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学生・新人のための症例報告書(レジュメ)の書き方-その1-


こんにちは。

私は臨床経験12年目の理学療法士で役職は主任クラスです。

最終学歴は博士前期課程(修士)で、認定理学療法士(脳卒中・循環器)、心臓リハビリテーション指導士、3学会合同呼吸療法士、心不全療法指導士など多数の資格を取得しています。臨床実習指導者講習会も受講済みで年間3-5名程度の学生を指導しています。

一昔前まで、臨床実習には症例報告書(以下、レジュメ)の作成が必須でしたが、現在では必須項目ではなくなっています。養成校によっては、臨床実習後に養成校の教員とともに作成するケースもあるようです。確かに睡眠時間が少なくなったり、紙面での学習時間が増えることで、患者とのコミュニケーションスキルやチーム医療などを経験することも重要です。しかし、1人の患者についてあそこまで深く考え、まとめるという経験は臨床場面ではなかなかありません。レジュメを通してまとめるという経験が、今後の臨床に必要なのも事実です。

そこで、私が実際に指導している中で大切にしているポイントやレジュメの書き方をまとめて見ます。少しでもレジュメ作成や今後の臨床に役立てて頂ければと幸いです。

①全体の構成について

まずは、全体の構成を決めていきましょう。

タイトル、初めに、症例紹介(身長・体重・BMI、既往歴、家族構成、家屋構造、病前生活など)、初期評価、問題点、統合と解釈、理学療法プログラム、経過、最終評価、考察、終わりに、などです。

色々な評価を行い、色々なことを考え、色々なことを書きたくなる気持ちはすごくよくわかります。A3用紙(もしくはA4用紙)と限られた中で情報を詰め込みすぎてしまうと、話が紆余曲折してしまい、何を伝えたいのかが曖昧になってしまいます。

そのため、話の中に「1本の柱」を立てましょう。

脳卒中片麻痺の方であれば、運動麻痺や筋緊張異常、感覚障害、バランス障害、高次脳機能障害など様々な症状が出現する可能性があります。この全てを主張し過ぎてしまうと「本症例は左片麻痺を認め、感覚障害が軽度で、筋緊張が亢進しており、バランス障害を認め、尚且つ高次脳機能障害により食事も自力で摂取することができません」のように何に着目すれば良いのかわからなくなってしまいます。

聞き手や読み手としても、「どこが1番の問題なのだろう?」「話が分かりにくいな」という印象を持たれてしまいます。

「この方の1番の問題的は筋緊張異常であり、そこに着目して介入しました。」

「バランス障害が残存していることで、在宅復帰が困難となっています。」

のように「1本の柱」を立てることで、「どういう評価を行ったんだろう?」「どのような介入をしたんだろう?」と興味を掻き立てることができます。

②「症例紹介」について

この項目は主にカルテや問診から情報を収集することが多いと思います。
学生は形式的に「上がり框は何cmですか?」、「職業は何ですか?」などと聴取することが多いです。

しかし、ここは非常に重要な項目です。

既往歴については、糖尿病や高血圧などが存在する場合は、再発のリスクがあるため、血糖値やHbA1c、血圧などを把握し服薬状況などを把握する必要があります。もし脳梗塞などによる症状が軽症であり、自宅退院ができたとしても、患者の生活習慣を見直し、自己管理できるような指導をしなければなりません。

また、職業についてです。

私達の目的は患者を歩けるようにすることではありません。

日常生活を送れるようにすること、可能であれば復職など目指すことになります。
(患者や家族が何を求めているのに変化します)

事務員や警備員などと固有名詞を把握することが目的ではありません。
具体的にどのような事務作業が多いのか?
パソコン業務が主となるのか、書類管理や輸送業務などが主となるのかで、評価項目やリハビリ内容が変わってきます。
警備員についても巡回(歩行)が主なのか、階段昇降が多いのか、モニター監視(注意機能)が主なのかが重要となります。

次項では具体的に理学療法評価について説明していきます。

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