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高尾歳時記 2024年3月17日

高尾では、待ちに待ったスミレの開花が始まっています。

本日出会ったのは、アオイスミレ、タチツボスミレ、そしてヒナスミレ。

アオイスミレ。高尾では春一番に咲くスミレで、花期も長く5月ぐらいまで観察できる。個体数も多く、日当たりのいい河原ではしばしば大規模なクラスターを作る。
タチツボスミレ。まだ完全に開ききっていません。高尾ではアオイスミレと同じぐらいごく一般的にあちこちで観察できます。
同じくタチツボスミレ。個体数は極めて多く、アオイスミレと同じぐらい高尾ではもっとも個体数の多いスミレだが、麓や里山など人里近くで多く見かけるアオイスミレと違い、タチツボスミレは人里近くから山中まで広範囲に分布しているのが特徴。
ヒナスミレ。淡いピンク色の衣装をまとった、お雛様のようなその愛らしい姿で大人気です。名前はヒナですが、スミレの中でも大ぶりの花を咲かせます。
同じくヒナスミレ。ヒナスミレは麓や里山で見かけることは極めて稀で、山中の日当たりのいい斜面に群生するのが一般的です。

日本全国では、40種以上のスミレが生息していると言われていますが、高尾山ではそのうち少なくとも18種類の生息が記録されているとのこと(*1)。

スミレは同じ種でも姿形にバリエーションがあることと、交雑しやすい特徴があり、タチツボスミレひとつをとっても数種類の品種があります。ですので、数え方によって種類の数は変わってしまうのですが、上述の18は恐らく品種違いを含めない数(植物分類学的にもっとも厳密かつ保守的な数字)で、品種違いも含めたもっとも緩い基準で数えると、私個人でも20種以上確認しています。

それでもまだ見たことがない種があるのですから、高尾山の奥深さがうかがいしれます。高尾山を含めた高尾陣馬エリアは隅々まで熟知していますので、大体のあたりはついていますが、実際に出会えるかは純粋に運次第。もとい、「隅々まで」とはいっても、私のような一般人は登山道を外れてひとが踏み入ることのない原生林や斜面、沢、そして尾根筋などにズカズカと入っていくような無法は犯しませんから、実際にカバーしている面積なんてたかが知れているでしょう。

でも、それでいいのだと思います。人知れず、ひっそりとどこかで連綿と命をつないでいる個体がいるからこそ、高尾山の自然の多様性が守られているのでしょう。何度行っても、何年通っても出会えない存在があるからこそ、通い続ける理由が生じます。たとえ、出会うことが一生叶わなくても。

京王線高尾駅のプラットフォームより、大光寺の江戸彼岸桜。樹齢二百年というその大木は、毎年春になるとその全身に花をまとい、えもいわれぬ可憐な姿になります。開花はまだのようですが、蕾は順調に育っているものと見え、木全体がピンク色に染まっています。
早朝の高尾山口駅を出発。今日は快晴だったのですが、空は春霞で見通しが効かず、眺望は限定的でした。
ヒメオドリコソウ。麓や里山など、人里近くにたくさん咲いています。都心の公園などでもよく見かけますね。小仏川の河原にて。
アズマイチゲの花が開花していました。完全に開くと、大きいものでは直径5cmほどにもなる可憐で立派な花を咲かせます。
これはアズマイチゲの近似種で、キクザキイチゲ。花はそっくりなのですが、葉が丸いフォルムのアズマイチゲに対して、キクザキイチゲの葉は大きく切れ込みが入り、菊の葉のようなので、キクザキイチゲと呼ばれます。キクザキイチゲは高尾のほかに、丹沢主脈でも多く観察できますが、丹沢主脈の個体は水色の花を咲かせるものが多くあり、とても美しい。
蛇滝のハナネコノメは見頃のピークを過ぎています。
ハナネコノメは、花の季節のピークを過ぎると、雄蕊の花粉が、濃紅色から徐々に黄色く変わっていきます。
こちらの個体はまだ花粉が濃紅色。この妖精みたいな美しい姿で大人気です。
この時期、高尾山を代表する花です。毎年、ハナネコノメに会うのを楽しみにしているかたが多くいらっしゃいます。
ヨゴレネコノメ。ハナネコノメと同じく、ユキノシタ科ネコメノソウ属の花です。
ヤマネコノメ(ヤマネコノメソウ)。こちらもハナネコノメと同じく、ユキノシタ科ネコメノソウ属の花です。同時期に開花します。
あっ!フキノトウが咲いています。麓や里山では多く見かけますが、山の中で見かけるのは比較的珍しい。
(小仏)城山に到着。空は快晴ですが、春霞が強く遠景はぼんやり。
同じく城山から都心方面。春霞でこちらの眺望はほとんどありませんでした。
城山の山頂では、梅の花が満開。
梅の季節が過ぎると、いよいよ桜の季節を迎えます。待ち遠しいです。
一丁平のコブシの花の蕾が大きく膨らんできています。もうちょっとしたら開花しそうです。
高尾山山頂に到着。やはり春霞で遠景はぼんやり。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。今日は本当に春霞の強い日でした。
シュンランが開花しています。高尾ではあちこちで見かけます。今が花の季節。
ヤマルリソウも開花していますね。麓ではあまり見られないのですが、山中ではあちこちで観察できます。
高尾山6号路のハナネコノメ。ちょうど見頃を迎えています。
高尾山6号路では、ニリンソウも開花していました。
ここのキクザキイチゲは、日差しがいいところなので大きく花を広げています。
高尾山ケーブルカーの麓駅(清滝駅)前のソメイヨシノのつぼみは順調に育っています。開花はあと一週間ほどでしょうか。

(*1) 参考資料
東京都高尾ビジターセンター HP スミレ三昧


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