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第2章〜東京拘置所編 第12犯〜アカ落ちして川越で分類と温かい朝食

「被告人」から「受刑者」に身分変更することを【アカ落ち】という。
有罪判決(懲役刑)が確定し、もう裁判の必要がなくなったら拘置所に置いておく意味がないので刑務所に移送される。
んでどこの刑務所に行くかを「分類」と呼ばれるもので判断される。

一般的なスタイルだと上に書いたように、拘置所内で分類を経て服役する刑務所に移送されるが、26歳以下の場合ちょっと違う。

26歳以下の人間が東日本の拘置所でアカ落ちした場合、まずは川越少年刑務所に護送される。
そう、イジメで有名なあの川越少年刑務所 通称「KJP」だ。
 ※KAWAGOE  Jr. PRISON

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そこにある「分類センター」なる所で基準不明の分類を受ける。
分類は前期と後期に分かれ、各二週間ずつ異なる洗礼を浴びる。

まず分類前期の二週間は独房にて折り紙作業をさせられる。
量販店やブランド店などのショッパーだ。
ヒーローイベントで子供に配るやつもやったな。
そう考えたらこれ全部機械作業だって勝手に思ってたけど受刑者がやってたのねwww
今でも伊勢丹とかに行くと「あw」ってなるからちょっと面白い。

東京拘置所でも思ったんだけど、新入り受刑者のお世話係として働いているのも同じ受刑者だ。
こいつらは優秀な兵士で、高倍率で過酷な分類を経て配属されたエリート戦士達と伺った。
【経理作業】と呼ばれるようだ。
反対に一日中生産系の手元作業に従事する奴らを【生産作業】と呼ぶらしい。

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ま、この辺の詳細は次回アップするとして、まずはこの分類前期を思い返してみる。

まだ陽の暗いうちに起床を知らせるチャイムが鳴る。
すぐに一斉点検が待っているので急いで支度を済ませる。
まず布団だ。言わずもがな畳み方は決まっている。指定の順番で重ねて折り目を全て整える。
そして着替えだ。脱いだパジャマは決められた畳み方で、極力シワを残すことなかれ。そしてさっき重ねた毛布の上、枕横に決められた向きで置く。
日中過ごす服に急いで着替える。真冬の寒さに耐えられるようにメリヤスの着用はマスト。靴下は手持ちのストックを全て重ね履き。駆け出しの陶芸家志望が修行先で着させられる感じの服だ。色はネズミもビックリするほどのグレーだ。世界中のオシャレが後ずさりするくらいピュアな受刑服だ。

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拾い画だけど概ねこんな感じ。
ただこいつはシーツの畳み方と重ね方がダメなので朝からオヤジに怒鳴られる。

ここまでを急いでこなすと点検までまだ時間があるから歯磨きと洗顔。ちなみに大将青キジも逃げ出すくらいの冷水だ。今回クーリングオフして真夏に欲しい。
終わったらただただ座して待つ。時間になったらオヤジが大音量で発する「点検よーーーい!!!」に少々怯えながら順番を待つ。

オヤジによって言語が変わるらしく、到底日本語とは思えない言語を発する奴もいるので、果たしてこれは「点検用意」なのか?と勘繰ってしまう時も多い。しかしこんな時間に騒いでいるのは点検オヤジだけなので、とりあえずただただ座して待つ。

目の前に来たオヤジが部屋番号を言う「○○房!」
完全に怯えきった俺がお手本のようなビブラートを効かせて「1434番!おはようございます」と声を張る。
オヤジは挨拶には答えようともせず、満ち足りたような顔で隣に行った。
しばらく待っているとオヤジが「点検終了!」と金切り声を上げるので、食事の支度をする。
そう、受刑者の一日の3大イベントの一つ、朝食だ。

食事と言っても刑務所によって美味しさは異なる。
まず東京拘置所。ここは酷かった。タダで食べさせて頂いているとは言え、アレはナシです。
という経験を経ているので、正直川越の朝食にも期待していなかった。
で、東京拘置所よりも遥かに美味しい朝食だったのでビックリした。

まず米が多い。少年の代謝に合わせているらしい。味噌汁美味かった。私は味噌汁フェチなのでこれには助かった。不思議なもので味噌汁一杯で満足度が結構違ったので、改て味噌汁スゲーって思った。

ちなみに東京拘置所と違って、川越では皿は洗わなくて良い。そもそも舎房内にはコップと箸しかなく、皿は炊場工場と呼ばれるエリートどもが洗っているとのこと。

そんなこんなで食事が終わると、食器などを片付けたエリート戦士達が本格的なシゴトに就く。
我々分類生の今日のシゴトも幕開けだ。

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