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読書日記「アフターデジタル」

こんにちは。Kenです!

 今年はDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する本を読み漁っていこうと思い、自分の備忘の兼ねて、読書まとめ&感想を記していこうと思います。

アフターデジタルの意味するところ

 まずは、概念に対する理解が重要だと思いますので、この本のタイトルにもなっている「アフターデジタル」の意味は何かという点をまとめてみたいと思います。

 本質を一言で表すと、「オフラインとオンラインの境界がなくなって融合した世界」と言えます。これをOMO(Online Merge Offline)と呼びます。この思考こそがアフターデジタルにおいて最も重要な点です。

 TwitterのようなSNSは際たるものと思います。例えば、自分がプログラミングに興味がある!だったり、ある病気を抱えているといった場合に、デジタルの世界だからこそ、同じ境遇の人へのマッチング精度はオフライン世界の比ではありません。

 また、ツイキャスのようにオフラインの世界以上にコミュニケーションを図ることもでき、もはやオンラインの世界が主体であり、オフラインの世界はそれに包含されるような形です。

 そしてアフターデジタルの事例で共通していることはエクスペリエンスと行動データのループが競争原理の根幹になっていることです。具体的には、

・オフライン行動の全てがデジタルデータ化する
・ユーザーとの接点が高頻度であるほど、より多くの行動データを得られる
・行動データを継続的に取得するためには、「楽しい、便利、使いやすい」といった体験品質の高さが重要
・データを活用することで、最適タイミングでのアプローチが可能となり、体験がさらによくなる。

 消費はモノからコトへと言われてますが、コトというよりも「顧客体験」や「ジャーニー」といった言葉が適切ですね。売り切りの世界じゃなく、お客様とずっと繋がり続ける「寄り添い」がビジネスモデルとなるのです。

 よくAIに仕事が奪われると言いますが、そうではありません。デジタルでデータを収集・分析できれば、人はその結果をもとに本当に必要としている人へピンポイントにサービス提供できる。(ビフォアデジタルではいかに無駄打ちが多いかとも言える)

 概念的な話は以上とし、世界の事例を見ていきましょう。

電子国民化が進むエストニア

 エストニアは世界で最も政府の電子化が進む国です。電子居住権を外国人にも発行し、簡単に電子国民となれる。

 様々な個人情報がオンライン上のデータとして見ることができます。所有する不動産、納税額、土地の登記、登録免許など・・・強盗などが起きて、所持金がいきなり増えている人を容疑者としてスクリーニングできるなどに活用できそうです。

キャッシュレス化が進むスウェーデン

キャッシュレスは当たり前に進み、QRコードすら過去の遺物となっているそう。人間の体内に埋め込んだマイクロチップで決済を行うという007の世界そのものと変容しているようです。

考えてみれば手をかざすだけで、改札を通れたり、ジュース買えたりするのはすごく便利ですよね。

デジタルで作る信用・評価の中国社会

 これはすごいなと思いました。簡単に言うと、個人情報がデジタルで管理されているので、自分の支払能力や過去の素行までもがスコアとして他人にわかってしまうと言うものです。これにより社会がどのように変容したかと言うと、そのスコアを高めないと自分に有利なビジネスができなくなるため、それをインセンティブとして中国社会のマナーが向上したと言うのです。

 これを「ジーマ・クレジット」とよび、評価軸は「個人特製」「支払能力」「返済履歴」「人脈」「素行」です。このスコアに応じ、サービス利用時の特典を得られたり、渡航ビザの取得プロセスが短くなったり、個人の融資を受けやすくなったり、婚活でモテたりと様々なメリットを享受することができます。

 日本は倫理的に優れた国だから不要と思われるかもしれませんが、やはりこういうインセンティブがあるから行動に移せるというのも事実としてあると思います。

中国のタクシー配車サービス「ディディ」

タクシー配車サービスとしてウーバーが有名ですが、中国のディディというサービスもよく顧客体験を考えられたものだと思います。

 ディディには「普通のタクシー」「快速タクシー」「プレミアタクシー」「ラグジュアリータクシー」の4つのグレードがあり、普通とラグジュアリーでは料金も10倍違うようです。

 これはユーザー視点で特徴的ではありますが、これを実現するためにはタクシードライバーの品質が重要となります。それがドライバーの評価の仕組みです。

 まずドライバーの給料は先ほどのグレードに応じて高くなっていきます。なので、ドライバーは質の良いサービスを提供しようと努力するわけです。また、ユーザー満足度はユーザーによる評価ではなく、データ計測により行っている点です。なので、賄賂もなく公平なのでしょう(笑)

 そのデータというのが、以下の3つです。
・リクエストに対する応答時間
・リクエスト受領後のユーザーを待たせた時間
・GPSとジャイロによる安全運転性

車内が綺麗だとか、接客が良いかとはおいといて、評価の基準を「素早く目的地に安心して行けること」に絞ったのが素晴らしいと思います。

保険会社のアフターデジタル

 中国の平安保険という保険会社の事例です。中国では株式時価総額ランキングではアリババとテンセントに次いで第3位の大企業です。

 保険は商品の性質上、一度購入してもらったら怪我をしたり入院したりするまでユーザーとの接点機会はありません。

 そこで平安保険がとった戦略は、医療、移動、住居、娯楽といった生活圏にサービスを拡大していくことで顧客接点を多く得る作戦に出ました。

 中でも成功しているのが医療系アプリで、これは中国の医者にヤブ医者が多いという背景が関連しています。

 病院を選ぶだけでなく、その病院の医者リストが出てきて、医者の卒業大学、論文などのプロフィールで信頼できる医者かどうかを確かめることができるのです。

 また、このアプリは健康にも配慮し、歩くだけでポイントがたまるシステムで、秀逸なのは1日に1回アプリを開いて換金しないとポイントが消滅するため、ユーザーは1日1回アプリを開く行動が習慣化しているとのこと。こんなところにも凄さを感じます。

 このように、ユーザーの医療行為にまで接点を増やし、その行動データを保険の販売にも活かすことで大きな効果を生んでいるわけです。


簡単ですが、まとめは以上となります。面白かったので、アフターデジタルVER2も読んでみたいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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