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春の彼岸⇔六波羅蜜解説(1/6)-布施

六波羅蜜

六波羅蜜

布施波羅蜜の解説

今日18日は彼岸の入りです。
彼岸の7日間の中日は、先祖に感謝し
初日は、六波羅蜜の教え布施波羅蜜
真摯に学ぶ一日と言われています。

仏教の六波羅蜜の中でも、
布施波羅蜜と言われている教えは
思い遣る心を表すおもてなし、仁、
利他の行、ホスピタリティとも言え、
人としての温かな心の活動を言います。

施し、奉仕の活動(≒自己犠牲の活動)

仏教で、『無財の七施』と言われる
一、身施=身体による奉仕をすること。 
二、心施=人や他の存在に、感謝の心で接すること。
三、眼施=優しい眼差し。
四、和顔施=おだやかで柔和な笑顔で人に接すること。
五、言辞施=思いやりのこもった温かい言葉をかけること。
六、床座施=自分の席を進んで譲ること。
七、房舎施=我が家を一夜の宿に貸すこと。
  転じて、温かいおもてなし。

この七つの施しは、
「施しは、自らの生きる力の元と知れ」
を表わした言葉です。
周りの人々を幸せな気持ち(心)に
させるには思い遣りの心を以って
無財の七施
即ち、【利己的】ではなく
【利他心】で周りの人々と
接しなければならない
と言うことを説いています。

そして、このことはサービス業に
従事する者として必ず備えて
置かなければならない大切な心です。

また、お釈迦様は「因果」の法、
即ち【因果応報】を説かれます。
その中で、
「善を施すに、
 その報いを求めてはならない」
と厳しく戒められておられます。

「因果」とは、
「原因」とその「結果」という意味です。
善いも悪いも、
 因果の種は蒔けば芽を出す、
 いつの日か

という川柳がありますが、
良い種を蒔けば良い実がなり、
悪い種を蒔けば必ず悪い実がなる
と言うこと、詰り、総ての現象には
必ず「因」という種があり、「果」という
結果が現れる」ことを説いた川柳です。

即ち、人として、
良い行いをするのは当たり前」で、
悪行をすれば罰を
 受けるのも当たり前

と言うことの意味です。

この「果」は、
直ぐに結果として
目の前に現れるものと、
後に姿形を変え様々な姿で
現れるものがあります。

さて、話しは変わりますが、
対人関係上で、情け※の心を持ち
「してあげたのに」とか
「してやったのに」
と言う会話を良く耳にします。

この「あげた」とか「してやった」
と言う動詞の使い方を考えてみます。
※情け=人間味のある心。他人を労わる心。     
    人類愛・人間愛・博愛・慈愛・慈悲・
    思いやり・親心・人情・情・ 慈しみ・
    広い心・優しさ・厚情・気持ちの暖かい・     
    同情・哀れみ・恵み・親切・厚意など

仏教では、奉仕、施しの活動を
「してあげる」
「してやる」
のでも
「して差し上げる」
「させて頂いている」
「させて頂く」
のでもなく
唯々『御恩返しをさせて頂いている
と受け止めて行いに表すことが
とても大切であると説いています。

一方、国語学者・言語学者の北原保雄氏は
「あげる」は本来「やる」の謙譲語で、
やるという行為を及ぼす
 相手を尊敬して用いる敬語

であると解説しています。

現在社会では、変化が更に進み、
「やる」の謙譲語としては
差し上げるが一般的になり、
『あげる』の謙譲性が殆んど無くなり、
「対等若しくはそれ以下の人に
 対してのみ使われている」
と思われます。

その他にも、「あげる(やる)」と言う
行為は相手に様々な利や恩恵を
与える行為故にどうしても
恩着せがましい感じになり、
相 手を尊敬することと
馴染まなくなる言葉だとも言われます。

更に、
「あげる」は「差し上げる」
という謙譲語がある故に、
その謙譲性が弱くなる推測されます。

余談ですが、私の場合、
対人関係で自分の性格からか
相手への想いや言動がどうも
重くなり過ぎる傾向があり誤解を
受け易いので意識して使いません。

即ち、「あげる」は「与える」「やる」
の丁寧な言い方で敬語(謙譲語)では
ないと捉え、
「してあげる(あげた)」「してやった」
と言う語は出来る限り使わないように
意識し謙虚な気持ちをいつも
持ち続ける為にも己の行いを
自分の責任でしたと自分自身に
言い聞かせるために 過去形の
「・・・した」、
未来形の
「・・・したいと思う(考えている)」
を使うように心掛けております。

さて、私達人間は、
その文字の如く祖先や多くの霊、
人々に支えられ人と人との間で
生かされていることを自らの心の礎に
確りと刻み己が「生きていられる」
ことに「お陰様で・有難い」と謙虚に
周りの人や自然環境、物事に感謝し、
その恩恵の心を何時も忘れることなく、
生かされ生きて生活していられることに
『御返しをさせて頂いている』
気持ちを持ち続け表し伝えて行く
ことがとても大切だと思います。

まだ記憶に新しい2011年の東日本大震災時、
世界各国や国内のボランティア、
国内外赤十字の方々、自衛隊、警察官、
被災地やその周辺の行政機関の人々、
原発の現場で事故の対処をする人々、
消防官と言った方々の行動を始めとし、
被災された方々の素晴らしい活動は、
正しく自己犠牲(奉仕)の心そのものです。

そこで、大震災復興や原発事故後の
復興ばかりかこれからの厳しい
少子高齢化日本の社会を生き抜く為にも、
この奉仕・施しの心
(=心の徳目・愛・情・信)
について記します。

奉仕・施し(自己犠牲)の活動 

1. 自然の恵み、何人、何事にも
 「ありがとうございます」
 と言う素直な感謝の気持ちと、
 「お陰様」「お互い様」と言う
 お互いが助け合う心で活動する

2. 人のために尽くす利行、利他、
 愛他精神を備え持ち活動する

3. 善の行為をする時は、
 人に知られないように活動する

4. 社会に対し、自分は何が出来るかを考え、
 人や社会に役に立つように活動する

5. 奢ることなく、謙虚な心で
 人に接し、物事に従事する

6. 先ず与えるに徹し、己の利や
   相手からの見返りを望まず、
    求めない無償の活動をする

7. 人を明るい気持ちにし、心を軽く、
 元気にする会話や行動をする

8. 他人の思惑や言動に左右されることなく、
 強い志を持って行動する

9. どんな状況下でも、大切な人を守る
 不動の心と揺るぎない信念を持ち言動する

10. 我欲(利己・私利私欲)を
    持たないで会話し、活動する

11. 相手を守るのは自分しかいない
      と認識し自発的に行動する

12. 寛容寛大な心を備え活動する

13. 大切な人を守る為に、義務を
     果たす役割役目を認識し行動する

14. 自らが、他者の為に心身とも
      犠牲になる覚悟を持って物事
      にあたり、行動する

15. 自らの幸せや豊かさより、
     周囲の人々の幸せ(利益)豊かさの
   ためを意識し、愛他の行動をする

16. 一生懸命(一所懸命)誠心誠意の
     心で物事に取組み、行動する

17. 相手に成り代わり、
      行ったり労働したりする

18. 相手に代わって自らが
     積極的に苦しみや辛さを味合う

19. 物を愛する心「もったいない」
     気持ちを備え持ち活動する

20. クレーム、苦情、中傷、非難、
      叱咤と言ったことを先頭に立ち
    進んで受ける

以上のような、
利他と施しとも言える
自己犠牲の精神(心)≒思い遣りの心は、
日本人として必要不可欠であり、
大切なことだと確信します。

同時に、この心は日本独自の
「おもてなしの心」でもあります。

また、接客・接遇業、ホスピタリティ、
おもてなしに関わる者として、
このような奉仕・施しの活動を、
弁えて置くことは顧客増加ばかりか、
己の人間力の向上にも繋がること
を理解し、自覚認識しておきましょう。
 

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