社会的孤立と孤独は、それぞれ全死因死亡の32%および14%高いリスクと関連しており、癌死亡のリスクも高かった:日本にも「孤独・孤立対策担当大臣」がいるが・・

英国政府は、2018 年に英国の 10 人に 1 人以上が感じている孤独問題に取り組むために、孤独担当大臣を任命し、対孤独戦略の政策に 2,000 万ポンドを支出し、すべての年齢の人々を 対象とした、孤独に関する指標の開発に取り組むこととした。

日本にも「孤独・孤立対策担当大臣」がいる、世界で2番めだそうだが・・・何やってるか見えない。この大臣が孤立しているのでは?

孤独・孤立対策担当大臣から皆さまに向けて|内閣官房ホームページ (cas.go.jp)


18歳以上の成人200万人以上を対象とした90の前向きコホート研究のメタアナリシスによると、社会的孤立と孤独は、それぞれ全死因死亡の32%および14%高いリスクと関連しており、癌死亡のリスクも高かった。
さらに、社会的孤立、すなわち他者との客観的な社会的接触の欠如は、心血管疾患による死亡リスクの上昇と関連していた。心血管疾患と孤独感との関連は有意ではなかった。
視床下部-下垂体-副腎皮質軸の活性化、およびそれに続くコルチゾールの過剰産生から生じる生理学的結果が、社会的孤立や孤独と死亡率との関係の根底にあるのかもしれない。さらに、社会的に孤立している人や孤独な人は、喫煙や運動量の低下など、健康を害する行動をとる可能性が高く、社会的ネットワークが狭いために医療を受ける可能性も低いと、研究者らは『Nature Human Behavior』誌に指摘している。
Meta-analysis: Social Isolation, Loneliness Tied to Higher Mortality | Cardiology | JAMA | JAMA Network


Wang, Fan, Yu Gao, Zhen Han, Yue Yu, Zhiping Long, Xianchen Jiang, Yi Wu, et al. “A Systematic Review and Meta-Analysis of 90 Cohort Studies of Social Isolation, Loneliness and Mortality.” Nature Human Behaviour, June 19, 2023. https://doi.org/10.1038/s41562-023-01617-6 .

社会的孤立、孤独と全死因、心血管疾患(CVD)、がんによる死亡リスクとの関連については議論がある。我々は、18歳以上の成人における社会的孤立、孤独と死亡転帰との関連に関する前向き研究、およびCVDまたはがん患者におけるこれらの関連に関する研究を系統的にレビューし、メタ解析を行った。研究プロトコルはPROSPEROに登録された(登録番号CRD42022299959)。2,205,199人を含む90の前向きコホート研究が対象となった。
・社会的孤立と孤独ともに有意に全死亡率と相関(pooled effect size for social isolation, 1.32; 95% confidence interval (CI), 1.26 to 1.39; P < 0.001; pooled effect size for loneliness, 1.14; 95% CI, 1.08 to 1.20; P < 0.001)
・がん死亡率と相関 (pooled effect size for social isolation, 1.24; 95% CI, 1.19 to 1.28; P < 0.001; pooled effect size for loneliness, 1.09; 95% CI, 1.01 to 1.17; P = 0.030).
・社会的孤立はCVD死亡率リスク増加とも関連 (1.34; 95% CI, 1.25 to 1.44; P < 0.001)
・CVDを有する社会的孤立においては全死亡率リスク増加(1.28; 95% CI, 1.10 to 1.48; P = 0.001、乳がんリスク増加 (1.51; 95% CI, 1.34 to 1.70; P < 0.001)
乳がん患者において社会的孤立は高度がん特異的死亡率増加(1.33; 95% CI, 1.02 to 1.75; P = 0.038)

社会的孤立と孤独にもっと焦点を当てることが、人々の幸福と死亡リスクの改善に役立つかもしれない。

Translated with DeepL+筆者修正


文献から離れるが・・・(Bing Bard使用)

社会的孤立と孤独は、異なる概念です。社会的孤立は、家族やコミュニティとほとんど接触がない客観的な状態を指し、孤独は、仲間づきあいの欠如あるいは喪失による好ましからざる感情を意味する主観的な状態を指します1。社会的孤立と孤独の測定法については、厚生労働省が定めた「社会的孤立と孤独の定義と測定法」によって、それぞれ測定されます1

孤独と社会的孤立の測定法については、厚生労働省が定めた「社会的孤立と孤独の定義と測定法」によって、それぞれ測定されます1。孤独感を測定する方法としては、UCLA孤独感尺度があります。これは、11項目の質問に回答し、その合計点数で孤独感を評価するものです2。社会的孤立を測定する方法としては、社会的関係尺度があります。これは、家族や友人、知人などの人間関係について質問し、その回答から社会的孤立感を評価するものです3

1: 厚生労働省令和2年度社会福祉推進事業 2: UCLA Loneliness Scale Version 3 (UCLA-LS3) 3: 社会的関係尺度(LSNS-6)


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