10年遅い「デフレ脱却」表明

インフレは物価の上昇、デフレは下落でそれ以上でも以下でもないのだから、本来なら10年前にはデフレ脱却(持続的な物価下落が止まること)が宣言されているはずだった。

総務省統計局「消費者物価指数」
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総務省統計局「消費者物価指数」
総務省統計局「消費者物価指数」

ところがそうはならなかったのは、「デフレ」に物価下落以上の意味を持たせてしまったからで、そのことが経済政策・経済運営を歪める結果を招いている。

政府は日本経済がデフレにあるとの見解を2001年に初めて示しており、脱却を表明すれば、23年にわたり安定成長を妨げてきた足かせが外れたと認めることになる。

物価が下がり続けると、企業収益の悪化で賃金が落ち込み、個人消費が振るわなくなる。こうした悪循環が日本経済を苦しめてきた。

デフレの期間は23年ではなく、長めにとっても1999年末~2012年末の13年間だが、2002~2007年には戦後最長の景気拡大を達成し、企業収益も悪化するどころか絶好調(→株価指数が史上最高値を更新)で、デフレが「安定成長を妨げてきた足かせ」となったという根拠はない。「賃金が上がらないのはデフレで企業収益が悪化したから」というのは明明白白なデマである。

財務省「法人企業統計調査」

「こうした悪循環」なるものが存在しなかったにもかかわらず、デフレ脱却のためにはリフレ政策が有効だとして異次元の🐷積み&マイナス金利を続けた結果、円の実質実効為替レートが50年以上前の水準にまで減価して「安い日本」が定着してしまった。万事休す。

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