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2019年映画『任侠学園』感想

2019年映画『任侠学園』(監督/木村ひさし)鑑賞。
ヤクザなのに社会奉仕が大好きな阿岐本組組長(西田敏行さん)からの頼まれ事は毎回厄介で、若頭の日村誠司(西島さん)と子分ら(伊藤淳史さん、池田鉄洋さん、佐野和真さん、前田航基さん)は毎度頭を悩ませている。今回は経営不振の高校を建て直して欲しいとの依頼を受け、嫌々ながらも協力することになる。

経営不振と言いながら、教師たちは建て直す気など全くなくて、厄介そうに日村たちと顔を合わせる。しかし適当な理由で部活は廃止されていて、生徒たちも無気力になっていた。その中で日村は反抗的な態度の女子生徒で「学園一の問題児」と言われるちひろ(葵わかなさん)が気になり、ちひろを中心に協力してくれる生徒たちと部活を復活させようと奮闘する。実際には生徒たちに非はなく、金儲けや立ち退きなどを考える大人たちのせいだった。

日村たちの貢献のおかげで無事明るい学校生活を取り戻した生徒たちは、去って行く日村たちに、校舎の窓から大きな垂れ幕を掲げる。(一度失敗w)それは阿岐本組へのお礼の寄せ書きだった。
日村たちはそれを見て微笑みを浮かべつつ、決して振り返らず学園を後にする。振り返ってはいけないのだろう。生徒たちがより良い学校生活を送れるのならヤクザはもう用済みなのだ。彼らの後ろ姿にそんなメッセージを思う。その誰にも聞こえない想いはエンディングで西田敏行さんが歌う「また逢う日まで」に乗せられる。西田さんの歌声はよく伸びて優しくて絶品です。
しかしそんなお涙頂戴で終わる監督ではない。
エンドロールでNGシーンを流し、笑い上戸な西島さんはここでも健在で、とても良い撮影現場だったことを窺わせる。最後は次回作があるのでは? と思わせる終わり方なので続編があればいいな、いつかきっと、と未来に想いを馳せる。また会う日まで。

話とは直接関係ないのですが、前半、見守りのため校舎にカメラを設置してトランシーバーでやり取りする場面があり「どうぞ!」の合図は絶対に気合を入れないといけないと言う暗黙の了解があり、役者さんそれぞれのドスの効いた「どうぞ!」の声に嵌ってしまい、爆笑。そこでの西島さんは迫力と言うよりは妙な高音なので、いい声なのにどことなく威厳がなくて笑ってしまう。本作も木村ひさし監督特有の細かいジョークが細部に散りばめられています。どうも監督の作品に出演する西島さんはいつもどこか面白いキャラクターに仕上げられている気がします。(好きです)

映画ポスター
過去にパンチパーマモデルになっていた日村のポスターは商店街の理容室に未だ飾られている。こういう西島さんもなかなか新鮮です。

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