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そのレシピは本当に考え抜いているのか。

これまでも、本当にもっとおいしくならないのか、考え抜き続けてきた。

鳥羽は、常にアップデートしてきた。

パスタ料理として捉え、なめらかさとアルデンテにこだわった、ナポリタンを超えたナポリタン。

冷めてもおいしい。これまで挑戦したことないテイクアウトに対して、安心するおいしさの甘じょっぱいをベースに5味+1を搭載した究極のミニマム、HEY!バインミー。

チキンオーバーライスとタコライスを掛け合わせ、20種類のパーツを組み合わせた味のワンダーランド、チキントーバーライス 。

固めプリンをさらに進化させるべく、sioのイズムであるサウナ理論を搭載した ととのうプリン。

持てる全てを出し切って美味しさを追求、制限の中でクリエイティブの贅沢を詰めたsio贅沢弁当。

それでも、フルーツサンドは奥が深かった。

シンプルこそ難し、だから至高。

9/28 にやさしいレシピのおすそわけ #おうちでsio がきっかけでレシピ本を販売する。

そこで、出す予定だったのが実はフルーツサンド。

しかし、その時納得できるものが出来ず、なくなく路線変更して、フルーツサンドはお蔵入りとなった。

(それはそれで、別のデザートが降りてきた瞬間の厨房の盛り上がりは半端なかった)

撮影が終わったものの、あくなきフルーツサンドへの探究は終わらなかった。

『既存のものに疑いを持てているか?』

『より良くするために考え抜いているか?』

もっと良くできないか?

その追求する姿勢が、僕たちを遠くまで連れて行ってくれるのである。

フルーツサンドは、数学。

おいしいは感覚的な要素が多いように思えるが、よく考えると因数分解できる。

sioの料理を考えるとき、右脳と左脳をフル活用していると感じる。

五味の使い方、テクスチャー(食感や温度)、環境など、構成要素が何かを考えてアプローチする料理が多い。

故に、鳥羽はほとんど試作をしない。

試作はイメージとの誤差を確かめるためであり、ほぼズレない。

それを、頭で食べている、と言っている。

その境地に辿り着くには、並々ならぬ努力と経験が必要なんだろう。

僕は、少しでも理解した上で料理を作りたいと思い、sioのイズムを言語化してきた。

しかし、

頭で分かる、と 体で出来る はやはり別物である

量も質も重要であると日々実感する。

とは言え、頭で食べることは経験があれば、お金もかからないし、場所も選ばない。

インプットが増えれば、判断基準ができ、頭で食べれるものが増えるのである。

フルーツサンドを因数分解してみる。

パーツは、
食パン
フルーツ
クリーム

食感は、ジューシー、なめらか。

基本的には、甘酸っぱい。
非常にシンプルである。

そして、やはり重要な断面。

そこで大事なのは、図形の考え方。

正方形のどこにフルーツを置くか、
どのラインを断面とし、
どの順番で食べさせるか。

因数を図形に当てはめていく料理なのだ。

公式がなければ、作る。

因数分解した要素をそれぞれブラッシュアップしてみる。

クリームは、生クリーム単体なのか、否か。

甘みの出し方は何が相性がいいのか、練乳?砂糖?はちみつ?甘酒を使用しているところもある。酸味にヨーグルトを入れるのも良いのではないか。

フルーツは、断面が綺麗に仕上がり、離水しないものが向いている。

食パンは、何枚切りが良いだろうか?
薄さ厚さ、食感や味わい。
どれが心地よいだろうか?

既存のフォーマットから作り出した公式を、そもそも答えから疑ってみる姿勢も大事である。

さらに、クリーム、フルーツ、食パンにプラスして加えることでよりおいしさを追求できないか。

そこで僕らが追加したのは、マーマレードジャム。

ジャムはフルーツの酸味と甘味を、調味することで際立たせたこってりとした味わいが特徴である。

頭で何度も食べ、実際に作り誤差を修正する。

生クリーム100g
カルピス原液30g
グラニュー糖20g
を混ぜて泡立てたクリームを用意。

食パンは超熟を使用。
耳を落としてカルピスクリームを塗り、
真ん中にキウイ、斜めにシャインマスカット、
間にマーマーレード、さらにクリーム。

食パンを乗せたら、
ぴったりラップで一晩馴染ませる。

馴染ませることで、パンにしっとり感が出て、クリームとの一体感が増す。

切り出しは抑え込まず、
優しくスライドさせながら切る。

都度、包丁をタオルで拭いて、
クリームが断面につかないようにする。

カルピスを加えることで、
クリームに爽やかなコクが増す。

酸味、甘味、見た目、ジューシーさ、離水しにくさを加味して選ばれたキウイと、シャインマスカット。

こうして出来上がったのが、カルピスフルーツサンドである。

弾けるフルーツ、爽やかな甘みとコクのある甘み。
口に運ぶ度にテイストが変化するリズムのある、レストランクオリティのフルーツサンド。

甘酸っぱさが、オンパレード。

考え抜くことで、おいしさは美味しさまで進化する。

========

【追記】8/21(金)10:00

さらに進化しました。
ソルティライチベースでつくったクリーム

ソルティライチフルーツサンド
香りも良くフルーツとの相性が増しました。

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