僕個人的にはアウトドアのアクティビティというのは、どこかカウンターカルチャーのような要素が常に存在するものだと思いながら、長く自然を楽しむようになり、自分の暮らしを変えてきたように思っており、"文化(カルチャー)"というのは、働く中で常々意識しながら仕事をしています。

遠方から見た宮崎県の遊び

何に対するカウンターカルチャーなのかというのは置いておき、最近は遠方のお客様が訪問してくださった際にも「宮崎はこんなことが楽しめる場所だ」というイメージを持たれている方が多くなりました。

僕らやお客様のライフスタイルや楽しみ方を見て、遠方の方が「宮崎で自分も⚪︎⚪︎を楽しんでみよう」というイメージを持たれるのは、ごく僅かながらに宮崎の人の楽しみ方やライフスタイルというものが、第三者から見てイメージが湧くようになったのかなと思い、そうしたことを続けていくことで文化的なものが自然と育まれていくものかなと感じます。

そして遠方から僕らの店を訪ねてくださる方々が「宮崎はこんなことが楽しめる」とイメージされているものが、僕らが意図的にそうしたものを作ろうと願っているものと一致した時は、非常に嬉しく光栄な気持ちを抱きます。

それが何かと言えば、自然に対する敬意であったり、地域の方との繋がりであったり、積極的に活動されるお客様の姿であったりと、そんな類のものであります。

より良い文化形成を目指して

どんなカルチャーを持った地域性なのか、または楽しみ方なのか。
まだまだ細かな点までは完全に見えている訳ではなく、常に色々な方と話しながら模索し、日々の仕事を行なっている訳ですが、それでも大切にしている要素は色々と存在します。

そもそも"文化"と呼べるレベルではなく、とても小さなものですが、小さなうちから大切に考えておくことは、個人的には大事なことだと思っています。

そして"どんな文化を作るのか"というのは、店を営む僕らの意図ではなく、地域やお客様や取引先の方々の考えや気持ちに基づいたものだなと、最近よく思います。

地域に歓迎されること

定期的に行う地域の方との意見交換

僕らは常に山間部という場所を訪れ、その地域で様々な遊びを楽しみます。そして地域の食事処や宿を利用し、地域の魅力をお客様と共に広めて行ければと願っていますので、僕らが楽しみに出かけていくことや、僕らが楽しむ遊びというものが、その地域の方々に歓迎されなければなりません。

当然ながら全員が一致して歓迎することというのは、なかなか難しい面もありますが、町の意見や地域の方々の意見を聞く中で、明らかに歓迎されないことは僕らもお客様に提案することは避け、店として情報なども掲載しないようにしています。

そうしたことを一貫して続けて行く中で、少しずつ地域の方々の信頼をいただき、意見を求められるようなケースも出てきますが、僕らにとって山間部に出かけた際に「おぉ、こんにちはー!」などと、気軽に声をかけられるのは、本当に光栄なことであり、地域に受け入れていただいていることは、お客様も訪れやすい環境となっていきます。

環境や自然に配慮すること

山神様

Leave No Trace(痕跡を残さない)というのは、アウトドアでの活動を行うことでの大切な要素として広く知られており、野生動物・植物・水資源・文化的、歴史的遺産・地表・人間社会へのインパクトを最小限にしながら楽しむことは世界的に推奨されています。

自然の中で様々な活動を行う9割の人が自然へのダメージを認識していないとも言われますが、僕らが暮らす土地では模範的だと言われるような自然への配慮を行えるようになればいいなと常々夢見ています…

まだ実際には夢物語ですが、最近ではお客様自身が個々で清掃活動を行なっていたり、町との協議に参加されたりと、尊敬する活動を行なわれる方々も増えてきました。

僕ら自身もまだまだ正しい知識を持ち合わせている訳ではなく、地域の環境保全に関わる方々や、調査研究を行う方々と意見交換をして行く中で、日々切磋琢磨しながら、僕らの提案するアクションが地域だけでなく、自然や環境に配慮した内容であるように心がけ続けています。

また、時に地域の方自身が正しい知識を持ち合わせていないケースも多く、僕らの店に自然を楽しむ方から"自然へのダメージに関するご意見"などをいただくこともありますが、都度ご意見に向き合って僕らが取るべきアクションを考えながら日々の仕事に反映できるようにしています。

取引先の方々と考えること

宮崎県のハイキングコースにて

僕らはアウトドア用品を販売して生計を成り立てている訳ですが、僕らやお客様が着用(または利用)する製品のメーカーの方々の多くは、お客様の楽しみや地域の発展に対して、非常に前向きになり意見交換などの機会を作ってくださいます。

そうした意見交換の場では、時に地域の方々が望まないアクティビティを僕らの店で提案して欲しいと要望をいただくこともありますが、そうした場合は「望まれていない」という旨を伝え、きっぱりとお断りし、同時にメーカーの方々のプラスになることを考えてお伝えします。

そうした試行錯誤の繰り返しから、地域の方やお客様が、よりブランドというものを信頼し、サポートするようになり、時にお客様とブランドの意見交換も生まれ繋がりが生まれます。

お客様の良い未来を願うこと

ベテランとの時間

そして僕らを支持してくださるお客様の楽しみや、良い未来を願って真剣に考えて提案を行うこと。

僕らがお客様に勧める内容が、地域の方々に歓迎されないことであったり、調査研究者や山に関わる方々、山で働く方や、取引先のブランドに歓迎されないようでは、僕らが提案することがお客様の不快な思いに繋がってしまいます。さらには僕らの提案することが、お客様のこの先の人生においてプラスになることでなければなりません。

これも僕らの提案する内容と、お客様のニーズが全て一致する訳ではありませんが、少なくとも僕らは仕事としてお客様の良い未来に対して貢献できるように努めなければなりません。

関わって下さる方々を考えて働くこと

地域の方々・自然や環境・取引先の方々、そしてお客様。
それぞれが良い循環になるように考えることは、知恵のない僕には簡単なことではなく、四六時中頭を悩ませつつ、スタッフと意見交換しながら「僕らが何を提案すべきか」と考える日々です。

それでもそうした日々を繰り返していく中で、遠方から訪れてくださる方が増え、一緒に取り組みたいと言って下さるお客様や事業者が増え、地域の集まりに呼ばれたり、環境を考える会合にお招きいただいたり、地域の情報発信のお手伝いをさせていただいたりと、色々とお声がけをいただけるようになりました。

そして、今ではお客様の中にも、山間部の会合や課題解決の場に参加され、地域興しに参加されるようになった方や、案内人として毎週のように山に出かけては僕らに報告をくださる方など、色々な活動を届けて下さるように。

もうすぐ渓流釣りもスタートする季節ですが、遠方からお越しくださる方々から同行の予約をいただいたり、二拠点生活で宮崎県の遊びを楽しもうという方々からの相談をいただいたり、1月と寒いシーズンに僕らの店にわざわざ遠方から遊びに来て下さる方がいたり。

とてもありがたい機会をいただきますが、地域とお客様と、そして一緒に楽しみに出かける方々と、良い文化が作れたのなら、それはとても素晴らしいことだなと思うのであります。

僕らの意図ではない僕らの仕事

この数年の間実感することですが、僕らの提案する遊びや仕事というのは、僕らが好きなことではなく、地域や取引先やお客様、そして自然のことを教えてくださる研究者の方々などの意見によって形成されたものが多いと思っています。

そしてその中で形成されたものを、僕ら自身が誰よりも好きになろうと思って取り組んでいます。(好きでなければ続かないので…)

そう考えると、地域とお客様作る"文化"というタイトルを書きましたが、実際には「地域とお客様作る"文化"」が正しい言葉なのであります。

そこに携わらせていただけるのは、僕ら店としては、とても光栄なことであり、明日もまた真剣に向き合おうと"業務報告的"に、新人さんを連れて山を歩いた大先輩の報告を聞きながら感じるのでありました。

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