つれづれな文
美しいと思う言葉をつらつらと
紫陽花
燈籠
萌葱
蜻蛉
花冷え
桜花
春蘭
如月
逢魔が刻
銀
五月雨
蝶々
瑠璃
針
藍
紫水
紫煙
遊色
鶯
白狐
弧を描く
上弦の月
下弦の月
卯月
霞
八重
金砂
寂寥
稜線
白ゆり
銀の針のような、細く鋭い雨が肩を濡らしていた
アスファルトに雨水が張り、たくさんの弧を描き出している
私は傘をさすこともせず、ただ雨が水溜まりに消えていく様を見ていた
円……円……円の重なり……
六月の雨はありきたりで、誰の記憶を彩るものでもない
けれど紫陽花の藍色の花びらに触れ、玉となって落ちていく雨粒は
刹那のため息のように、私に夏の始まりを告げている
そしてもう間もなく鈍色の雲が吹き払われ、目にも眩しい日差しとともに
紺碧の大空が
私を見下ろすのだ
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