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サクラの気持ち

2023年3月末、私は、仕事を退職し、主夫になる道を選んだ。妻には早い段階で伝えていたのだが、子ども達に伝えたのは、退職する直前になってからである。と言っても、次女のモモは、私が退職するということをまだ理解することが難しそうな様子だったため、しっかり退職することを伝えたのは、長女のサクラに対してだけだった。

その時サクラは「えっ…お父さん仕事辞めちゃうの?」、「何で…?」、「お金は大丈夫なの?」と矢継ぎ早に私に対して質問してきた。私は、サクラもまだ小学校3年生であるため、私が退職することについては、それ程反応は返ってこないと思っていたのだが、想定に反した反応が返ってきた。私は、正直その質問に対する答えに困ってしまった。
何故仕事を辞めるのか?という部分については、「うん。色々あってね…。」と答えるのが精一杯だった。
お金のことについては、「これから仕事を探していくから大丈夫だよ…。」と答えることしか出来なかった。
サクラなりに私が仕事を辞めてしまうことは大事だということを認識していたようである。

そう言えば、2020年から、コロナ禍となった中で、私もリモートワークをする機会が増え、家でリモート会議に参加することもかなりの頻度であった。サクラが家にいる中で会議などのリモートワークに取り組むことがあり、会議中は、静かに過ごすように約束してもらうこともあった。サクラは、そんな私の仕事をする姿を多少なりとも理解していたのかもしれない。
私のリモート会議の声が聞こえてきたこともあったようで、「お父さんってどんな仕事をしているの?」と聞いてくることもあった。その時は、会議の司会を行っていたため、サクラの好きなテレビ番組「ラヴィット!」を例に出して、「ラヴィットで言えば川島さんみたいな役割だね(笑)。」と伝えると「あー!お父さんってMCなんだ!」と返してくることがあった。「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ。ちょっと違うなあ(笑)!」などと話をしたことを思い出した。私の中では、ちょっとした笑い話だったのだが、サクラにとっては、お父さんの仕事を少しでも理解したいと思って、本気で質問していたのかもしれない。

そんなことを思い出すと、私が仕事を辞めてしまうという事実が、思った以上に子ども達にも影響があるのかもしれない。と思い始めた。2023年4月から私は主夫となる。多様性の時代とは言え、お父さんが主夫をしているという声は、周りでは全く聞こえてこない。そんなお父さんの存在は、サクラにとってちょっと嫌な存在になるのかもしれない。そんなことを考えるととてつもなく不安な気持ちが押し寄せてくるのである。

そんな戸部アオの2023年4月~2024年3月までの1年間は、どんな1年間になってしまうのだろうか?

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