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16歳の愛犬がリンパ腫になりました④~発症初期の話~

愛犬の名前は「れお」。そのダンディな佇まいから愛称は「れお氏」。茶色と黒色の混じった胡麻柴でした。
生後数か月で後ろ足3箇所を骨折した状態で公園に捨てられていた元保護犬。同居人が管理センターのHPを見て一目惚れし、我が家にやって来た犬です。

これは、れお氏がリンパ腫と診断されて亡くなるまでの僅か1ヶ月間の介護記録です。

介護福祉士の資格を持つ介護のプロである私が、経験をフルに生かして介護にあたりました。少しでも、リンパ腫を発症した愛犬を持つ方の手助けになれば良いと思っています。

診断から1週間

リンパ腫はものすごい勢いで腫瘍が大きくなります。

最初に見つけた時のソケイのしこりは1センチに満たない大きさだったのに、検査結果を待つ1週間で2センチ程の大きさに成長。また、その間に首のリンパにも腫瘍が出来ました。

その後も腫瘍はどんどん大きくなり続け、僅か1~2週間で成長する腫瘍に私達は恐怖を覚えました。下顎の腫瘍なんて、あっという間に外から見ても分かる程の大きさになったんですよ。

先生にも、「腫瘍はもっともっと大きくなるよ」と言われていたのですが、やはり成長し続ける腫瘍を目の前にするとビビりましたね。

この大きさで喉や尿道が圧迫されて水が飲めなくなったり、呼吸困難や排尿困難になったらどうしようとすごく不安でした。だから、先生に「腫瘍のせいで息が出来なくなったり、おしっこが出なくなったりはしないから」との説明に滅茶苦茶安心したのを覚えています。

そして、こんな大きな腫瘍はたいそう違和感だろうと思っていたのですが…。

私達の心配と裏腹に、れお氏自身はあまり腫瘍を気にしてませんでした。

元々排泄系に敏感な和犬の見本みたいな柴犬でした。幼少期に去勢手術をした時は違和感のためか抜糸までの1週間、ほとんど動かずに固まってしまったような犬です。だから、ソケイに違和感があったら一日中気にして舐めたり、排泄を拒否したり(昔、家の中で排泄させようとしたら40時間以上我慢した経緯あり)するのでは…と、とても心配していたのです。

でも、ちっとも気付いてないみただったんですよ。痛みとか違和感が無かったのかな~?あんなに大きかったのに、不思議でしたよ。

ステロイドという選択肢

抗がん剤の他に、ステロイド投薬という選択肢もありました。ステロイド剤は抗炎症作用、免疫抑制作用など多くの薬理作用を持ち、強力な治療効果があります。

ステロイド薬を使うと、腫瘍が小さくなり、中には食欲が出て一時的に元気になる子もいます。我が家でも、猫が腎不全になった時にステロイドで随分と助けてもらいました。

しかし、ステロイドにも限界はあります。抗がん剤と一緒で、いつかは効かなくなってしまうのです。そして、副作用もあるんですよね。

れお氏はこの副作用が非常に出やすい子で、ステロイドとの相性がすごく悪かったんです。仔犬の時の骨折が原因で、骨頭切除の手術を受けた時にステロイドを処方されたのですが、下痢が止まらなくなっちゃって…。それと、黙っていてもチンチンの先から尿がポタポタ出てくる程の頻尿になってしまったんです。お腹は下るわ一日中チンチン舐めてるわで、とても気の毒な状態でした。

その後も少量のステロイドを服用した事があったのですが、やっぱり副作用は出てしまいました。

そんな訳で、私達はステロイドは出来れば使いたくなかったんです。

「注射なら副作用出ないかもよ」

と先生に言われて一時は考えてみましたが、体がしんどいのに万が一副作用が出たら可哀想だし、やはり抗がん剤と同じでいつかは効かなくなるのならば止めておこうと思ったのです。

もし、痛みが出てとてもツラそうになってきたら、その時は他の手を考えよう。『れお氏にステロイドは使わない』それが私達の選択でした。

れお氏の散歩

リンパ腫になる数か月前、れお氏は前庭疾患を発症しています。

前庭疾患は原因不明と言われていますが、シニア犬によく見られる疾患です。特に柴犬はホント多いと思う。ひどい眩暈で立ち上がれなくなり、後遺症で斜頸が見られたりします。

れお氏の場合、病中のマッサージや鍼治療が効いたのか、幸いな事に斜頸の後遺症はありませんでした。それでも、数日間の寝たきり後は体力も落ち、もともと悪かった歩行がさらにキツくなってきました。

家の中でもせいぜいリビングをウロウロする位、調子が良ければ廊下まで行って帰って…という感じ。散歩も数メートル歩いては立ち止まり、という状態でした。

リンパ腫になったら歩けなくなるかな…と思っていましたが、しばらくはこの状態で現状維持でした。

動物ってやっぱりすごい。散歩も自分のペースで、ゆっくりと楽しんでいたれお氏なのです。

食欲と食事介助

16歳になる前くらいから、食事は缶詰がメインとなっていました。シニアになって固いモノや大きい粒を嫌うようになり、ドライフードの食べが悪くなってきたんですよね。かろうじて、セミドライみたいなウェットタイプのフードはちょと食べていましたが…。

前庭疾患後からは、缶詰もミキサーで柔らかいペーストにして介助して食べさせていました。長い時間立っていられなかったので、フセをした状態でスプーンを使っての介助です。

リンパ腫になって少しずつ食欲は落ちていきましたが、結局、亡くなる前日まで食べる事が出来ました。初期の頃はまだ自分で水を飲みに行ったりもしていました。

リンパ腫の初期症状

れお氏の場合、初期症状は腫れ以外には特になかったような気がします。

痛みを感じている様子もなく、極端に疲れた様子もなく。

あ、一つだけ気になったのは涙目でした。

やけに涙が出るので診てもらったところ、目に傷がついていたんです。散歩の時にでも傷つけたかと思いましたが…。多分、瞬きの回数が減って乾燥して傷がついていたのだと思います。最初はヒアルロン酸目薬だけを使っていたのですが、なかなか良くならず炎症剤も使用しました。結局、最期まで一進一退を繰り返して目薬は欠かせませんでした。

いつもと変わらない日々を淡々と

リンパ腫になっても、動物は変わらずに日々を過ごして生きていきます。

れおは俺のペースで淡々と。

そんなれお氏を見て、少しでもこの日々が続けばいいな…と思っていました。








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