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不思議な話

怖い話が好きだ。私もしたい。でもおばけとか見たことないんだよね〜アハハ〜という雑談をよくする。
先日YouTubeで怪談を流していたら、怪談を他人から集める人が「知らない人に怖い話ありませんか?と聞くと、無いといわれるが、不思議な体験ありませんか?と聞くと、してくれることがある」と言っていた。それを踏まえて、少ない自分のメモリーに尋ねた。


不思議な話①

2020年1月、N市に行くので、いいお店がないかとインスタで探した。おしゃれっぽいお店とおしゃれな氷の写真をみつけ、そこに決めた。待ち合わせまで、時間があったので1人で行ってみることにした。土地勘はない。iPadで地図をみながら行った。お店のインスタのホームに書かれた住所を地図アプリにジャンプするかコピーするかしたと思う。
アプリに言われた通りに電車に乗って、言われた通りの駅で降りた。大きな通りを通って、高速道路の高架をくぐった先にお店はあるようだった。大きなパチンコ店の裏手らしかった。狭い通りなんだけど、ものすごい飲み屋街というか、夜のお店の多い街だった。民泊と書かれた古い家屋もあった。寒いのに、タンクトップでゴルフの素振りをしてるおじさんと、ふくらはぎに大きいタトゥーの入った外国人を見かけた。一言で言うと治安がヤバいなと思った。こんなところにあんなおしゃれな氷のお店があるなんて、都会ってヤバと思いながら歩いた。
しかしお店らしいお店がない。というか、昼間にやってるお店がひとつもない感じで、街全体がまだ寝てるのだ。路上にゴミが目立つ。iPadの位置情報は精度が悪くて、いまいちどこだかわからない。でもお店って、看板なんかがあるからどうにかなるのだ、いつも。だいたいここらへんだろうという地点をウロウロしてみた。全然それらしいものがない。アパートとなんかスナック長屋みたいな小さいビルしかない。さっきまでフラフラしていた位置情報が止まるようになってきた。たぶん番地的には合っていた。そこには二階建てのアパートがあった。一階はゴミ屋敷みたいに荷物がたくさん置かれていた。二階もまた荷物がたくさんで、ベランダの手すりにカラスが5羽くらいとまっていた。なんなんだ。よし!やめよう!と駅まで帰った。
そのあと待ち合わせしていたN市在住の人にそのことを話した。iPhoneで行きたかったお店と、私がみたカラスのアパートの地名を検索すると「駅というか区もちがう」と言った。そんなことある?車でそのお店にも連れていってもらった。全然ちがう場所の、美術館のあるおしゃれな街におしゃれなその店はちゃんとあった。
かき氷は美味しかった。終わり。



不思議な話②

Y市、2015年に1回だけ訪れたかき氷屋さんがある。今年久しぶりにその街に行くので、お店を再訪しようとした。前回は電車と徒歩で行ったけど、今回は車。
お店の裏手のコインパーキングに停めて歩く。なぜか全然来た覚えがない。街並みも立地も初めてみる気しかしない。まぁ駅からメインストリートを歩くのと裏通りを歩くちがいだろうと思った。ところがお店に着いても、こんな店構えじゃなかったし、通りに対して店の向きもちがう気がする。メインストリートを一度曲がった細い道に向かって戸口がある。前回はメインストリートに対してそのまま垂直に入店するつくりだったと思う。あ、わかった。移転だ。なんだなんだ。都会でよくある、近所のちがうビルに移転するやつね、なるほど。

ちょっと行列ができていたので、その場で調べるが、移転したという情報は見当たらない。検索期間を2015年頃にしてみるも、住所や番地は変わらない。さっぱりわからない。
メインストリートを眺めてみる。これも全然違う気がするのだ。もっと八百屋さんとか金物屋さんとか、個人商店の並んだような、こぢんまりした感じを記憶していた。今いるところは銀行とかファーストフードチェーンとか、もっと大きめのビルが並んで、道路の幅も記憶よりかなり広い気がする。もうこれどっかと勘違いしてるな!と思うことにした。

お店に入る一歩手前まで順番が来て、食べてる人やメニューが見えた。氷の半分にフルーツのソース、もう半分にミルクをかけたデザインには、かなり見覚えがある。自分のかき氷のインスタ(これまでいただいたかき氷は100%載せている)をザーッと下までやってみる。2015年のところに、同じデザインのかき氷があった。器も湯呑みも、メニューの名前も一致している。間違いなくそのお店のジオタグをつけている。ふつう、そこに齟齬は起こらない。と思う。なんなんだ。

それから15分ほどでお店の中に入ることができた。私が記憶していたのは、壁にむかった数席とテーブル席が2,3しかない、すごく狭い印象だった。実際に入って見た店内は、ゆうに10組は座れそうでソーシャルディスタンスも取れる広さだった。リフォームでどうにかなる問題ではないほどちがった。もうこりゃ別のお店です。完全に。

でもインスタの2015年くらいの別の投稿をみても、どこと勘違いしてるのかわからないのだ。それを考える時に思うのが、2015年というのはちょうどかき氷にハマった年で、しかも遠出の最中なので一軒一軒、一杯一杯がめちゃくちゃ大切で、めちゃくちゃ覚えてるのだ。記憶ちがいで終えたくないのだ。記憶ちがいというなら、来たことある!感のなさと、替わりにある謎の記憶はなんなのだろう。妄想か?あるいは、一時的な仮店舗とかで営業してたのではとかも考えた。すごい短期間なら5年後に情報が残っていないのかもしれない。それにしよう。もう、気持ち悪いから。

しかし、もうひとつ強烈に覚えてることを思い出してしまった。2015年のお店でかき氷を食べ終わったとき、奥様みたいな方に「食べるの早ーい!」と言われ、旦那様みたいな方が笑い、和やかな空気に包まれたことだ。それがすごくおもしろおかしかった。だから勝手にご夫婦でやられているアットホームなお店という感じに記憶していた。今回行った印象では若い女性の店員さんが多くて、アットホームな感じは全然なかった(悪い意味ではなく、あくまで記憶との比較)。

ますます不思議が深まってしまい、帰ってから当時使っていたiPadのカメラロールを探したら、外からお店を写した写真があった。間違いなく、今回行ったお店だった。動かぬ証拠が出てきた。もういよいよヤバい。街、立地、店構え、店内の感じ、店員さんの感じ、かき氷以外の何もかもが記憶とちがうのに、写真だけある。私の頭と身体は2015年どこに行ったのですか。
自分が心配になってきてTwitterでも何かつぶやいてないかとインスタに投稿した日付け付近のツイートを検索した。

あるのかよ。インスタの氷の投稿だけのツイートもあった。日付けはぴったり一致している。なんなんだ。
前回も今回も、かき氷はとても美味しかった。終わり。


なんなんだ


私の体験した不思議な話は、両方かき氷の深く関係する話だった。かき氷がくれた不思議である。

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