映画「若き仕立て屋の恋」感想

2004年「愛の神エロス」というオムニバス映画の一篇として制作された
ウォンカーウァイによる「若き仕立て屋の恋」に12分追加してロングバージョンとして劇場公開された

54分という中編ながら、若き仕立て屋と、お得意先である高級娼婦との秘めたる恋の物語を余白と空白をたっぷり用いて観客を引き込んでいく

高級娼婦ホアを演じるコン・リー、高飛車な女性がパトロンを失い徐々に落ちぶれていく、そして最後には何かの感染症に罹患し心身共に弱っていくのだが、弱っていけばいくほど美しさが増していくのだ。(これは私の好みの問題なのか?)

秘めたる思いを抱えつづける若き仕立て屋のチャンチェンはピッタリの役だと思う。憂いの表情がよく似合う。

撮影監督はお馴染みのクリストファー・ドイル。鏡を使ったり、照明を背に役者を配置し、芝居の途中でコン・リーの背後から光が放たれる美しいシーンを見せてくれる。

ラストはホアが何かの感染症に罹るのだが、撮影当時はSARSが中国で猛威をふるっていたので、それを思わせる。コロナが猛威をふるう現在2023年であっても、何か感じるラストであった。

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