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ご近所の七不思議(エッセイ)

これは自分の父親から聞かされた話。

自分の祖父は昔から色々な商売に首を突っ込む癖があり、その頃は金持ち相手に錦鯉を仕入れて販売するんだと息巻いて、商売をしていたそう。

そんなある日、神奈川県全域で大雨が降り、近所にあった鶴見川が氾濫し、辺り一体が水で埋まったそうな。

最近だと鬼怒川の氾濫をイメージしたら分かりやすいかもしれない。

今でこそ大人しい川の代表格みたいな顔をしている鶴見川だが、その頃は堤防も低く、しょっちゅう氾濫していた。

もちろん、氾濫の被害は我が家も例外ではなく…。
何と育てていた錦鯉が全て川に流されてしまったのだった。

被害の有り様を知った祖父はショックのあまり三日間寝込み、その後、廃業した。

しかし、話はそれだけでは終わらない。


それから10年経ったぐらいの頃だろうか。
近所で妙な噂が立った。

何でも鶴見川に普通の鯉に混じって金色の鯉が紛れて餌を食べているというものだった。

父親曰く、その鯉は昔、じいさんが流してしまった錦鯉の子孫だと言うが真相は謎のままである。

自分も2000年ぐらいまで鶴見川でその金色の鯉を見た記憶がある。

嘘みたいな本当の話だ。

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