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インターン日記 #6【やっぱり、人を、言葉をつなげる仕事がしたい】

今日のお昼ご飯のこと。

私は、雑音にしか聞こえない会話を一生懸命聞こうとするのも疲れて、一人で黙々と食べ進めていました。

スペイン語の会話は、日本語とは比べられないほど抑揚があり、
どうしてそんなに速く口が動くのかと思うほど早口です。
さらに、身振り手振りも豊かで(たまに机をたたいたりする)
日本人よりも感情むき出しで話しています。

スペインに来た初日は、この会話を理解するのは到底無理だと思っていました。

でも・・・

今日はいつもにも増して、会話が盛り上がっていました。
どうやら、ある男性の同僚の髭の話をしているみたい。
彼は髪の毛がないのですが、頭を触ったり髭を触ったりして話していました。

会話を注意深く聞いてみると、maquinilla(バリカン)とか、
afeitador(髭剃り)とかいう単語が聞こえてきて、
もしかしたら、バリカンと髭剃りをどうやって区別するのか、
どこまでバリカンを、どこから髭剃りを使うのか、みたいな話で笑っているようでした。

手振りがあったからわかりやすかったとは言え、ほんのちょっぴりは成長したんじゃない?
会話には全く参加しなかったものの、一人で少し達成感を感じていました。

ご飯を食べた後、コーヒーを外でゆっくり飲みます。
この時間が本当に苦痛で(笑)、今でも逃げたしたくなるような衝動に駆られます。
何もしゃべらないのに、どうしてその場にいなければならないのかと思いますが、ここで逃げたらもう一生一緒にご飯に行けないと思って付いていきます。

今日も、どんな表情をしてその場にいればいいのかわからないまま、ぼーっとするのかな・・・と思っていました。

でも、何かが違ったのです。

会話のトピックは「どうやったら幸せになれるか」(どうやったら、と言ったか、なにをもって、と言ったかはわかりませんが、とにかくser felizと言っていました)

同僚は二十代後半から三十代前半。働き盛り、成長盛りですが、そろそろ将来を見据えてキャリアを作っていく時期です。
何を自分の幸せか、考えるようなこともあるのでしょう。

会話のすべてを理解することは当然できませんでした。それでも、外で静かな環境だったからか、ほぼ完璧に理解できる言葉がありました。

「・・・大学を終えて、仕事をして、仕事をして、、、このままでいいのか。」

「当然よ、私たちは、食べるために働いているのよ」

「部屋がなくても、幸せになれると思うか?」「私はそう思う」「僕はそう思わない」

「結局、小さなことを達成し続けること、人のために何かをすることが、幸せなんだと思う」


私は、彼らの達観したような、何かを悟ったような表情をしながら話すのを見て、感動のあまりずっと驚いた表情をしていました。

それは、彼らの言葉が私にとって全く新しい概念だったからではありません。

私が今まで、通勤の間ずっとDuolingoをやり続けていたこと、
道を歩いているときはPodcastを聞いていたことで、
彼らの言葉を、ようやく翻訳機なしで、少しずつ、直接理解することができたからです。
そして、彼らの考え方が私の考え方とは違うと、感心することができたからです。

聞いている間、どうしてこの人たちは、幸せなんて難しい概念についても、こんなにすらすらと解釈がでてくるんだろうと思っていました。
そして、ああ、これ日本人に同じ問いを投げかけたら、きっと違う答えが返ってくるんだろうなと、もどかしく感じていました。


私は、その場所にいたからこそ、彼らの言葉に触れることができた。
そして、その言葉を、スペイン語をかじっていたからこそ、生のままで理解して、感動することができた。
言語を勉強することで、海外にいることで、自分の世界が広がったのを、ようやく体感することができました。

私が「今、ここ」にいるからこそ感じ取れることを、もっと多くの人に伝えたい。
言葉の違いによる壁を乗り越えて、自分にはなかった新しい考えに感動する体験を届けたい。
はっきりと感じました。

私は、スペインに来る前から、自分から新しい人やモノに出会うこと、人と話すことで、自分の世界を広げてきました。
自分の気になることがあったら、何も考えずに現場に行っていました。
そして、自分の手で発見した新しいことにぞくぞくしたり、機会にわくわくしたりするような体験を、他の人にも届けたいという思いから、イベントを打ったり、SNSで宣伝したりするのが好きなタイプでした。

現場に行きたい、自分の体験を人に伝えたい、という思いはスペインに来てからも変わりませんでしたが、
今日のことをきっかけに、さらに強まりました。

きっと将来は、私にしか切り取れない世界や、私にしかつかめない情報に自分から出会いに行き、
その糧を誰かの世界を広げるために、人と人とをつなげるために使うような仕事に就きます。
そのために、自分の感覚を研ぎ澄ませ、情報にアクセスできるようなスキルを磨きたいです。


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