3. 緊張病(catatonia)

この note では ICD-11 の精神科領域の解説を行っています。
本日は 緊張病(catatonia)を扱います。

3. 緊張病(catatonia)

①緊張病は主に精神運動性の障害を呈する症候群である。②緊張病の評価は複雑であり、観察、問診、身体的評価を必要とする。③緊張病は他の精神疾患の経過中に起こりうる。例えば、統合失調症、気分症群、神経発達症群(特に自閉スペクトラム症)である。④また、精神作用物質の中毒または離脱の際にもみられることがある。(フェンシクリジン、大麻、幻覚剤、コカイン、MDMAなど)。一方、ある種の処方薬の使用に伴って起こることもある。(抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、ステロイド、ジスルフィラム、シプロフロキサシンなど。)⑤あるいは、緊張病は精神疾患以外の身体的な病理の結果として出現することがある。⑥例として、糖尿病性ケトアシドーシス、高カルシウム血症、肝性脳症、ホモシスチン尿症、脳腫瘍、頭部外傷、脳血管障害、脳炎などがある。

補足:①いきなりぶっ飛ばしている。原文は以下のようである。
Catatonia is a syndrome of primarily psychomotor disturbances, characterized by the co-occurrence of several symptoms of decreased, increased, or abormal psychomotor activity.
これをきちんと訳せば「緊張病は主に精神運動性の障害を呈する症候群であり、減少、増加、あるいは異常な精神運動性の活動によるいくつかの症状が同時期に生じることで特徴付けられる」という、まさしく冗談のような内容になる。遠慮なく言えば、これは原文が悪いのである。④では、精神作用物質については「中毒または離脱の際」としているのに、処方薬については「使用の際に」としか訳せない構文になっている。ベンゾジアゼピンなどの離脱症状は医療関係者にとっては常識である。こちらもぜひ原文を見直して貰いたい。

この群には、主に以下のものが含まれる。

・6A40 他の精神疾患に伴う緊張病(Catatonia associated with another mental disorder)
・6A41 精神作用物質に伴う緊張病(Catatonia induced by substances or medications)

補足:これらの本文は、それぞれ①③と、①④の文章を繰り返しているだけであったので、触れない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?