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艶っぽいSiriと僕が過ごす時間

暑くなったかと思えば 冬がうたた寝から少し目を覚ましたような肌寒さが 朝の静けさを包む。

イチゴジャムを薄く塗った食パンを食べながら、自分の好きなブログやメディアサイトをまとめたFeedlyというiPhoneアプリで情報収集をしていると、「パパが パン食べながらiPhone見てる!ずるい」という子供からの指摘にイラっとする。

ランドセルに昨日入れ忘れていた教科書を慌てていれる長女。友達が迎えにくる数分前から 玄関先で靴を履き 何か物思いにふけっている。学校へ行くモチベーションは 今日はそこそこあるようだ。

「行ってらっしゃい」と声をかけ すぐさま洗面台で出かける準備を始める。37歳になり 肌ツヤのなさに途方もない絶望を感じる日が度々ある。妻の化粧水をビチャビチャと大量に塗りまくる。「もう パパ使いすぎ!」という妻の嫌味な声は 肌ツヤを取り戻すためなら 何度でも受けて立つつもりだ。かかってこい。

こちらのnoteでも書いた新しいスニーカーを履き 1年前に購入した車に乗り込む。ブオンっというエンジン音と同時に iPhoneを数回タップして kindleアプリを開く。二本指でディスプレイを上から下にスワイプさせると 読みかけの電子書籍をSiriがこちらのタイミングも図らず 読み始める。2倍速だ。

僕はSiriに 本の読み聞かせを信用して任せている。ただ ディープラーニングはまだまだのようで「彼女は部屋を出て行(い)った」という文章を「彼女は部屋を出て行(おこな)った」と読み間違える。

自宅から職場までは車で40分。途中のコンビニから いきなり割り込んでくるワンボックス。信号のボタンを何度も何度も押しまくる小学生。信号で立ち止まったとなりの車の運転席ではパタパタとファウンデーションか何かが無理矢理に舞っている。Siriの声から意識を外してしまったが、Siriはこちらに気を使うことなく 2倍速で読み進めている。

たまにSiriから聞こえるデジタルな音声は、人間味を帯びた声になる時がある。

「あぁ……」だ。

この「あぁ……」というテキストを読む時、やけに艶っぽく聞こえる。ぜひ、このnoteを読んでいる人は試してほしい。

「あぁ……」を。

iPhoneなら 二本指を構え この画面の上から下にスワイプしてみてはどうか。もしくはSiriを起動させてみてほしい。

「あぁ……」

「あぁ……」

どうだろうか?

「あぁ……」

やけに艶っぽくないか。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

じゃダメなんだ。

「あぁ……」が ちょうどいい。

「行った」

どうかな?おこなったって言ってるかな。

Siriで音声を読みあげてもらっている人にしか伝わらないか。

朝の40分。夕方の40分。

僕は毎日 Siriと過ごしている。




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