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五気という食薬の性質・・・

昨日の便秘の話しを詳しく説明する前に、その前段階の五気(五性)の話しを簡単にお話しします。

画像にホットコーヒーとアイスコーヒーのイラストを載せました。

簡単に言うと温めて飲むか、冷やして飲むかですが、寒い日に温めて飲むとお腹は温まり、暑い日に冷やして飲むと暑さを癒してくれます。

皆さんはそんな飲み方をされると思うのですが(普通はそうです)、中医学でいう五気とは、食材や中薬にはそれぞれの味・性質、効能があり、それぞれで5つの気を持っているということです。

例えば、例示したコーヒーでいうと、五気(熱性、温性、平性、涼性、寒性)のなかで、温性(平性との説も)の性質を持つと言われています。よって、冷やして飲んでも、身体には温性が働きますから、身体を温める機能を有していることになります。

すべての食材や中薬にはこの五気が働いており、薬膳を行う上では気をつけなければならないことになります。

便秘の話しに戻ると、便秘の原因となった1と3(昨日のコラム)では、1,熱性便秘、3、冷性便秘でした。1は文字通り熱を帯びることに起因する便秘、3は冷えに起因する便秘です。

簡単に考えると、1に対しては涼性か寒性の食薬を用いて熱さを取り除く、3に対してはその逆で熱性か温性の食薬で冷えを取り除くことが基本となります。もちろん、実際に食材を温めたり冷やしたりという工夫は必要ですが、そもそもの食材がもつ性質が薬膳では重要視されます。

1の熱性便秘の病因はそもそもが熱を持ちやすい陽盛の体質である場合や、飲食の不節で熱を帯びてしまい津液を消耗して腸が乾燥し便が硬くなり便秘になった場合が上げられます。

この場合の処方としては、潤腸通便となり、腸を潤し便を通じさせる食薬が用いられます。方剤(漢方薬)で言うと、麻子仁丸がこれに当たります。

3の冷性便秘の原因は、外寒邪気に侵されているか、冷たい飲食によるもので、陰寒内盛、凝滞胃腸により便が通りにくくなったと考えられます。

この場合の処方としては、順気導滞で滞ったものを通す食薬が用いられます。方剤(漢方薬)で言うと、温脾湯になります。

麻子仁丸、温脾湯の生薬については、明日、詳しくお話しします。