見出し画像

【社内インタビュー】PRコンサルタントが広告/マーケティングの外部アワードに挑戦しつづける理由。(丸山優河/2021年販促コンペゴールド受賞)

こんにちは、「PRAP OPEN NOTE」編集部です。今日は、プラップジャパンのメンバーの丸山 優河さんを紹介します。
広告/マーケティングの外部コンペやアワードに積極的に参加し、2021年の「第13回販促会議 企画コンペティション」ではゴールドを受賞した丸山さんに、PRコンサルタントとして、外側の知見に触れてきた実感や想いをお聞きします。

■丸山 優河さん
いつもクールなメガネの人。2016年プラップジャパン新卒入社。
戦略コンサル、運輸、観光、ゲーム、玩具、 eコマースなどの多岐に渡る業界において、マーケティング・コーポレートPRに携わる。ターゲットインサイトを捉えた企画立案が得意。
趣味はゲーム(ポケモン、アーケード音楽ゲーム、ボードゲーム)、ラーメン店巡り(二郎系、担々麺)、釣り(海、陸っぱり)。実は気さく。
第12回販促会議企画コンペティションにて、協賛企業賞を受賞。
https://www.slideshare.net/sendenkaigi/ss-238535379
第13回販促会議企画コンペティションにて、ゴールドを受賞。
https://www.slideshare.net/sendenkaigi/ss-250153914

——それではインタビュー、よろしくお願いします!
まずは第13回販促会議企画コンペティションでのゴールド受賞、おめでとうございます!いまの率直なお気持ちを聞かせてください。

丸山:よろしくお願いします。緊張しますね。(笑) 
まずはお祝いのお言葉、ありがとうございます。シルバー以上の受賞は念願だったので、今年ようやく辿り着くことができたという嬉しさと、ほっとしたという気持ちが入り混じっています。
一方で、今回はグランプリは”該当なし”でした。ここまで選んでもらっておきながら、あと一歩のところで、納得してもらえる企画にできなかった。嬉しさの反面、悔しい、情けない。そんな思いもあります。販促コンペはグランプリを取らない限りチャレンジしつづけられるので、そうポジティブに捉えながら、来年も楽しんで参加したいなと、今はそう思っています。

画像1
(ゴールドを受賞した企画「アイスの年パス」)

——すでに社内でもプランニングをはじめ活躍されている丸山さんですが、どうして広告領域やマーケティングの外部アワードに挑戦しようと思ったんでしょうか。

丸山:きっかけは、PRが目指すべきゴールの変化を感じたことです。業界ではよく言われているように、メディアパブリシティを中心とした社会との関係づくりの枠を飛び越えて、人の行動変容に直接働きかけるようなコミュニケーションを考える重要性が増してきていると感じています。そんな中で、実務以外でもそういった施策を考える場数をもっと作りたかったというのが理由です。

——なるほど。実際に外部アワードへの参加を重ねてみて、どのように感じていますか?

丸山:「メディア掲載を獲得するPRストーリーをつくる」プランニングだけではなく、「コミュニケーションを通じて人の行動を喚起する」プランニングの力が、少しずつ付いてきているなと実感しています。
自分が思う「これなら人が動くんじゃないか。面白いんじゃないだろうか」という着眼が本当に世の中とリンクしているのかを、プロの審査員の方々の目を借りてふるいにかけられるのが、コンペのとてもありがたいところだなと。。
その積み重ねで、自分の中に経験やアンテナのようなものが育ってきている実感があって、このことが一番大きな参加意義だと思っています。
また、PR業界の人間が販促コンペなどの企画コンペに参加したときに活きる強みとして、PR業務の中で培える力、特に“人目を引くファクト”を見つけ出す力や、メディアを介したコミュニケーションの導線をつくる力は大きいです。長所を活かして戦いながら、実業務へのフィードバックも得られる機会になっていると思います。

——PR起点の強みである“人目を引くファクト”を見つける力を活かしながら挑戦、という視点が素敵です。挑戦されている外部のコンペで、特に気に入っている事例があれば教えてください。

丸山:そうですね、たくさんありすぎるので、ちょっと考える時間をください。(笑)
では、販促コンペから面白いと思った受賞作をひとつ。第12回でグランプリを獲得した、「キャッツアイセイケース」という事例です。
アイセイさんのカラーコンタクトレンズを衛生的に使うために、使用期限を守る、ちゃんと汚れを落とすなどの適切な使用方法を習慣化してもらうには何ができるか、というお題に対して、猫の顔の形をしたコンタクトレンズケースをつくろう!と提案した企画です。
これ、猫の目の部分にコンタクトレンズを保管できるんですけど、その目の部分に、ブラックライトが入っていて、光るんです。
さらに面白いところが、コンタクトレンズにつくタンパク質の汚れは、ブラックライトで可視化できるっていうファクトがあるところです。
可愛らしい猫のデザイン、目が光るというキャッチーな仕組み、そしてブラックライトでレンズの汚れが見えるというハッとする要素など、フックがちりばめられている。思わず気になって手に取ってしまう緻密な設計が、すごく面白いなと思った事例です。

——こちらは面白い事例ですね。そうした事例を振り返ったときに、PRと販促の違いについてはどう感じていますか?

丸山:その違いはもうないんじゃないかなと思いますし、むしろ違いを取り払っていくことが、PRに携わる者として今後すべきことかなと考えています。
従来の考え方では、「コミュニケーション全体の中で購買行動につなげることにフォーカスしたアクション」が販促で、「企業・ブランドの関係構築や、認知拡大、好意醸成のような、前段階の空気作り」がPRの領域、というような切り分け方がありますが、その区分はもうできなくなってきていると思うんです。メディアが多様化していく中で、どちらも統合していかないといけない。自分たちも、これまで販促がカバーしていたような領域の知見をどんどん取り入れていかないといけないと強く感じています。

——これからもコミュニケーション手法が多様になっていくからこそ、PRに携わる私たちも境界線を意識せずに、生活者の心を動かすだけじゃなくて、行動を喚起する試みにどんどんチャレンジしていきたいですよね。

丸山:最近、コミュニケーションの事例を見ていて、「行動が伴ったメッセージこそが強い共感をもって受け入れられる」という流れを強く感じています。
例えば、大坂なおみさんがグランドスラムの期間中、メンタルの問題でインタビューに出られなかった際に発生した罰金を、アメリカのCalm社がすべて肩代わりして支払ったということがありました。
Calm社は、「世界をより健康に、より幸せにすること」をミッションに、メンタルヘルスを向上させる瞑想アプリを開発している企業です。このアクションを受け、SNS上で多くの人々がアスリートやビジネスパーソンのメンタルヘルスについて論じることにつながり、瞑想アプリのアクセス数、ダウンロード数も向上しました。
自分たちのビジョンをただそのまま伝える「口だけ」のコミュニケーションにせず、行動でも示したことで、とても大きな反響を呼んだ好例だなと思いました。昨今は、こうしたコミュニケーションのあり方が強い共感を生み、ひいてはその先の購買、ダウンロードなどの行動変容まで結びついているなと感じます。

——そうですね、企業のミッション(=目的)と、出しているプロダクトやサービスの目的、それから企業の行動が、全部一致してるからこそ、はじめて信頼される。当たり前のことなんだけれど、今これだけ情報が氾濫している世の中だからこそ、見直されています。
そういう意味ではマーケティングだけじゃなくて、経営ゴトでもありますね。

丸山:そうですね。本当にそう思います。

——行動変容を促す、というところに話を戻すと、外部のアワードに応募していく際に、アイデアの切り口はどのようにして探されていますか?

丸山:PRの領域で培ってきた、“人目を引くファクト”を探し当てる経験値がとても役立っています。
社会の文脈と課題の企業・商材を結ぶ、納得感のあるストーリーは、企画の背骨を太くし、説得力を強めるとても重要な要素だと思いますが、ファクトはその一つの材料として使えます。
たとえば、すごい小ネタですけど、ドラマ半沢直樹の2期目が放送されていたタイミングで、ある都市の水道利用量が半沢直樹のオンエア時間帯だけめちゃめちゃ減るというファクトがあったんです。(笑)
こういう、「へー、そうなんだ!」という発見感というか、思わずクスッと笑っちゃうような数的根拠が施策とセットになっていると、企業や商材に振り向いてもらいやすくなるなあと。そんな“人目を引くファクト”の探し方や着眼点は、PR 会社の人間ならではのスキルなんじゃないかと思っています。

——ユーモアや優しさ、新発見のような情緒的な価値は、社会的な意義・課題などよりも、スッと受け入れやすいですよね。
共感しやすいテーマって他にもあると思いますが、身近でちょっと笑っちゃうとか、泣いちゃう、心がぎゅっとするとか、はっとするとかって、話の入り口としてすごく機能するんだろうなって思います。
PRを通してどう情報を届けるかと考えるときに、私たちが実践している考え方や視点は、おっしゃるとおりとても生かせるなと思いました。
最後に、これから丸山さんがやっていきたい仕事を教えてください。

丸山:メディアパブリシティを介した情報発信などの一般的なPRの領域から、“思わず人が動く”を考える販促領域までの一貫したコミュニケーションのプランニングこそが、時代に適合していくには必要不可欠だと思っているので、今後も引き続き携わっていきたいです。
PR業界の中で、販促などの周辺領域のコンペに積極的に挑戦している人って、まだ数が少ない一方、マーケティングや広告に携わる方々は、PRの技術をすごく積極的に取り入れているなぁと思うことも多く、PRパーソンもマーケティングや広告側の知見を吸収しないと生き残れないという危機感もあります。一緒に仕事をしていくときにも、同じ共通言語を共有できていれば、仕事の質や効率がもっと上がってくると思いますね。

——ありがとうございました!社内ではもちろん、社外での活躍にも今後も変わらず期待しています。

丸山:ありがとうございました!

「PRと販促の垣根はもうないし、むしろ違いを取り払っていくことが、PRに携わる者として今後するべきこと」。柔らかな雰囲気の丸山さんから発せられる言葉一つひとつに強い決意を感じましたし、話を聞いていた私自身、PRという仕事に携わる人間として、改めて背すじが伸びる気持ちとなる対話でした。

次回の更新は1週間後。「これからのPRの形とPR会社の役割」をテーマにプラップジャパンのプランナーとの対談記事をお届けする予定です。ぜひご覧ください。

この記事が参加している募集

広報の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?