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【PR NOW#004】ブランドパーパスとこれからのPRクリエイティブの形

初めまして。
ベクトルグループ、プラチナムに在籍している濱村と申します。
モノを広げる起点となる
PR×クリエイティブコンテンツのプランニングに
チャレンジをしております。

代理店の方々をはじめ、普段お仕事をご一緒している
クリエイティブに携わっている皆さまを前に大変僭越ですが、
クリエイティブについて書いてみてほしいという声を社内でいただきましたので
少し書いてみたいと思います。

僕が語れるクリエイティブというのは
「PRアングルでみたクリエイティブ」かと思いますので
その視点で読んでいただけますと幸いです。

お手柔らかにお願いいたします。

まず何をテーマに語るのか考えたのですが、
やはりこのタイミングでなので
新型コロナウイルス感染拡大による大きな社会の環境変化において
PR(パブリックリレーションズ)のスキルがお役にたてる機会が多かったと思いまして、
直近で行った事例を含めながら、改めて『これからのPRクリエイティブの形』に関して整理してみることにしました。

弊社で主催するセミナーで
”PR界の神様”である嶋さんがお話されていましたが、
未曽有のウイルス拡大で
生活者やブランドが答えが分からない中で、
これまで顕在化していなかったたくさんの課題が浮き彫りになったと思います。

これらの課題に対して
「社会に新しい価値を提示し、創出する能力」が求められており、
その解決設計能力とソリューションしてPRの技能が機能したように感じます。

機能性や、情緒的なマーケティングコミュニケーションが効きにくくなる中で、
世の中で注目を集め、理解を深めてもらい、さらにはファン(好き)になってもらうには
ブランドパーパス(社会的な存在意義)が大事だとされています。

「ブランドやコーポレートが社会との接続」を強めていくことで、
”なぜ社会に必要なのか”ということを伝達し、理解を促進することが大事ということです。

今まで重視されていた”結果(なにをもたらすか)”の部分だけでなく
いわゆる”ストーリー(もたらすものができるまでのプロセス)”の部分がフォーカスされるようになってきています。

”こういう想いをもって提供しているブランドは共感できる”
”みんな困ってたことを解決してくれている素敵だな”
”ここまで赤裸々に経緯をみせてくれれば安心できる”

という生活者の声を作っていくことが重要だと思います。

社会全体が新型コロナによる感染拡大の影響を大きく受ける中、
このブランドパーパスを軸に
メディアやインフルエンサーの中で多数取り上げられ
生活者から大きな反響を得ていた
コミュニケーションをいくつかピックアップして紹介します。

1.フェイスマスク ルルルン「#ルルルン花嫁救済プロジェクト」

ルルルン

■企画背景
6月のジューンブライドで結婚式を挙げる方が多い時期。
新型コロナウイルスがきっかけで延期や中止になってしまった花嫁たちに向けて、少しでもごきげんになってほしい想いで実施。

■実施内容
特設サイト上で結婚式の延期日などの必要事項を記入すると、抽選で100名に延期された日数分(中止の方は1年分)のフェイスマスクをプレゼント。

2.SmartHR 「ハンコ出社」への疑問投げかけ広告

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■企画背景
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、時差出勤やテレワークが推奨されている中、
世の中には、在宅勤務をしたくてもできない人が多くおり、ハンコを押しに行くために出社する人々の苦しむ声がSNS上で話題になっていた。

■実施内容
そんな人々の心を代弁する世の中への疑問をあらわにした広告を公開。
議題にあがっている”通勤する人々への投げかけを行うため、交通広告で展開。

3.ガリバー「 #SaveMoving

ガリバー

■企画背景
政府より「緊急事態宣言」が発令され、不要不急の外出自粛が求められる中、
医療従事者をはじめ、小売店や流通関係者、通院を必要とする高齢者や妊婦、またその家族や介護士など、
不要不急ではない外出を必要とする人がたくさんいるということが社会的な問題になっていた。
すべての移動を提供するガリバー社として何ができるかを考え、多くの方が少しでも安心して移動できるようになることを願い企画。

■実施内容
全国のガリバー店舗にて車を順次確保し、対象者へ最大3ヵ月間無償提供。

まとめ

【すべてのコミュニケーションにおけるリザルト】
メディアでの露出に加え、
新型コロナで顕在化したコミュニケーション上のターゲットによるSNSでの発信。
さらにはそのSNS発信に反応する声によって共感の輪がひろがりより大きな話題に。

【共通点】
3つのコミュニケーションをピックアップしましたが、
すべてに共通するPOINTを因数分解すると


1.誰もが共感できる”社会課題”を顕在化(誰もが共感する課題の提示)
※コミュニケーションターゲットをより大きな影響を受けている人にフォーカス
×
2.直感的にわかるキーワードとビジュアルイメージ(SNSで拡散したときに直感的に伝わる素材)
×
3.ブランドがもつビジョンに沿ったアクション(そのブランドが行う理由)

だということがわかります。

今までクリエイティブができた上で
そのアウトプットとしてパブリシティの獲得が求められがちだった
PRコミュニケーションですが、
これらの事例はすべてクリエイティブ設計の入り口の部分から
世の中の流れに合わせ、
”自社のブランドに何ができるのか”
”なぜ自社のブランドがそれをやるべきか”

といった点を軸に設計されています。

これからの時代において、世の中での反響を得るためには
一方的なクリエイティブ力で話題をつくるのでなく、
生活者がそれを語る上での必要になるストーリー(背景/プロセス)の設計が重要であると僕は考えます。


最後に、最近僕がお手伝いさせていただいた企画をご紹介させてください。

メルカリ・ローソン「読むレジ袋」

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■企画背景
2社の掲げるSDGsの取り組みを世の中に発信し、
「モノの価値」を再定義するアクティベーションとして実施しました。

■実施内容
世の中の注目が集まっている”レジ袋有料化”直前のタイミングにフォーカスし
メルカリ社が取り組んでいた「モノ×物語」をテーマにした
10名の作家の方に"人から人へとモノが循環する"ストーリーを
普段何気なく捨てられていた”レジ袋”に付与し、
”読むレジ袋”と銘打ってナチュラルローソンにて期間限定で配布しました。

■学び
ソーシャルイシューを軸に世の中への問いをたてることで
”読むレジ袋”というプロダクトが話題になるだけでなく
この取り組みを軸に「モノの価値について」の議論がSNS上で起こったことが
大きなリザルトだったなと感じています。

2社の想いが社会に広がり
たくさんの方々の行動に少しでも影響が与えらたという実感もあり、
Public Relationsの可能性を感じました。

そして僕自身がレジ袋をまったく貰わなくなりましたw

何よりも企画が実現できたのは
関係者が多い中でも伝えたい想いを持って推し進めてくださった
2社のみなさまとPR/制作チームのみなさまの実行力があってこそだと感じています。

尚、この企画については、AdGangさんでもご紹介いただきましたので、
実施までの背景についてさらにご興味がある方は是非お読みいただければと思います。


また、STORES Magazineさんでは、「スモールチームのPR」という少し別の角度のお話もさせていただきました。
ご興味ある方は是非こちらも読んでいただけると嬉しいです。

それではこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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