【歌詞募集イベント】お題の短編小説①を書いてみました
こんにちは、PJです。
昨日から募集を始めた歌詞募集イベント。
👇募集記事👇
作詞は自由に書いてくださいとしましたが、お題があったほうが書きやすい方もいるかと思い、お題になる短編小説をいくつか作成することにしました。
👇お題について👇
でお約束通り、1作目を書いてみました。
1000文字以内と言いながら、結局1500文字になってしまいました。
久しぶりの小説なので、感覚が分からなくなっていますが、リハビリがてら頑張って仕上げました。
もしよければ、作詞や創作のご参考になれば幸いです。
短編を貼る前に、さっそく届いた歌詞と、PJの歌詞の動画の記事を貼ります。あまりイメージをつけて欲しくなかったので、動画はあえて英語歌詞にしています。
参考になれば幸いです。
👇早速届いた作品と、PJめちゃくちゃ英語歌詞楽曲動画👇
👇お題の短編小説①👇
『Red thread of fate(運命の赤い糸)』著:PJ 約1500文字
クリスマスが他人ごとになったのはいつからだっけ?
大学時代に付き合っていた彼氏と就職をきっかけに別れてしまい、仕事に追われていたら、気が付けば私は27歳になっていた。
東京では女性の結婚平均年齢が30歳を超えたと言われているけど、実際はどうなんだろう?
昔は26で売れ残りケーキと言われていたらしい。
田舎の母からは年末になると「いつ結婚するのよ?」と必ず聞かれる。
今日も案の定、電話がかかってきた。
「今、仕事が忙しいから今度にして」
そう言って電話を切ると「それで、いつこっちに戻ってくるの? お見合いの話もあるから」とLINEが入ってきた。
私はそれをスルーしてスマホをポケットに入れた。
12月の東京はイルミネーションに彩られて、どこに行ってもクリスマスソングがかかっている。
母にはああ言ったけど、本当は今日は休みだった。
今年は土日が重なって、今日のイブも明日のクリスマスも会社は休み。そして、私の予定は真っ白だった。
「こういうのも、ホワイトクリスマスっていうのかな……」
イルミネーションの中、ショーウインドウに映った自分にそう呟いたら、なんだか急にさみしくなった。
私はポケットから手を出して自分の頬に当てた。その手はほんのりと温かく、私は大学時代に彼氏の一人暮らしの部屋で二人で祝った、ささやかなクリスマスパーティーを思い出した。
あの時、プレゼントに何もらったんだっけ?
そんなことを考えていたら、目の前のショーウインドウにあった『大きな赤い靴下』が目に飛び込んできた。その上には【Who is your Santa Claus?】という文字が金色の風船で書いてあった。
私はなぜだか、どうしてもその靴下が欲しくなり、気が付いた時にはお店に入ってスタッフさんに「ショーウインドウの中の赤い靴下をください」と言っていた。
スタッフさんは困った顔をして「商品ではないですが、店長に確認します」と言って奥に行ってしまった。
改めて店内を見渡すと、そこはいろんな香水が置いてあるお店だった。
シックな大人のデザインから可愛らしいものまで、いろんな瓶が並んでいた。
「うちの商品を購入していただけましたら、包装としてその靴下をお付けいたしますよ」
ふり返ると、そこには赤いスカーフを巻き、白のパンツスーツを着込んだ、綺麗な女性の笑顔があった。女性からはどこかで嗅いだことのある、甘い香りがした。
「あの、あなたのつけている香水でもいいですか?」
私がそう聞くと女性は嬉しそうに、この香水は桜がモチーフの日本らしい美を表現したオリジナルのものだ、と説明してくれた。
私が香水を買うと、女性は香水の入った大きな赤い靴下を持って、店の入り口までお見送りをしてくれた。そして最後に「ありがとうございました。メリークリスマス」と丁寧に小さく頭を下げた。
私は小さく「メリークリスマス」と言って、速足で店を後にした。
帰り道、目に留まった小さなクリスマスツリーを買い、最寄り駅のケーキ屋さんで1人サイズのブッシュドノエルを選び、カルディで赤ワインとオードブルになりそうなものを見繕い、昼に作った鶏肉たっぷりのクリームシチューをテーブルに並べたら、一人の部屋もそれなりにクリスマスっぽくなった。
ワインをグラスに入れてから、香水を取り出そうと靴下を手に取ってみたら、毛糸がほつれて部屋の外にまで繋がっていた。
いつの間にほつれてしまったんだろう?
この赤い糸はどこに繋がっているんだろう?
なんだかこの糸が、どこかの誰かに繋がっているような気がして、可笑しくて一人でクスクスと笑ってしまった。
私はどこかの誰かに繋がっているであろう糸をそのままにして「メリークリスマス」と、赤ワインと赤い靴下とで乾杯をした。
《了》
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