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ニーチェ哲学が学べるお薦め本の紹介と解説

「最強! 」のニーチェ入門

私はより良い生き方が何かを考えるためのヒントとして哲学を学ぶことが好きで、中でもニーチェ哲学には現代を生きる私たちにも普遍的な教えが詰まっていると思っています。

本日は、そんなニーチェ哲学を分かりやすく解説した以下の一冊を紹介します。

「最強!」のニーチェ入門」、まずタイトルが素晴らしいですね(笑)
最高」ではなく、「至高」とか「最強」とか「極上」の方が、年齢関係なく男心が揺さぶられると感じるのは私だけではないはずです。(私だけだったらすいません‥)

冗談はさておき、この本の著者の飲茶さんは以前紹介した「史上最強の哲学入門」の著者でもあり、取っ付きにくい哲学を分かりやすく解説してくれるだけでなく、「どうすれば哲学を自分の人生に役立たせることができるのか」という観点でも有益な情報を提供してくれる方なのです。

余談ですが、「史上最強の哲学入門」は超有名格闘漫画「グラップラー刃牙」の語り口で書かれており、刃牙ファンであれば面白くて一気に読めてしまうと思うので、こちらもご興味あれば是非読んでみてください。


本書のお薦めポイント

私が数あるニーチェ本の中でも、特に本書をお薦めする理由は以下の3点です。

①哲学の全体像が分かる

本書では、ニーチェ哲学に入る前に、哲学の歴史をニーチェ以前の「白哲学」とニーチェの時代に隆盛した「黒哲学」に分けて、哲学の全体像を示してくれます。

白哲学:別名本質哲学。実際の物事の背後にある「愛とは何か」「正義とは何か」等といった、目に見えない世界の「本質」「真理」を追究する哲学。ソクラテス・プラトンといった古代ギリシャ哲学が代表例。

黒哲学:白哲学の反発から生まれた哲学で、別名実存哲学。実存とは「実際に存在しているもの」の略称で、物事の本質追求ではなく、実際に存在している我々の課題解決や人生に役立つことを考えましょうという哲学。キルケゴール・ニーチェ・デカルトといった近現代の哲学者が代表例。

私は、このように学問の全体像を把握した上で個別テーマを教えてくれる方が”入ってくる”タイプなので、この導入はとても助かりました。


②対話形式なので明快で納得感がある

本書では、哲学素人の仕事やプライベートに悩む女性と、著者の飲茶先生の対話形式で書かれています。

自己啓発本の代表格である「嫌われる勇気」と同じ形式になりますが、我々読者が抱える課題や、哲学説明の中の躓きポイントをこの女性生徒が代表して著者に質問してくれるので、著者が一方的に説明をする形式よりも一つ一つのテーマが掘り下げられ、納得感を得ることができます。


③人が抱える課題別に章立てされている

冒頭でも言及しましたが、大人が哲学を学ぶ目的は、哲学の知識を得ることよりも、哲学を通じてより良い人生を送るヒントを得ることだと思います。(もちろん学問としての哲学を勉強する方もいると思いますが。)

本書ではこのような読者のニーズが汲み取られており、背後世界・奴隷道徳・永劫回帰・超人…といったニーチェ哲学のテーマをベースにした章立てではなく、「人生に意味はないのか?」「奴隷道徳は弱者の戯言か?」といった現代人の課題感に沿った章構成になっているため、読みやすいです。

章立てだけでなく、内容についてもニーチェ哲学が目的ではなく、課題解決の手段としてニーチェ哲学が説明されているので、行動に落とし込みやすくなっています。


本書の要点まとめ

本書の内容についても簡単に要点をまとめます。

①背後世界(社会的価値観)に捉われず、自分の頭で考えること

ニーチェは以下のような「外部から押し付けられた社会的価値観や常識」を背後世界と呼び、それらは現実世界(実存)とは無関係のものなので捉われてはいけないと説いています。

【背後世界の例】
・20代で結婚して子供を産まなければいけない
・幸せになるには勉強して良い大学・良い会社に入ることが重要
・努力は必ず報われる
・いつか運命の人が現れる

上記のような背後世界は空想なので、これらの常識は疑い、自分の頭で考えなければいけないのです。


②奴隷道徳

背後世界の代表例が奴隷道徳です。これは過去に迫害を受けたことがきっかけで生まれたユダヤ教の受苦の教えに端を発しており、社会的に弱い立場の人々にとって都合の良い価値観なのです。

【奴隷道徳の例】
・いじめられっ子には天罰が下る
・努力すれば必ず報われる
・弱弱しい見た目の人は性格が良い人だ
・長時間労働は美徳

現代の我々にも通ずる考え方で、身に覚えがある方もいるのではないでしょうか?
このような奴隷道徳は、人々が辛い現実から目を背けるための言い訳に過ぎず、真実ではありません。

真の幸福を得るためには、世の中にはある程度の不公平や不条理があることを認め、その上で自分がどう生きるのかを自分の頭で考えなければなりません。


③永劫回帰の世界と今を生きること

ニーチェ哲学では、背後世界の存在を否定した上で、世の中は同じことが何度も繰り返される「永劫回帰」で成り立っているため、実存たる我々一人一人の人生には意味が無いと説きます。(頑張ったところで同じことの繰り返しですから‥)

永劫回帰を悟った人類は人生に絶望した「末人」になってしまいますが、ニーチェはそのような絶望な人生の「今この瞬間」を肯定できる「超人」になる必要があると主張します。


以上、本日は私のお薦めのニーチェ哲学の本を紹介させて頂きました。

最後の「末人」「超人」の説明部分などは、スペースの都合上少し飛躍して分かりにくかったかもしれませんが、そのような方は是非書籍の購入を検討頂けると嬉しいです!

これからも皆様の為になる情報をどんどん発信していこうと思うので、応援よろしくお願いします!

#ビジネス書が好き #哲学 #ニーチェ #背後世界 #奴隷道徳 #永劫回帰  

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