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ぐるぐる思考からの脱出はいかに

うつ病や不安障害の重要なファクターの一つとして、「反芻」が注目されている。反芻とは、簡単に言えば「ぐるぐる思考」のこと。あることについて繰り返し考えることを指す。

多くの人が経験したことがあるかもしれないが、例えば、何かに失敗して、それを一日中思い出しては「あああ~~~~~」と頭を抱える、なんてことないだろうか。人によっては、「なんであんなことになったんだろう…私の何が間違っていたんだろう…」と、2~3日、場合によっては1週間、1か月、など、エンドレスに考え続けることもあるかもしれない。

ぐるぐる思考の背景にあるもの

そもそも、ぐるぐる思考に陥りやすい人は、「完璧主義な傾向」「気にしいな性格」を持っているという。

また、否定的な結果や失敗などを想像しやすく、それを防ぎたいと思う気持ちが強い人ほど、ぐるぐる思考になりやすいらしい。

ただ、「○○という性格があなたの辛さの原因ですね」と言われても…と私はよく思う。自己理解にはつながるけど、残念ながら性格はそんなに容易く変わらないので、「それって、もうどうしよもないってことか…?」と途方に暮れる。

●ぐるぐる思考からの抜け道は

そこで、そこからの抜け道を検討した研究がいくつかある。私の後輩はこの「ぐるぐる思考」について研究をしていたのだけど、その子の発表でこんなことを聞いたことがある。

Why思考」で考えていると、ぐるぐる思考になってしまうけど、「How思考」に切り替えると、ぐるぐる思考から抜けられる。

つまり、ある状況について「なぜ○○となってしまったんだろう」と原因追及をすると終わりがない。答えがないからかもしれないし、答えが無数にありすぎるからかもしれない。でも、「どうしたら○○とならないか」と解決志向で考えると、自ずと着地点が見えてきやすい

これが、まさに、ぐるぐる思考に注目した認知行動療法(Rumination-Focused CBT)でやること。

認知行動療法とは「ものの受け取り方、捉え方のパターン」や「行動のパターン」に着目して行う心理療法。バランスのいい物事の捉え方をできるようにしたり、行動を変えることで気分を変化させようとする。

また、ぐるぐる思考の内容は、「過去の出来事への後悔」「未来への不安」等であることが多い。そういった、過去や未来へとらわれていることに、まずは気づくことが大事。そして、「今、目の前のこと」に注意を戻す。例えば、今、食べている食事、横になっている布団の匂い、電車の音、歩いている足の感覚。五感を使ってもいい。大事なのは、思考に気づいて、今に戻してあげること。

それはまさに、マインドフルネス心理療法でやること。

マインドフルネスは、今現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程であり、瞑想およびその他の訓練を通じて発達させることができる。

ぐるぐる思考は厄介なものだけど、攻略できる手段はいくつかある。いろいろ試してみて、自分に合った方法を見つけるのも一つかと思う。

私自身は、最近マインドフルネスにはまっているけど、やっぱり「ぐるぐる思考になりやすい人」だから効くのだと思っている。ぐるぐる思考に陥っているときは、せっかく美味しいものを食べていても、楽しい旅行をしていても、「ぐるぐる思考」に支配されて、なかなか「今」を楽しむことができない。それって、人生損しているなぁ、と思ってしまうことがある。今の時間は今この瞬間しかないのだし、やっぱり目の前のことを、じっくり味わいたい。マインドフルネスは、どのような形であっても、ライフワーク的に関わっていきたいものだと思っている。


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