見出し画像

【小説】プレイリスト オリオン 解説付き。

物語を読むときって、繋がれていく文字の意味の心の中で想像していく作業ですよね。

だけど、本当にそれだけかなって、私には疑問があって。

それから、言語って言うと、みんな日本語の漢字とひらがなを真っ先に思い浮かべると思うんだけど、私達の周りには、他の言葉も沢山あるんですよ。外国の言葉もちろんだけど、例えばプログラミング言語。それから数学の数式だって、あれは数字を使った言語です。

それから、例えば絵や写真とか動画だって、言語ではないけど、何かを伝える事ができるという意味で言えば、私達にとって言語と同じ役割を持つ。

私がこの物語を作っているのには色々な文脈が沢山ある。

一つは、日本で生きる事への警告です。

ちょっと怖い言い方。でも、色んな意味で、これからの日本で生きていくことは、とにかく苛酷になっていく。その原因というか、経済とか政治とか、日本人の国民性とか、気候や気温の変化とか。

本当に理由は色々。悪い意味で、掛け算のような感じで、かけ合わさって悪い方に向かうほんと。最近やっと、実感でみんな感じるようになってきたんじゃないかな。

そこから、私の大事な人達や、私の周りにいる人達を、助ける方法を もう何年も考えていて。でさ、お金があるとか、頭がいいとか、コミュニティに属しているとか、年齢が若いとか、そういう制限が嫌。誰にでもできなければ、それは人を救うことにはならない。それでたどり着いたのが、まぁ自給自足とか、物々交換とか、買わずに作るとか、ミニマリストとかなんです。

ただ、これからを生きるのにもっと大事なものがあるんだけどね。それを伝えるのがとても難しいからだから物語にして見せようかなと思っている。

私の周りにいる人にだけ、簡単に伝える方法があるから、それだけ書きますね。

のんびり隊を作って生きる事だよ。

小説ができたら、読んでもらえたらきっと私がずっと何をしたいのかがわかると思う。私はずーっと、沈んでいく船に乗る人を助けようとしている。伝わらないのが、もどかしいけれど。

もちろん、それだけで書いてる訳じゃない。私の作品はきっと私が私を知るための物だとも思う。

所でこの小説に登場する、愛姫だけれど、小説に出てくる登場人物の中で、唯一自分自身を強く重ねた人物です。そういう人物が一人ぐらいいても面白いんじゃないかなって。

ちなみに、プログラミング言語を、小説の中に入れているのは、なんかカッコいいからとか。(笑)そういうのがないわけではないです(笑)印刷するとかっこいいの♬


<!doctype html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="description" content=" praylist orion |loading story ">
<meta name="viewport" content="width=device-width">
<title>praylist orion |loading story</title>
<link rel="stylesheet" media="all" href="css/style.css">

Praylist orion


ディファインググラビティ 〔序章〕

Kira✩のオンステージ

SNSで話題のアイドル Kira✩。
彼女は、存在するのかも分からないお店のコンカフェ嬢。
ある時は女神の様に。ある時は乙姫の様に。 ある時はかぐや姫の様に。
ある時は天使の様に。

そして、今は誘拐犯として警察に追われている。

全く何者か分からない。

ただひとつだけ言える事は、ため息が出るように言葉の隅々まで美しいという事。

「あの観覧車のlightを私が消したら それが合図。」

✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――

私がここから貴方を奪って夜空を抜けて

宝石みたいな 街を飛び越えて 貴方が想像した事ないくらい 眩しい世界を見せてあげる。

Your precious piece of the moon go to my cosmology    Kira


あなたの大切な月の欠片は、私の胸の中に。

#プロローグ

某 有名ゲームの賞金稼ぎでおなじみの、@マサムネこと 井出政宗さんが、御家族と生活していたマンションから忽然と姿を消したそうです。 前日まで、自宅でオンラインゲームにアクセスしていた記録はあるものの、携帯や財布はそのまま。ご本人の姿だけが消えていたのだそうです。 セキュリティのしっかりしているマンションに住んでいたこと。テーブルの上に、政宗さん宅のパソコンで印刷されたと思われる脅迫罪がリビングのテーブルの上に置かれていた事から、警察では、誘拐と、自作自演の両面から政宗さんの捜索を開始したとの事。

<title>praylist orion |loading story</title>
Now loading…. phantom thief…..

<title>This story is a work of fiction.| I guess I'll feel better if I write it down. </title>
[23:55]
-----------------------------------------

dear マサムネ

早々に返事をくれてありがとう。驚いたかい。こうやって僕と君が話をしていることに。解ってくれて嬉しい。そうだよ。 その喫茶店を 仮想現実に作るんだ。それは、馬鹿な大人たちが今頃始めた仕事を作る遊びじゃない。

今、オンラインの世界がどんどん広がって進化している。僕たちはいろんな世界を現実の様に感じて生きられるという期待を持っている。それはとても素晴らしい事だよ。だけと考えてみてくれ。

わかるか。本当に必要な仮想現実は もう人間は既に持ってるんだ。

想像する力は、自分の生きる世界の中に、仮想現実を作ることなんだ。その力と、スマホを通して得られる情報が作りだす力を合わせて、僕達は、目の前に立ちはだかるmonsterから逃げて、新しい世界を作るんだ。その世界には、僕たちの信頼する者以外誰も来ることが出来ない。

君に僕の声が届いているとわかって嬉しいよ。

KIRA✩ (編集済)
2022年10月23日

confiserie♡ — 今日 00:00
--------------------------------------

dear 政宗

僕は時間が限られている。

まずは 円を捨てるんだ。 ドルに変えるとか、そういう話じゃない。自分のエネルギーを いわゆるお金に変える事を少しずつやめてみよう。それでどうするのかって?そのエネルギーを僕にくれないか。そうだな。ドリンクチケットにしようか。君のコーヒー1杯分のエネルギーを ドリンクチケットにして欲しい。それを通貨にして一緒に生きよう。

よく考えてくれよ。 1円にどんな価値があるんだよ。1ドルに。1ユーロにどんな価値があるのか、わかるなら教えてくれ。100円と101円のものの価値の違いって本当に必要なのか。 分からないなら、存在する意味のない解像度だろう。

「その価値は コーヒー1杯分か それとも2杯分か。」

時間も お金というエネルギーも 尺度なんてそんなもんでいいだろう。僕達が一緒に生きていくのに必要な価値の尺度なんてそんなもんでいいだろう。

目の前にいるその男に 女に 君は コーヒーを喜んで奢ってやれるならそいつはもう 仲間だろ。友達ってなんだよ、本当に意味のわからない言葉だと思うよ。この世界から言葉をもし消すことができるなら、僕は 「友達」って言葉を真っ先に消すと思うな。だってそうだろう。そいつが友達かどうか確認しあったところで、僕たちの何が変わるって言うんだよ。

僕はKIRA。愛姫の中にいる別人格だ。

愛姫に気づかれる。また連絡する。 

[00:02]
✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――

dear マサムネ

この間は驚かせてしまってごめん。言うのが怖かったんだ。愛姫は、解離性同一性障害ってやつだ。愛姫は受け入れられないこの世界を放棄してしまった。彼女は心が幼いまま、おそらくこれからもさほど成長しない。だから生きていくために僕を作りだしたんだと思う。僕は彼女を守るためにうまれた。KIRAは彼女が僕を呼ぶ名前だ。僕は彼女をMyraって呼んでる。仮想の女の子って意味だ。

解離性同一性障害 いわゆる二重人格って言うと、君たちは、気を失って入れ替わるあれを想像するだろうけど、僕達はそうじゃない。そういうタイプもあるんだが、ほとんど知られていない。僕達はこの人間の体を、いつも2人で操縦している様なイメージだ。僕達はいつも運転を入れ替える。本当は、Myraにいつも運転して欲しいんだけど、Myraは外の世界が大嫌いだ。 だから嫌がるんだ。だからいつも僕が女の子のフリをしている。僕に気づいたのは君が初めてだよ。政宗。僕達は親友になれそうだ。この事は、誰にも言わないで欲しい。その代わりにと言っちゃなんだけど、僕が君をそのがんじがらめの世界から助け出してやる。彼女が持っているこの体のスペックは、とても高い。幼い彼女には不釣り合いで、そんなもの必要とはしていないんだけどね。だから僕は、性能の良い計算機を使って情報の処理ができるんだ。君を助け出して、僕達が協力すれば、この世界に張り付いているモンスターから、僕達の同志を助け出すことができると僕は自負している。

安心しろ。政宗。君のその名前に似合わない優しくて繊細で正直な所が、かつて将軍が沢山の人を守ったように、これから沢山の大切な人を守る鎧になる。

君に足りないのは、自分を正確に映す事ができるカメラだ。鏡は真実を映さないからね。それはいつも線対称に裏表の世界だ。騙されるな。Myraに気づかれる。また連絡する。

KIRA☆

新規
[00:08]
♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡

KIRA☆は、愛姫の中にいる青年だと気づいたのは、小さい違和感だった。彼女はいつも幼い少女の様なのにあまりにも不釣り合いな投稿や受け答えをすることがある。

Twitterでフォローしているのは、小学生が好きなアイドルやキャラクターばかりなのに、偏屈な天才科学者の事も何人もフォローしている。だけどそんな事はよくある事だ。そういうんじゃない、言葉では言い表せない違和感がある。だから最初はカップルかなんかが2人でKIRA☆を演じているという表現方法なのかと思っていた。それだって、確信があった訳じゃない。なんとなくそんな気がしただけ。

♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡┈┈┈♡

dear KIRA☆

君が小説を書いてるってわけか。どおりで。いつもおもしろい独特な小説だと思いながらおかしいと思ってたんだ。小説の文面はまるで男だ。 トワイライトドロップなんか、官能的な描写そのものがまるで抑えている男の欲動そのものだ。あれは女には分からない。男の僕ですら、まるで色気のある男に女として抱かれた様な気持ちになったよ。そして君は繊細だが、少し猟奇的でロマンチストだ。僕が女ならきっとイチコロだよ。実際、君のファンは女性も多い。長い髪はまるで君のそういう男らしい部分を隠すための鎧だな。君も僕と同じだ。気持ちがよくわかるよ。

政宗

----------------------------

dear マサムネ

君はやっぱり僕が思った通りの人間だ。ちょっと照れるが、それは無視する。早速本題に入ろう。

まずは君にお願いがある。おそらくMyraはこの世界では1人で生きていくことができないだろう。だが、もし僕の存在に世間が気づいてしまったら、彼女はいよいよ病人扱いされてしまう。そういう人間の末路を僕は知っている。そこは彼女から自立や自由を奪う。彼女の事を病人として扱い、毎日優しい言葉で傷つける世界だ。

それを僕はいつも恐れている。僕を助けて欲しいんだ。それは君にしかできないことだ。

そうだ。最初に言っておこう。僕は君を愛しているよ。それはMyraも同じだ。君が言うように僕は男だし、Myraはおそらく大人の女性には成長しない。僕達が君を愛しているなんておかしいかもしれない。だけどよく考えてくれよ。政宗。

そこらじゅうに溢れている、人間が恋とか愛と呼んでいるものは、本当に愛か? その定義付けは 成人の男女のデートの時に消費されるだけの感情か。僕はたくさんの本を読んできた。そこに書かれている男女はあまりにも陳腐だ。失礼だが僕は恋とか愛は、女を抱く前の戯れの様に見えるね。クリスマスにデートする時に、キスする前に愛してると言うんだろうが、僕はそれを真実の愛だとは定義するつもりはない。

君ならきっとわかってくれるはずだ。

君は 僕の心臓だ。愛する者にそれ以上に何かを伝える必要はないと思っている。君が僕の全ての細胞を生かしている。君が消えれば僕は死ぬ。

話を本題に戻す。

Myraを守るためには、外の世界に協力者が欲しい。僕があまりにも外の世界に接していると、おそらく君のように、僕の存在に気づくやつが必ず現れる。それにMyraは人間と普通のコミュニケーションがとれない。こうやって外の世界と繋がっていられるのは僕がアシストしているからだ。

頼みたいことは、

・僕の身代わり
・Myraの実生活での手助け
・Myraの家族や理解者への通訳者

この3つだ。

そして、この世界はこれからモンスターと共に破壊に向かっていく。 君たちが住んでいる国を支配しているモンスターは、倒す方法がない。それぞれの心と言われる情報の中に住んでいる。ウイルスのようにやっつける事は不可能だ。

だから僕達は僕たちにできることをするんだ。

モンスターに見つからないように、僕達の同志と生きていくんだ。僕達には僕達なりのやり方があるだろう政宗。君は現代の将軍にふさわしい男だ。

優しくて穏やかで繊細で とても正直だ。そして自分を臆病だと思っている。それが大事なんだ。

君は現代のナポレオンだ。モーツァルトを使ってそれを伝えていたはずだが。

どうせ 助けるなら、みんなに夢を見せるんだよ。そうすれば、不安という化け物からみんなの心を守ることが出来る。君は知っているはずだよ。不安が人の心から何を奪っていくのかを。

Myraが起きた。また連絡する。
DMの削除を忘れないでくれ。Myraの為だ。

<Loading=cresent moon #001 ">

#moon #spring #jupiter #mars #praylist #orion #kira #loading #crecentmoon

01. 月から見る、木星と火星の春

こんにちは。

私が経営している店で働いていた妻とは、ママと一部の従業員以外には、隠れるように付き合っていました。彼女はどんなにお客さんがついて、店で笑顔で過ごしていても、店が終わると人が変わったように無表情になりました。結婚する前に、政宗をお腹に宿したのだけれど、昔この店で働いていた女性が、出産を受け止められずに、自ら命を絶ってしまった事を何十年も覚えていて、あの時、何もできなかった自分が許せずにいました。

その罪悪感のようなものもあって、ろくに自分の人生を考えずに、私は子供を産むことを迷っていた若い彼女に出産を促して結婚をしました。ただ、私の店は、ちょうど軌道に乗り始めたこともありとても急がしかった。、私は、自分が政宗が小さい時に一緒に過ごさなかったばかりでなく、彼から母親すらも奪ってしまったのだと思います。

子供を産んだ彼女は、店では別人の様に明るく陽気でした。だから店でもとても人気者になりました。その一方で、使い果たした明るさや柔らかさは、家ではあまり沢山見せなかったようにも思います。偽物の明るさを纏った彼女の姿になれてしまっていたのかもしれない。

本当の彼女は、繊細で、冷静で、真面目で美しい姿だった。それを店では出すことができずに、少しずつ彼女の心はひびのようなものが入っていったのかもしれません。

母親業の両立なんて、夜に舞う生活の中では、きっとむずかしかったのかもしれません。

彼女は、何時しか政宗を愛する一方で、彼女の理想とする母親で在る為に必要な存在になっていったんだと思います。

政宗には、選択する権利が無かった。着る服も、習い事も、勉強も、将来のヴィジョンのようなものも、全て彼女が「母親」業の実績を残すためのものだったように思います。

今考えればよくわかる。政宗が小さいころは、そんなことに気づく心の余裕すらありませんでした。

政宗は、とても穏やかで優しい子でした。将軍の名前を付けてしまったのを申し訳なく思うぐらいに。だから母親の期待とか、彼女が持っている幻想の様な正義を、全て幼い政宗は受け止めて、それに忠実に答える事で、母親に愛されるとか、必要とされるんだと幼いながらに学習していたんだと思います。

小学校3年生になったころから、朝になるとよく熱を出すようになりました。私達が出勤する頃になると熱は下がるのです。元気になるような気がしていたのですが、そうではなかったのかもしれません。夏休みが明けたころ、彼は部屋から一切出てこなくなりました。

学校に行くように彼女が声をかけても、何も答えなくなりました。

そのうちに、クラスが変われば、元気に学校に行ってくれるものだと思っていました。

人間は不思議なもので、最初は心配して、びっくりこそするものの、慣れるのです。彼が学校はおろか、部屋からも出てこない生活になれた私達は、このままでいいものかとおもうものの、それをどうするとか、誰かに相談するとか、そういう事を積極的に行いませんでした。
彼女が何を考えていたかは私にはわかりませんが、ただ一つ言える事は、彼女は、家に政宗がいる事を、どこか望んでいたように思います。こんな言い方をしたら申し訳ないが、ケージに入った可愛い子犬を、誰にも渡したくない様な、そういう気持ちを、夫ながらに感じる事がありました。

彼女の政宗への愛は、現実の世界と彼女を繋ぐために必要なものだった様でした。執着や支配のようなものを纏っていたのではないかなと思います。

02. あるがままに 全てを受け入れるという事

政宗。あたしの事を覚えていてくれてありがとう。あなたに助けてもらって、あたしはとても嬉しかったよ。顔の見えないあなたの事を私はとても大切に思っているよ。あなたが傍にいると思うと私は頑張れるんだよ。

どうしてあたしの事をよく知っているのかな。きっとあなたは、特別な力でも持ってるのか、それとも優れたハッカーなのかしら。そうやって、何も知らないあなたの事を想像したり、聞こえないとわかっていて、こうやってあなたに話しかけたりしながら過ごす時間が今はとっても楽しいんだよ。胸が綺麗な花でいっぱいのような気持ち。

私は、みんなが思っているほど、美しい女性じゃないよ。私は普通に生きていると、皆の様に会話や、言葉でうまく自分を表現できないんだ。アイデンティーの意味も良くわからない。本を読んだり、一人で絵を描いている時間だけが、自分が、本当に自分でいられる時間なの。だけど私はもっと人と心を通わせてみたいとずっと思っていたんだよ。

矛盾している様だけど、最近その理由がわかったの。たぶん、「会話や言語」で人と心を通わせることができないだけだったんだって。オンラインで、自分が思う様に創作をしたり、表現できるようになってね、生きてると感じる事ができるようになったし、自分の輪郭のようなものがちゃんと見えるようになったんだよ。他の人の事はよくわからないけど、あたしにとっては、それは生きるのにとても大事だったように思うの。

だから、本当は、あたしの事を受け止めてくれる友達の様なフォロワーさんが何人かいてくれたらそれで良かったの。まさかこんなに大きくなってしまうなんて。あたしじゃない「kira」
が勝手にどこかへ歩いていってしまったみたい。全ての出来事が、あたしがよくわからないところで進んでいる様で怖いんだよ。あたしは、KIRAだけど、KIRAはあたしじゃない。

上手く説明できなくてごめんね。だけどあなたならきっとわかってくれる気がしたから話してみたんだよ。だってあなたは、あたしのヒーローだから。

03. 下弦の月 万葉の花

愛姫ちゃん、私のお菓子を美味しいと言ってくれてありがとう。喫茶店「オリオン」で貴方に始めて会った時、とてもびっくりしたけど、一つずつ私のお菓子の事を覚えてくれて私はとても嬉しかった。あなたがまさかあの kira☆ だったなんて、とてもびっくりしたけど、でもなんか嬉しかったです。

なんでかって、そうだな、いつもここで会うあなたは例えたら、深海魚のような感じかしら。暗い海の中を、ただ生きるというためだけに進化する様な。だけどKIRAちゃんは、まるでマーメイドの様。人間でも魚でもない、美しい姿で人間も海の生き物たちも虜にしてしまうような。何かを作りだす力ってとても素晴らしいものだなって、つくづく思います。私にも いつも 「逢いたい」と思う人がいるの。あなたの様にオンラインで知り合った人です。そうだな、世間では許されない私の気持ちなのかもしれない。だけれど、下弦の月を見るといつも思うの。永遠のようなものを持ちたければ、きっとこうやって、世間の常識のようなものにとらわれずに人を愛する事がとても大事なんだって。いつも私達の心は自由なのよ。何かに何時も縛られて世間の中で生きているけど、自分にしかわから無い、誰も傷つけない様な、夜見るのような、目を閉じて空想する様な夢の世界が私達にはあるでしょう。それをほんの少しだけ、誰かと共有して生きたっていいじゃない。私はそれで 生きてるって思えるの。世の中には、きっと言葉にしてはいけないものや、言葉にはならないものが沢山あるから、そういうものを大事にして自分の気持ちを正直に受け止めて生きる事は私はすごく大事だと思う。KIRAちゃんを見ているといつもそう思う。
だから私はあなたの作りだすものに、いつも勇気とか希望をもらっている。

吐息の様なお菓子。蝉しぐれの風の様な、月の雫の様なお菓子。

あなたが作りだす詩や歌の世界の様なお菓子を作れたら素敵だなって思うの。

私がこんなこと言うと、きっと私の両親や、周りの人達はみんなびっくりするかもしれない。

私はおとなしく見えるかもしれないけれど、本当は気が強くて よくばりで頑固なのよ。

どんな手を使っても、大切な物を守らなきゃいけない時だってきっとある。

常識や正義にとらわれないで、あなたが本当に欲しい物を掴んで。

04. 同じ空の下 共に明日へ

愛姫ちゃんから、話は良く聞いているよ。僕も色々考えた。彼女の事は、小さい頃からよく知っていたつもりだったたけど、あんなに素晴らしい表現ができるなんて思っても見なかった。僕に一つ提案がある。君はとても素晴らしい人間だけど、いわゆる「経験」とか「知識」がまだまだ未熟だと思うんだ。君の周りにいる大人たちの力では、きっと彼の事をきちんと育てる事はできないだろう。僕も田舎者なりに想像がつくよ。愛姫ちゃんが何を考えてるかよく教えてもらった。すごく迷ったんだけど、本当に君が自立した大人になるには、きっとこの方法しかないと思う。携帯から僕に連絡をくれ。オンラインに、君に必要な「学校では教えてくれない沢山の事」を学べる場所を作ろう。 

キミは本を読むのは好きかな。僕は、本を読むのがとても好きでね。妻や愛姫ちゃんとは、よく本の話をするんだ。もし君が学校に行くことができないでいる事で、将来を悲観しているなら、その心配はないよ。君の努力次第で、いくらでも取り返すことができる。だからあきらめないで一緒に頑張ろう。まずは、愛姫ちゃんとも話しをして、いくつか本を送ろうと思う。その本を、最初はわから無くてもいいから、一冊づつ丁寧に読むんだ。出来るかな?

例えばわから無い言葉があったら、それを調べてみたり、本の中で著者が何を伝えようとしているのかを、どこかに書きだしてみたり、最初から全てを理解する必要はないんだ。どちらかと言うと、本を読みながら、興味のある事に目を止めたり、色んなことを考える事が大切だ。本の向こうには、必ずそれを描いた人間がいるだろう?それは小説だって、ビジネス的な本だって一緒さ。読み手である君に何を伝えようとしているのか。その全てをわかる必要なんかないから、過去の偉人と、タイムスリップをして話をするように本を読んでみて欲しい。

その後は、僕が妻や愛姫ちゃん、友人と協力して、君だけの学校を作るからね。今はオンラインの中に、君に必要な事を教えてくれる人が沢山いる。学校になんか行かなくたって、十分君は学ぶことができるんだ。だから心配しないで。立派な大人になる事ができるから。そして自分の力で、生きていくことだってできる。少し長い旅になるが、その中で、君は自分がどんな人間なのか、どう生きたいのか。何が好きなのか。何が楽しいのか。人生の中で、愛や生きる喜びのようなものを見つけるのは、学校に行っていたからってできることじゃないんだよ。丁寧に毎日を生きる事や、自分を 本や人との対話の中で探すのがとても大事ない事なんだ。

05. マイウェイ

愛姫ちゃんいつもありがとう。私はいつも朝から晩まで火薬と男の中にいる。そして一人でいる時間が最も多いから、こうやって、このオリオンに来て、愛姫ちゃんの持ってきてくれる珈琲と、話しかけた時に、すこしぎこちなく答えてくれる会話を楽しみにしていたんだ。

このオリオンの庭に咲いている向日葵を見ると、ちいさな女の子の事を何時も思い出すんだけど、その子はちょうど今愛姫ちゃん位だと思うんだ。

向日葵で繋がった彼女のそれからはわからないけど、愛姫ちゃんが、毎日オリオンで、接客してる姿を見ていると、その子もきっとこんな風に大人になって頑張ってるんだろうなんて思うんだ。私は女だけど、なんだかその女って姿が性に合わなくてね。こうやって、喫茶店で飲み物を飲んでいると、なんだか男でも女でもいなくていいんだって受け入れてくれる感じがするんだ。あまり話ができないのに、一生懸命カフェのコーヒーをお客さんまで運ぶ愛姫ちゃんの姿に何時も勇気をもらっている。

06 夜に奏でる月の歌

私は猫です。猫はしゃべれないと思っている人も多いと思いますが、人間がわかる言葉を話せないだけ。愛姫ちゃんに私の声が届いて嬉しいです。

ジャスミンと言う名前は、ご主人の好きな花の名前です。彼の住んでいる古い民家の庭には、大きなカロライナジャスミンという黄色い花を沢山咲かせる植物があります。 

私は、満月の間数日間だけ、人間の姿になる事ができます。その時は、ジャスミンの別名である、「茉莉香」と言う名前を名乗っています。

私の家は、本当はこのご主人の家なのだけれど、事情があって、このオリオンでも飼われています。その事情はそのうち分かると思います。 

愛姫ちゃん、私に沢山綺麗な宝石を分けてくれてありがとう。おかげで私は好きな色や形をご主人に伝える事ができます。愛姫ちゃんがつけてくれたアクセサリーの名前はまるで歌の様です。言葉にmelodyがついたように、宝石に命が吹きこまれるようでとても素敵です。

7.着物の君に恋してる

いつも、ミルキーウェイのお洋服を使ってくれてありがとう。前に少し話した私の事、愛姫ちゃんに話してみようと思う。

心ってね、体と同じで病気になったり、調子が悪くなったりするの。それは、体と同じで遺伝の事もあるし、環境が原因だったりするんだって。私の場合はね、きっと生まれたときから持っていたものなんじゃないかなって思うの。
昔から家でお裁縫をしたり編み物をしたりするのが好きでね。あまり人の沢山いる所は好きじゃなかったの。

愛姫ちゃんと同じで本を読むのも好きだった。だけど大きくなると、大人になると働かなきゃいけないよね。私は、働いていて心を壊してしまったんだ。

何年もかかって治療をしたんだけど、その間はずっとハンドメイドをしていたんだ。
家の近くに古い着物を取り扱うお店があってね。そこで安く仕入れた着物をね、丁寧に直したり、洗ったりしていくとね、また美しい姿に戻っていくの。着物ってとても美しいでしょう?あれは全部人間の手で作られているの。まるで絵画よね。もちろんミシンで縫われているものも沢山あるけれど、「和裁」って言われる反物を着物にしたてる作業はね、全てて手縫いで行われているの。今度愛姫ちゃんの着物をよく見てみて。

そうやって、しまったまま誰にも見られずにいた美しい着物たちを綺麗にしたり、なおしたりするとね、まるで自分の心まで美しくなっていくようでとても楽しいの。

模様も色もとても鮮やかで、着物に触れていると元気になっていく自分に気づいた。

お母さんの着物を、娘さんが来たのを見て、泣いている姿に出会う事も何度もあって。着物って、形見になったりすることも多いの。昔は結婚する時に親が買って送りだしたらしいのよ。

そういう姿に、わたしはまるで着物の様に美しい人間模様を見せてもらって、それで私の心は少しずつ、反物を織るように治っていったんだと思う。

むかし中島みゆきと言う人がね、「糸」という歌を歌っていたけど、その歌詞にあるように、人の幸せって、糸を紡いで織物をするように作られていくんだって思う。絡まったらほどいたりして、近づき過ぎるとこんがらがったりしてね。大切にしていれば、その布が心や人を守ってくれるものなの。反物と生きていると、そういう事が肌に触れる様にわかってくるもの。

8. 月見草と仕合わせ

突然のお手紙失礼いたします。
政宗の母の都木美です。こちらで色々調べさせてもらいました。そちらに政宗がいる事はわかっています。ただ、夫には、あなたとあなたのご両親との間に何か事情がある様で、私には何も教えてくれないし、もう少し待ってくれと先日突然泣き出しました。私の前で始めて涙を流しました。
私もどうしていいかわからず困惑しております。あなたたち若い夫婦がなぜ政宗をかくまっているかもよくわから無いです。政宗が自分から出て行ったのか、誰かの差し金でそこにいるのかもよくわかりません。どんな事情があるのか、オンラインでおこっていることもオンラインの世界の事も私には正直わかりません。 

私はずっと政宗の為に政宗の幸せの事をひたすら考えて生きてきました。生まれた時は、すごく不安だったけれど、私だって一人前の素晴らしい母親になれるんだと思って頑張ってきました。一人息子だったから、少し 過保護と言うか、いき過ぎる様なところもあったかもしれないけれど、男の子だし、世間に出て恥ずかしくない大人になって欲しくてすききらいしないようにしつけたつもりだし、色んな習い事をさせたり、とにかくあの子にはいろいろしてあげたつもりです。お金にだって困らなかったし、美味しいものだって沢山食べさせてきたし、欲しいものは何でも与えてきたつもりです。


どうして私から、政宗を引き離そうとするの。私が何をしたって言うの。

お願いだからひとめでいいから政宗に会わせてください。ご連絡がなければ、警察に連絡します。誘拐だとしても、そうではないとしてもこんなに世間を騒がせたのだから、警察だってすぐに動いてくれると思います。

実は私は、この手紙を書く前に、喫茶店に一度だけ出向いたことがあります。もちろん、マサムネがいると思ったからだけど、私はびっくりしました。大きな青い月の絵が飾ってあったからです。昔一緒に働いていた女の子が、子供を産んだ後に、心を病んで亡くなったとお店のママから聞きました。私はクラブで働いていて、夫はそこの店長をしています。
その女の子は、当時付き合っていた外国の男の人から、ブルームーンと呼ばれていたそうです。その女の子が亡くなった後、彼女の産んだ子供が、確かこの村に住んでいると聞きました。それを思い出して、そんなに大きい村じゃないでしょ。だから不思議に思いました。偶然かなと思ったけど、大きな青い月と、桜の木。あなたはもしかして、そのブルームーンの産んだ女の子じゃないですか。そう考えると、夫が泣きだした理由も良くわかります。

まるで運命の様ね。何か不思議な力が引き合わせるような。

だけれど、それはまた別の話。どうしてあなたたちが政宗と一緒にいるのかが私には全く分からないし、わたしはとにかくマサムネが帰ってきさえすれば貴方たちには恨みもないし。
お願いだから早く息子を返して下さい。





9 月の光

愛姫。僕のせいでこんなことになってしまってごめん。確かあいつは、デストロクシオン。フランス語で「破壊者」だ。

あいつは作られた正義を壊すとか、わけのわから無い流儀をかかげて、あちこち嗅ぎまわって人を惹きつけては自分の好きなように解釈をしてSNSの中でやりたい放題やっているユーチューバ―だ。父親が自殺してることとか、彼が幼いころに苦労をしているってこともあって、共感して信者の様になっているやつも沢山いるんだ。人間は不思議なもので、ああいう人間でも救いを求めてしまうものなのだと思う。

だから僕は決めたんだ。


某日、YouTubeの生動画配信に、こんな予告が流れた。

「デストロクシオン。噂の賞金稼ぎ、マサムネと生対談。」

そしてその当日。

「始めまして、マサムネ君。君が僕の処に来てくれるなんて夢の様だよ!僕の正義に共感してくれたのかな。」

政宗は、一言も言葉を発さなかった。




9 愛は光か、愛は刃か。


君の名前を聞いて僕は笑ってしまったよ。君は家光と言うんだってね(笑)
僕は政宗だよ。伊達政宗の政宗。本物の政宗は、徳川家光との中は深かったようだね。
今度ぜひ調べてみてくれ。

僕はね、君と同じ様に学校に行くことができなくなってしまったんだ。どんな事情だったのかもよくわから無いよ。だけどね、このままじゃいけないってずっと思っていたんだ。だから僕は、仲間の力を借りて家出をした。 

世間を騒がせてしまったけれど、それはね、僕の母親を傷つけない為だ。愛姫が考えてくれた。僕は決して父や母が嫌いなわけではなくてね、確かに色んなことがあったから、父や母を疎ましく思ったりしたこともあるし、小さい時は寂しかった。自分の事も、母の事も色んなことを考えた。

だけど過ぎたことを考えてもしょうがないだろう。今を生きなければ。僕は、愛姫と周りの助けで、沢山の事を学ぶことができたんだ。確かに僕は、みんなと同じ様に学校に通う事はできなかったけれど、だから何だ。学校に行ったって、ろくに勉強しない奴だっているだろう。

人生は自分が気づいた瞬間からやり直すことができるんだ。

いつでも、自分が願う方へ、自分が望む方へ、舵を取ることができる。僕たちは将軍の名前を授かったけれど、人生は戦うためにあるんじゃない。領土を争うためにあるんじゃない。「将軍像」ってどんなんだと思う?僕は、伊達政宗だって戦うためだけに生きたわけじゃないと思うんだ。そういう事を知りたいと思わないか。それが学ぶって事だよ。知りたい事、考えたい事、そういうのを見つける為に、色んな場所に行ったり、いろんな人の話を聞いたり、いろんな人の本を読んでみるのはどうかな。君の人生は毎日つまらないと言っていたその人生が、スマホの中だけにあった君の世界が、もっと大きく広がっていくよ。それでいいんだよ。

オンラインの中に、、みんなが僕の為に作ってくれた学校があるから、そこへ来るといいよ。
君が想像している様なつまらない学校じゃないよ。まるでディズニーランドとか、テーマパークの様に刺激に満ちているから。どうせつまらないんだろ?君の明日は。だからそれをぼくにくれないかな。後悔はさせないから。

10愛姫ちゃん 私達のお店をこんな風にしてくれてありがとう。このお店は、私を育ててくれた父と母からもらった宝物です。実は、私はここのお父さんとお母さんとは血が繋がっていないの。だから、もしこの場所から離れたりしたら、私とお父さんやお母さんを繋ぐものがなくなってしまう気がしていてね。実のお父さんはスペインに住んでいてね、その父が病気になってしまった事を聞いて、一度この村を離れたんだけどね。とても不安だった。実のお父さんにはとてもよくしてもらったの。スペインもとても素敵なところだった。だけど私は、この村に育ててもらったの。人だけじゃなくて、見える景色や花や鳥、四季の移ろいも見える星たちも私にとっては家族のようなものなの。父や母もだけれど、この村は私の故郷なの。血のつながった父がいくらスペインに住んでいても、顔立ちが少し日本人離れしていてもそれは変わらないの。この村は、どんどん過疎化が進んでいてね。結婚して始めたこの喫茶店には、最初のころに比べるとお客さんがあまり来なくなったの。観光地としてだって、そんなに人気のある村じゃなかったからね。

もしこのままなら、この場所を離れて都会へ行って働くことも考えなきゃいけないかな、なんて声に出さずとも私も私の家族も考えていた。

それにね、毎日がとても楽しいの。何って言ったらいいだろう。やりがいとか、生きがいの様なものかな。今までは、村のおじいちゃんと🉑おばあちゃんが、何かの帰りに寄ってくれたりすることが多くて、ただでさえ少ない若い人や子供なんてこのお店に来ることなんかなかったからね。それが今はどう?少し離れた別の街や、別の村から愛姫ちゃんやマサムネ君が好きな子供達、それから、二人の若い頃の様な悩みを抱えた子供達が、毎日来るのよ。一人で本を読んだりね、お勉強したりして、すっきりした顔をして帰っていくのよ。

まるで桜の木の様。私が生まれたのは桜の木の下だったんだけど、沢山の子供達が、私達のこの喫茶店で鳥が羽を休めるように、蝶が花にとまるように来てくれるの。 

すごいと思わない、自分の事を委ねるという事は、それは相手の事を信じるって言うのかな。そうね、「HONESTY」愛姫ちゃんが好きでよくかけてくれるビリージョエルの歌の題名ね。そんな感じ。このオリオンカフェを、子供達は信じてくれている。そして心を休めてくれている。それって私達の事を信じてくれてるってことじゃないかな。私達は一度もきちんと話したことがないのよ。あの子たちと。

13 kiraは解離性同一性障害なのか。

僕はずっと疑問に思っていることがあるんだ。今日はKIRAと呼ぼう。愛姫。

君は自分の中に、もう一人の人格がいると言っていたね。僕に最初にそうやって「KIRA」が連絡をくれただろう。でもそれはウソじゃないのか。 

「嘘。」言葉と言うのは難しいね。嘘ではないのだろう。本当に君の中には、別な人格つまり僕の知っている「kira」の人格があるのかもしれない。君はきっと自分が作り上げた「kira」に擬態していたんじゃないのかな。僕はそう思うんだ。つまり君は解離性同一性障害ではない。違うかな。

Kiraは本当に別な人格なのかな。じゃあさ、本当の自分の姿ってなんなんだろうね。明らかにそれは愛姫のなかにある、もう一人の君自身。愛姫はkiraと二人で一つなんじゃないか。そしてもう一つずっと疑問に思っていることがある。 

あのメールを、君は愛姫ちゃんつまりmyraに見られることを恐れていたけれど、本当はそうじゃないだろう。あれは僕へのメッセージの様で、myraへのメッセージだったんだろう。

あのメッセージを、いつかマイラが見るってそう思って描いたんじゃないのかな。 
直接伝える事ができない相手で、誰よりも自分の想いを伝えたい相手は、きっと自分自身だろう。それは何も君だけじゃないと思うんだ。

僕たちは、いつも新しい自分に生まれ変わっていくんだと思う。毎日 同じ様に見えるけれど、少しずつ成長して、新しい自分に変わっていくから、今の自分は、未来の自分とはきっと別人なんだ。だからその未来のマイラに向かって手紙を書いたんだろう。それから、性別についてだけど、僕はつくづく思うんだが、そんなものはね、色と一緒だと思うんだよ。男の色を纏っている者、女の色を纏っている者もいるけど、どちらも纏っている人がいても、どちらもあまり纏っていない人間がいてもそれは不思議なことじゃない。生まれたときから死ぬまで、どちらかであり続けることなんかないと思うんだよ。

僕は最初から分かっていたよ。愛姫。

この物語は、君が君自身を救うために書いている。最初に僕に連絡をくれた。あれは、君が僕にくれた、「助けて」という合図だ。マイラって名前。「mylove」 キミは気づいていないのかもしれないけれど。僕の向こうに、いつも取り残してきた幼い自分を見ている。君は必至で僕を助けようとする時、いつも君自身を助けようとしているんだよ。君にとって、僕はきっと鏡合わせの自分の姿なんだと思うよ。

怖がらないで、kira☆。誰にもならなくてもいいんだよ。そんなこと考えなくてもいいんだよ。女になりたきゃ女でいたらいいし、そんなもの選ばなくたっていいんだよ。

大人にも子供にもならなくていいんだ。君にしか見え無い事や、君にしかできない事を大事にしようよ。
僕も君を愛しているよ。だから一緒に生きてみようよ。怖がらないで。 

小さい頃みたいに、また一緒に、キラキラ星を歌おう。

そんな気取った大きなステージなんか捨てて、僕と一緒に星空の下で君が好きな星に願いをを歌って見せてよ。


大丈夫だよ。もう君がいなくても、「kira」
は存在し続ける事ができるよ。みんなで少しずつ「kira」をやればいいじゃないか。

一人で抱え込まないで。もう大丈夫だから、オリオンカフェは、みんなで作ろう。

またいつもの様に、好きな時に好きなように絵を描こう。愛姫。 

人が沢山いる所が苦手なら、SNSなんかやら無くてもいいんだよ。

人の期待になんか答えなくてもいいの。誰かが納得してくれなくても、我慢し続けないで苦しかったらやめてもいいんだよ。助けられる人がいても助けなくてもいいんだよ。好きになれない人がいてもいいんだよ。そうやって自分をすり減らさないで。消しゴムみたいに自分を削って他人の痛みを背負わないで。

この物語は、私が私自身を救うために書いている。