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ライトノベルジャンルの衰退について

この記事を読んだ感想を書きたいと思ったので書いてみることにした。

ライトノベルは誰のものか

上記記事の筆者が最終的に訴えていたのは、『ライトノベル』を少年少女の物に戻してほしいという論で、そうでなければ滅んでしまうという論調だった。だが、そんなことをする必要はないと私は思っている。
この記事の中にすでに答えも書いてあるじゃんと。

少年少女は読みたい本を読む。親がいくら読ませたい本を買い与えようが、自分の読みたいものを読むものだし、むしろそうであるべきだと思う。
記事中にも統計データは記載されていたが、小中学生は本を読んでいるし、高校生だって昔とさほど読む量が変わっているわけではない。
絶対的人数が昔に比べて減っているので、その市場としては小さくなるのは避けようはない。
そして「ライトノベル」と現在呼ばれているジャンルは記事中に書かれている通り少年少女が読者ではないので、正直に言うと、その統計はあまり「ライトノベル」市場の衰退と関係がない。

「ライトノベル」という定義の難しいジャンルが生まれたのも、当時の少年少女が読みたい本を支持していった結果でしかない。そしてどんなブランドも大抵は読者と共に年を取る。
ライトノベルジャンルも当時の少年少女と共に年を取り、30代、40代になった。だからこそ、異世界だのスローライフだのハーレムだの、溺愛だの令嬢だのといった内容が売れているのだし、それは何の不思議なこともなく、自然な流れでしかない。

新たな「ライトノベル」的なもの

そして記事中に書かれているように、今は高校生までもが児童文庫を読んでいる。つまり次代の「ライトノベル」役はすでに児童文庫が担っている。そしてその後、成長と共に読む物もライト文芸とかキャラクター文芸と呼ばれるジャンルがすでに存在している。
なので、わざわざ現在のライトノベルジャンルをあえて少年少女向けにリストラクチャーする必要はないと思うのだ。

今、文芸全般が市場としてキツイ理由は、読者人口そのものの減少と、大人が文芸書を読まなくなったこと。が一番の理由だろう。
我々の親世代は漫画を読まなかった。その代わりに良く小説を読んでいた。今の大人世代(つまり我々世代)は、漫画で育ってきた世代でもあるので、漫画をよく読む。少年少女の当時から小説を趣味として読む人間はそれほど多くなかった。
結果として小説は大人に読まれず、漫画を読んでいるのだろうと思う。そもそも電子書籍は決済手段からして子供には買いにくい商品だし。

ジャンルの衰退というもの

ただ、市場が減少しているのに刊行点数が多いというのは問題だと私も考えている。そのため1点当たりの販売は相当に厳しくなっている。
ただこれも時間の問題だろうと思う。これだけ市場環境が厳しくなってくると自然と淘汰されていくものが出てくる。
私はSFが好きなので早川書房は好きなのだが、記事中にもあったようにSFはもう本当に日本では瀕死ジャンルだ。

結果として、早川書房から発売されるSFはどれもこれも文庫版で1000円を超えるものばかりとなっている。初版部数的にもう完全に行き着くとこまで来ている。
そして恐ろしいことにあの早川書房が転生令嬢ものを出版している。

ジャンルの衰退というのはこういうものだと私は思う。
ライトノベルもその道をたどっているのは記事にあった通りだが、今の読者と共にジャンルは死ぬし、だが、その一部要素だけは児童文庫にも一部引き継がれて新しい何かとして読まれていくのだろうと思う。

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