東京23区でLGBTsが住みやすい街②新宿区
1月の記事「LGBTsならではの資産形成とは? 専門家に聞いてみました!」(こちら)を読んでくださった方から、「東京23区でLGBTsが住みやすい街を知りたい」というご意見をいただきました!
前回は渋谷区についてご紹介しましたが(こちら)、今回は新宿区をご紹介します。話を聞いたのは、新宿区に20年以上住んでいるシスジェンダーゲイ男性の友人です。
***
開口一番「そりゃ新宿二丁目があるからだよ」
回答が早い! もうちょっと深掘りさせてください。
「二丁目にゲイ向けの雑誌を扱ってる専門店があるんだよ。僕が学生だった頃は今ほどインターネットが盛んじゃなかったし、出会い系アプリなんてもっと最近の話だからね。そんな中でゲイ仲間と出会いたいと思ったら、雑誌の『文通相手募集』の欄で条件の合う人を探す時代だったの。でもゲイ雑誌自体、扱ってる店が少ないじゃない? 勇気をふり絞って店の前まで行って、でもなかなか入る勇気が出なくて、周りのビル街を1時間くらい歩き回って、ドキドキしながら店に飛び込んだんだよ」
ほうほう、文通とはこれまた懐かしい。
「その文通欄で知り合った人に、新宿二丁目のゲイバーに連れて行ってもらったのが、いわゆる業界デビューかな。今でも膝が震えていたのを覚えているよ。若かったなあ」
友人は大学を卒業後、都内の会社に就職して、現在まで新宿区に住んでいます。住んでみてどう感じているのでしょうか?
「仲間が多い、この一言に尽きる」
相変わらず回答が早い! もうちょっと詳しく、これから居住地を考えている人にもわかるように教えてください。
「例えば西武新宿駅の正面口を降りると、いきなりピンクトライアングルのTシャツを着たヒゲクマ系の男性が目に留まるわけ。で、その人はそのまま新宿二丁目までする〜っと歩いて行くわけ。別に誰かに何かをアピールしているんじゃなくて、それが日常だし当たり前なんだよね。仲間がいる、それが分かる。僕はそれだけで新宿に住む意味があると思ってる」
思わず聞いてしまいました。「それくらい孤独だったってこと?」
「僕の実家は北関東の農家でね。親戚付き合いも近所付き合いも密で、どこの学校の誰が何をしたか、誰かが言わなくても全員が知ってる、みたいな田舎町なんだよ。だから自分がゲイだってことは誰にも言えなかったし、そんな話ができる仲間もいなかった。野菜のお裾分けをくれる親戚も、一緒に部活で頑張る同級生もいるのに、孤独なんだよ。そういう環境ってキツイよね」
掛ける言葉に迷っていると、友人は話を続けてくれました。
「新宿に住んで思うのは、別に友達でも知り合いでもないけど、自分と同じゲイだな、と思う人が当たり前にいること。コンビニにもラーメン屋にも、百貨店にもドラッグストアにもいるんだよね。僕にとってそれはすごく価値があることなんだよ」
「自由であるということは孤独であるということ」と、あるゲイの作家が書いていました。友人は「孤独であるからこそ自由になれた人」なのかも知れません。
「それにね、最近ゲイ向けの出会い系アプリ始めたんだよ。飲み友達やら恋人やら条件設定できて、条件の合う人が近くにいたら位置情報を教えてくれるんだけどね。こないだ二丁目のバーで飲んでたら『近くにあなたの条件に合う人がいます』って通知が出て『おっ?』と思ってスマホを見たら、隣で飲んでた人がスマホを取り出して同じアプリ開いてんの! 何この界隈の狭さ!? もう知り合いの知り合いは全部知り合いみたいな。ホント楽しいよねえ」
大笑いで締めてくれた友人ですが、最後に交通の利便性についても話してくれました。
「新宿駅ってギネスにも認定されてる乗降者数世界一の駅なんだよ。JRや私鉄を含めて12路線乗り入れてるし、ちょっと歩けば隣の駅だし、バスターミナルもあるし、車がなくても生活できるところも、地元とは全然違うね。車ってガソリン代も維持管理費も税金も高いから、僕はその分を住居費に当ててバランス取ってるかな。車を持つことがステータスだとは考えてなくて、自分の住みたいところに住むことに比重を置いて生活できてるから、満足度は高いね」
自分がほしいものは何かを考えると、住む街もおのずと絞られてくるのかもしれませんね。
日々を快適に過ごすために、住まいと暮らしのアイデアを、引き続きお届けして参ります。「こんなテーマを取り上げてほしい」といったご意見がありましたら、ぜひお寄せください。
次回はあの街の魅力について、またまた別の方にお話を伺う予定です。お楽しみに!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?