桜草

ひらひらり

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感情の行方

「ねぇねぇ、誰か好きな男の子いないの?」 小学4年生の時、クラスの女子に聞かれた。 「みんな普通に好きだよ」 いつもの顔で、いつもの声で、そう答えたのを、今でも覚えている。 1. 信じていた話小学生の時から、恋愛話に興味がなかった。 むしろ男子なんて、粗暴で、うるさくて、何を考えてるか分からなくて、うっすらと嫌悪すら持っていたかもしれない。 少女漫画のキラキラした女の子の顔や、クラスメイトのひそひそ話、あまり聞かないJPOPの歌詞、私より少しませた幼馴染の報告を、冷めた目

    • まいにちをいきる

      風呂上がりに下着姿でアイスをかじるのが好きだ。誰の目を気にせず、雫を垂らしたバサバサの髪のまま、肩にタオルをかけたまま、冷凍庫を開ける。その瞬間が好きだ。全てから解放された、自由を感じる瞬間。 ベランダへと続く網戸の前に座って、カーテンが揺れるのを眺めながら、アイスをかじる。今の季節ならフルーツ系のシャーベットが美味しい。濃い藍色の夏の夜闇と、眩しいオレンジ色のアイスが目の前で溶けて、コンタクトを外した裸眼では月の輪郭はぼやけていて、初夏の濡れた緑の匂いとオレンジの香りが

      • プリキュアに選ばれなかった私は

        この前誕生日を迎えて、22歳になった。 かっこよくて仕事が出来て大人な、大好きな漫画のキャラクターと同い歳になった。 ぼんやりテレビを眺めていると、今週も派手な髪色をした女の子たちが、超人的な力を使って敵と戦い、世界を救っていた。 何物でもない、何も成し遂げない私は、今日も無為に時間を持て余している。 その事に何故かゾッとした。 このよく分からない、意味の無い焦燥感を初めて感じたのはいつだっただろう。 11歳の誕生日を迎えた夜。フクロウが入学許可証を持って飛んでくることは

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