系列位置効果(serial position effect)

系列位置効果(serial position effect)

〇 系列位置効果とは、記憶再生テストを行わさせると、提示順序の最終位置の数項目の再生率が最もよく、次いで最初の位置の数項目の成績がよく、中央の項目の成績が最も悪くなる現象。
 最初の数項目の再生率が高いことを初頭効果(primacy effect)、最後の数項目の再生率が高いことを新近効果(recency effect)という。

〇 系列位置効果は、アトキンソン(Atkinson,R.C.)とシフリン(Shiffrin,R.M.)が提唱した記憶過程が短期記憶と長期記憶の2つのシステムから成るとする記憶の二重貯蔵モデル(two-store model of memory)を支持する証拠となっている。
 最後の数項目はまだ短期記憶に存在しており、容易に検索が可能なため再生率が高くなり、新近効果が生じる。一方、最初の数項目は短期記憶に余裕があり、提示から再生までの時間が長く、リハーサル(復唱)されやすくなるため長期記憶に転送されやすく、再生率が高くなる初頭効果が生じる。
 初頭効果には長期記憶が、新近効果には短期記憶が反映されている。新近効果は短期記憶に残っている記憶痕跡を再生しているため、記憶課題提示後に再生を求める前に、一分ほどの別の課題を実施すると、再生が妨げられて新近効果が消失する。一方で、初頭効果は長期記憶が関連しているため、一分の妨害は障害にならない。
 また、1語あたりの単語提示時間を延ばしてリハーサルを行う時間的余裕を生じさせると、新近効果には変化がみられないが、長期記憶が反映されている初頭効果が強くあらわれる。

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