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Coffee story エピソード 3 【ホットミルク】

Fire King キンバリー Mug Cup(グリーン)

8年前に、ここに勤めだした頃、カフェで働いたことなどなく自分にできるのだろうかと不安だった。

何しろカフェだから、いろんなメニューがあるし、しかも開店から夕方までほぼ一人でやんなきゃいけないときてるから当時はかなり不安だった。

メニューもコーヒーだけでなく、カフェラテ、カフェモカ、キャラメルマキアート、ホットココア、抹茶ラテ、エスプレッソ、それから紅茶いろいろとソフトドリンク。

デザートも、ホットケーキや、チョコバナナケーキ、ソフトクリーム3種類、チョコレートサンデー、フローズンラズベリーなどなど。おまけにランチメニューもあるときた。初めはオーナーに一通り作るのを見てもらって食べたりして、ちょっと嬉しかったが、いざ一人でお客と立ち向かうと、「あー。なんてめんどくさい。メニュー多すぎ。」とボヤきながらやっていたし、グループできた客には、「みんな同じメニューにしろ!」などと悪態をつきながら奥のキッチンに向かっていた時もあった。

もう8年もやっていると手馴れたもんで、何人来ても対応でき、時間がかかるメニューと早くできるものでも、違うメニュー同士でもほぼ同じタイミングで提供できるようになっていた。在庫不足の時だけお待たせすることがあるがだいたい流れるような作業でちゃっちゃとこなしている。

一番簡単そうで実は、難しいメニューがある。それは、ホットミルク。

ミルクをカップに入れてレンジで温めるだけだが、業務用レンジなので出力が大きく1分もならない33秒くらいでちょうど良い温度になる。そのため、目を離したり他の作業をしているとすぐに吹きこぼれて厄介なことになるのだ。

最近では、その33秒も体内時計に組み込まれてきた気がする。よく来るようになったホットミルクしか頼まないグリーンちゃんのおかげだ。

彼女も常連さんと言っていいくらいの頻度でやって来るようになった。

いつもグリーンの色合いの装いでやって来るのでグリーンちゃん。見たまんまである。
上から下まで見事なグリーンのグラデーションの時もあった。

しかも、これまた使うカップがグリーンのFire King キンバリー のマグカップだから、彼女が座るとまるでグリーンのオブジェみたくなる。

とても個性的で前髪もパッツンのいまどきという感じで、ちょうど木村カエラに似ている。

大きなリュックでいつもスケッチブックを持っていて席でしばらく何かを描いている。もちろんリュックは、グリーンだがエメラルドグリーンのリュックだった。

一度ホットミルクを作るのに失敗して席に持って行った時、ちらっと見えたがそこに描かれたのもページ一面にいろんなグリーンが使われていたので、どんだけ好きなんだと笑いそうになったことがあった。

何を描いていたのか今度聞いてみよう。グリーンちゃんは、話しやすい感じの子だった。

#小説 #短編小説 #カフェ #ホットミルク
#FireKing #ファイヤーキング

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