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TEDxTokyo yz 2017 委ねられた豊かな時間と空間

■終わってみておもわず泣く
泣くつもりはなかった。のだが、一会さんに声をかけられて話し始めたら泣いてしまった。あの日あの時何が起こったのか、あとで感じたのは” participants に委ねる”という懐の深くて豊かな空間と時間だったのです。

プログラムの良し悪しは個人の文脈によって異なるとは思うのですが、私個人にとっては過去最高のTEDx 体験でした。TEDxのちょっとネガティヴ体験も気がついたんだけど、そこも含めて備忘録しておきます。

■TEDxに参加すること
今回の参加は、TEDxNihonbashiの参加があったからこそ、もう少しTEDx見てみよう!という気持ちになりました。ローカルからの切り口に心が踊ったのがきっかけです。
TEDxってなに?については前回の記事を見ていただければ幸いです。
https://note.mu/psty/n/n06ba20786fd1?creator_urlname=psty
TEDxは、ビデオでも見られるのですが会場のコミュニケーションも大きなエクスペリエンスというやつです。できることならその場に行ってみることということで、参加させていただきました。yzは昨年に続いて2度め。正直、昨年の記憶は飛んでいる。

■TEDxTokyo yz で起こったマリアージュ
今回は最初のTalkの途中から参加。ちょうど森本桃世さんのTalkが始まった!百世さんがあとで「料理を通したコミュニケーションは得意だけど、話すのは苦手」といってたけど伝えたい思いを等身大で投げかけてみるという健闘に拍手を贈りたい。「食べることが身体を作っている」その選択を自分の感覚で選んで見ようという提案。

彼女のそのTalkの次がTEDのビデオが

「ジェン・ブレア「もしも医者には診断できない病に倒れたら?」
https://www.ted.com/talks/jen_brea_what_happens_when_you_have_a_disease_doctors_can_t_diagnose?language=jahttp://digitalcast.jp/v/25420/

TEDxでシェアされるビデオって比較的人気ランキングの高いものが多くて、私にとっては「もうなんども見てるよ」というのが多かったんです。がこの日のビデオはまったく違いました!こんなTalkあったんだ!という衝撃。そしてわたしが出会いたかったビデオでした。

ジェーン・ブレアさんの病気は”筋痛性脳脊髄炎(ME)”という、少し動くだけで激しい疲労に襲われる病で、しかしそれを女性特有のヒステリー症状(転換性障害)と診断されて治療が遅れ何年も寝たきりの生活になったというおはなしでした。あとで読み返してみてもこれは「慢性疲労症候群」のひとつのようです。

で、わたしも2013年に慢性疲労症候群を発症しています。通常の検査では異常がないため「うつ病」と診断されました。ひどい倦怠感で起き上がることができず食事以外は寝ていました。が、「ぜったいにうつ病ではない、身体に何か起きている」という確信のもとに調べに調べて「副腎疲労症」に行き当たり、専門医に自費診療で見てもらったところ次々と異常値が認められて診断をもらったという経緯があります。このあたりの詳しいことは #shortnote にえんえん書いておきました。
https://www.shortnote.jp/view/notes/ARyByC9A

この病にかかって「人の身体は、健康は単純なものではない」ということを思い知りました。一方で、自分の身体に起こっている違和感(信号)をちゃんと読み取れるようにならないといけないと思いました。疲労感が強いのは得てして個人の健康管理の問題やら自己責任にされがちですが、「疲労感」にもちゃんとした理由と根拠があるということを知りました。おそらく漠然と「疲労」をかかえて我慢して・隠して・自分をだまして生活されているかたも相当数いると推察されるのです。このとっかかりにくい「慢性疲労症候群」が、TEDのTalkとしてシェアされているとはなんと心強い!のです。このビデオに相当な興奮を憶えました。

森本さんも病に倒れ、病に向かい合いながらお料理のお仕事をされています。彼女の「食べることが身体を作っている」というメッセージは彼女の体温と体重が乗ったメッセージであり、このビデオとまさにマリアージュしていたのです。

このあとに、SAMPO,inc.の塩浦さんはモバイルハウスのお話。なんと今住んでる家ごと渋谷CASTに来てて展示されました。あたらしい暮らし方・生き方の提案。

第二部は、リアル脱出ゲームのデザイナーかわかたたまみさんの、実際にゲームを会場でやってみる「選ばれし者を見つけるゲーム」でみんなを動かし、最後のメッセージったら!

三越本店の根石賢太郎さんは、お買い物とはなにか?を百貨店の目線で提案されました。というわたくしECに13年関わって事業をつくるときにも「お買い物とは何か」をうんうん唸った身としてのなんというシンクロ!というのと、案外TEDxでこれだけおおっぴらに「お買い物」の話をされた方は初めてなんじゃないかと思いました。登壇した根石さんもすごいけど、登壇させた人もすごい!

大塚 海平さんはそのタイトル「新人類」の期待を裏切らないパフォーマンス。

この次にまたまたTEDビデオからLunch Lady!

ジャレット・クロザスカ「なぜ給食のおばさんがヒーローなのか」
https://www.ted.com/talks/jarrett_krosoczka_why_lunch_ladies_are_heroes?language=ja

給食のおばさんをヒーローにしたお話が全米中の子供達の人気となったお話です。これも初見!とうか、わたしまさにいま「食堂」のお仕事だし!
日常の自分たちの生活を支えてくれている一人ひとりに物語があり、それに気がつくことで世界の見え方がまた変わってくるのです。このおはなしも泣けました。

第三部は、SAMPOの村上 大陸さんは松岡正剛が1971年に1年間だけ発刊されていた伝説の雑誌「遊」から「PARTS LOVE」にはじまる部分への触覚が世界全体へとつながっていくいく話し。この時「態度」に言及されていた彼の態度を見逃さない。本の世界に連れて行ってくれたお母様にリスペクトし堂々と話す様は20歳とは思えない風格がありました。

福本 理恵さんは異才発掘プロジェクト ROCKET」でプロジェクトリーダー。どんな子どもたちがどんな才能をもってやってきているのか多様性のリアルを話してくださいました。

最後は俳優巖谷 陽次郎さんによる女優・林洋子さんが37年かけ「ひとり語り芸」から「よだかの星」全身で聴き入る。おわって林さんがご自分の言葉で語られた言葉にも体温と体重が乗った熱いエネルギーを感じました。

それぞれのステージの間に司会が入るのがTEDxの型ではあるんですが、それがねほとんど中身に触れないでさらっとさらっとすすめられていっていたんです。その時はそこが不思議だったのですが、ひとつひとつのTalkを重ねるごとにそのメッセージが自分の中にすんっずんっと着実に重なって行きました。

今回のテーマ「変」は、参加者それぞれの内なる五感に在る「変化の兆し」を目覚めさせるそんなプログラムだったんではなかろうかと勝手に腑に落ちたのです。説明しすぎない、participant の五感に委ねる、結果が終わってみて泣けた泣けた。今思い出しても泣けます。

今回のTEDxスタッフはおそろいのTシャツも着ておらず私服でふらっとみんなの中に溶けこんでいます。がっつり記念写真的なものも撮らずなんともちからが抜けた絶妙な空気! この豊かで深くここちよい時間と空間をくださったTEDxTokyoyzの登壇者の皆様、スタッフの皆様、そして一緒に空間をつくりあげたparticipantsの皆様には心からの敬意と感謝を。最高!(了)


あと、アフターパーティのごはんもすばらしい出会いでこれは別件で書いておきました。
https://note.mu/psty/n/nd5d2d76012dd
お名前わかったので調べてみたら!ムスリム対応もしてるケータリング!なぬぬっ!これまた一本取られました。参りましたmm

https://www.gajyumaaru.com

そして Hoop coffee さんのシングルオリジンで、同じ国の三つの地方の豆をそれぞれ別のロースターで媒染された珈琲豆のブレンド!これもすごかったなあ。
ややっ、ピーナツバターサンドも!!



P.S.いいことを書いたけど、TEDxのトラウマというと大げさだけどずっとひっかってた小骨に今回で気がついた。それが「スタンディングオベーション」を求められること。忘れもしないTEDxKyotoの1回目に近藤さんに求められて練習までさせられた。気持ちはとても良くわかるのです、スピーカーにリスペクトを、、TEDのスタンディングオベーションいいよね。

でも、「やってください」って言われると身体が硬直するのが正直なところ。今回のTEDxTokyoyzの空間に身をおいて初めて気がついた言いたくて言えなかったこと。これも記しておきます。ありがとう。

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