プシュコロギア

心理学を世に広めるnote

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最近の記事

学習の生物学的制約(biological constraints)

〇 学習の生物学的制約とは、学習が生得的傾向の影響下にあることを示す。  動物本来の機能に沿った刺激は、そうでない刺激よりも条件づけを受けやすい。 〇 味覚嫌悪学習(taste-aversion learning)とは、ある味覚と内臓不快感(嘔吐感、腹痛)の対呈示によって生じる条件づけのこと。 〇 ガルシア(Garcia,J.)らによる実験 第一段階:甘い水(CS;味覚)+ランプ光(視覚)と塩化リチウム投与(US)を対呈示 ⇒嘔吐感を催す(UR) 第二段階:甘い水+ラン

    • 三項随伴性(three-term contingency)

      三項随伴性(three-term contingency)〇 三項随伴性とは、オペラント条件づけにおける「弁別刺激」→「反応」→「強化子(結果)」の三者による随伴関係をさす。  天気の様子(弁別刺激)によって傘さし行動(反応)が生じ、雨に濡れない(強化子)で済むため、雨が降ると傘さし行動が強化される。オペラント条件づけによって個々のオペラント反応が新しく学習されるのではなく、オペラント反応をある状況で自発したら何が起きたのか、という三項随伴性が学習される。 〇 プレマック(

      • 古典的条件づけ②

        古典的条件づけ②〇 実験神経症(experimental neurosis)とは、弁別の訓練において課題が困難だったり、強い嫌悪刺激を伴う場合、弁別の成績が低下したり混乱状態に陥ること。新たに弁別させるには長い時間を要する。パヴロフ(Pavlov,I.P.)によって命名された。このような異常行動は人間の神経症と類似した状態だと考えた。 〇 高次条件づけ(higher-order conditioning)とは、条件刺激として条件づけが成立した刺激に、新たに中性刺激を対呈示す

        • 自伝的記憶(autobiographical memory)

          自伝的記憶(autobiographical memory)自分史を語る 〇 自伝的記憶とは、個人が人生の中で経験したさまざまな出来事の記憶。エピソード記憶に分類される。 自伝的記憶の忘却 ① 類似した出来事の詳細な事実を忘れ、互いの区別がつかなくなるタイプの忘却。 ② その出来事について全く思い出せなくなるタイプの忘却。あまり重要ではない些細な出来事に多くみられる。 〇 レミニセンス・バンプ(reminiscence bump)とは、70歳前後の高齢者に自伝的記憶を想起

        学習の生物学的制約(biological constraints)

          自己関連付け効果(self-reference effect)

          自己関連付け効果(self-reference effect)〇 処理水準効果(levels of processing effect)とは、処理水準の高い情報処理を行うほど記憶成績がよくなる現象。  単語の形態・音韻・意味の3つの記銘方略を用いて単語を記銘した場合、意味>音韻>形態の順に記憶成績がよくなる。処理水準の深さが記憶成績の向上と関連している。 〇 自己関連付け効果とは、記銘材料を自己と関連づけて記銘すると、物事の意味に関する処理や、他者と関連づけて記銘する場合よ

          自己関連付け効果(self-reference effect)

          虚偽記憶(false memory)

          虚偽記憶(false memory)(1)  誤導情報効果(misinformation effect)  ロフタス(Loftus,E.F.)とパルマー(Palmer,J.C.)による記憶が変容する現象。目撃した事件と矛盾する事後情報(誤誘導情報)が与えられると、事件に関する目撃者の記憶が変容する。  「事件にとってあまり重要でない細部に関わる場合」、「事件から時間が経過し、記憶が不鮮明である場合」、「誤導情報を疑う理由がない場合」に記憶の歪みが生じやすい。 (2)  ソー

          虚偽記憶(false memory)

          奥行き知覚(depth perception)

          奥行き知覚(depth perception)〇 奥行き知覚とは、網膜に投射される像が二次元の曲線画像であるにも関わらず、三次元の世界を知覚できること。絵画、写真、映画、テレビなどの画像も2次元の平面画像であるが、生得的あるいは経験的な手がかりから奥行きを知覚している。 単眼手がかり(monocular cue)  片方の目だけで対象を見る場合にも利用できる手がかり。多くは絵画で遠近感を出すために用いられるため、絵画的手がかりともよばれる。 (1)  陰影(shadow)

          奥行き知覚(depth perception)

          連合ネットワークモデル(associative network model)

          連合ネットワークモデル(associative network model)〇 コリンズ(Collins,A.M.)とキリアン(Quillian,M.R.)は、長期記憶に貯蔵されている情報の構造を明らかにするため、概念の階層的な記憶構造を仮定した。特定の概念を主語とし、その概念の特性を述語とする文を用いて実験参加者に文の意味の真偽判断を求めると、真偽判断のために検索されるリンク数が多いほど、実験参加者の反応時間が長いことが見いだされた。この結果から、人間の知識は個々の情報が階

          連合ネットワークモデル(associative network model)

          気分一致効果(mood congrument effect)

          気分一致効果(mood congrument effect)〇 気分一致効果とは、その時の気分と一致した過去の出来事を思い出しやすいという現象。ものごとを覚える過程の記銘時と、ものごとを思い出す過程の想起時の両方で生じる。 (1)  記銘時・想起時  情報を記銘するときの気分と、記銘される情報の内容が一致しているほうが、そうでないときと比べて記銘されやすい。  記憶を想起するときの気分と一致した内容の記憶が想起されやすい。 〇 情報や事象のもつ感情的な意味合いを感情価(v

          気分一致効果(mood congrument effect)

          ボトムアップ処理/トップダウン処理

          ボトムアップ処理/トップダウン処理〇 認知心理学における情報処理アプローチで、ノーマンとボブロー(Norman,D.A.&Bobrow,D.G.)によって提唱された人間の能動的な情報処理の仕組み。 〇 ボトムアップ処理(bottom-up processing)とは、入力刺激(音声または文字)からの情報のみに基づいて低次なレベルから高次なレベルへと進んでいく処理。データ駆動型処理(data driven processing)ともよばれる。  言語処理では、「文字の認知」→

          ボトムアップ処理/トップダウン処理

          アフォーダンス(affordance)

          アフォーダンス(affordance)〇 知覚心理学者ギブソン(Gibson,J.J.)は、知覚を人間と環境の相互作用として捉えようとし、生態学的妥当性(ecological validity)を提唱した。「生物における感覚や知覚は、物理学的にではなく、生態学的(日常生活)と結びつけられる」と主張されている。 〇 ドアやドアノブの物理的な形を知覚するのではなく、それらの事物がわれわれに「与えてくれる特性」を知覚する。

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          忘却(forgetting)

          忘却(forgetting)〇 忘却とは、記憶したはずの事柄が想起できないこと。忘却の現象をはじめて科学的に研究したエビングハウス(Ebbinghaus,H.)は、無意味綴り(nonsense syllable)とよばれる独自の記銘材料を考案し、自身を唯一の実験参加者として心理学史上最初の記憶実験を行った。無意味綴りを完全に暗唱できるようになるまで記憶し、時間とともにどれくらい忘却が進行しているかを測定した。その結果、記憶の保持率は1時間後には44%、1日後には34%、1か月

          忘却(forgetting)

          系列位置効果(serial position effect)

          系列位置効果(serial position effect)〇 系列位置効果とは、記憶再生テストを行わさせると、提示順序の最終位置の数項目の再生率が最もよく、次いで最初の位置の数項目の成績がよく、中央の項目の成績が最も悪くなる現象。  最初の数項目の再生率が高いことを初頭効果(primacy effect)、最後の数項目の再生率が高いことを新近効果(recency effect)という。 〇 系列位置効果は、アトキンソン(Atkinson,R.C.)とシフリン(Shiffr

          系列位置効果(serial position effect)

          長期記憶(long-term-memory)

          長期記憶(long-term-memory)〇 長期記憶とは、半永久的に貯蔵される容量無限の記憶貯蔵庫のこと。 〇 精緻化リハーサル(elaborative rehearsal)とは、情報を整理し、すでにある意味内容と結びつける深い意味処理のリハーサル。意味のあることは、無意味なことに比べてはるかによく記憶され、情報の多くが長期記憶へ移行するといわれている。 〇 維持リハーサル(maintenance rehearsal)とは、情報内容を単に復唱するだけの単純なリハーサル。単

          長期記憶(long-term-memory)

          短期記憶(short-term-memory)

          短期記憶(short-term-memory)〇 記憶は保持期間によって感覚記憶・短期記憶・長期記憶に分類される。 〇 感覚記憶(sensory memory)とは、目や耳などの感覚受容体に与えられた情報が提示されたそのままの状態で保たれている記憶。未処理の状態であるため、容量が非常に大きく、ごく短時間だけ感覚に留まるが、刺激がなくなると情報は急速に消えてしまい、保持時間は1秒以内で非常に短い。  この感覚記憶のうち、必要な情報のみに注意が向けられ、その情報が意味処理(記銘

          短期記憶(short-term-memory)

          記憶の3過程

          記憶の3過程〇 記憶痕跡(memory trace)とは、蓄積された過去経験のこと。 〇 記銘(memorization)とは、経験したことが記憶として取り込まれること。外部の刺激がもつ情報を人間の内部の記憶に取り込める形に変換することから符号化(encoding)ともよばれる。  大脳辺縁系の海馬は、記銘に大きな役割を果たしており、海馬の損傷によって記銘が困難な状態になる。 〇 保持(retention)とは、記銘されたことが持続的に維持される過程。この段階では、取り込

          記憶の3過程