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「取材質問案」を用意する派? しない派?

取材前に、「質問案」をつくるか否か。
それぞれ流儀がありそうだけど、用意する派、が多い、、のかな?ライター仲間がいないから、知らんけど、そんなイメージ。

私は、いまだ「正解」を持たず、時と場合、取材の種類によっても変えている。

「質問案」を事前に用意することには、メリット・デメリットがある。

「事前に質問案を用意する」メリット

①土壇場で焦って脳内真っ白にならないで済む(あがり症や人見知りは特に←これ、私だけど)
②場合によっては、編集者は取材相手に「こいつ、ちゃんと準備してきているな」と好印象を与えられる
③原稿を書く際、起承転結や、小見出しをつけやすい
④「あ~、あれを聞いておくんだった!」と後から後悔しないで済む。

「事前に質問案を用意する」デメリット

①取材相手と、「人間 対 人間」のコミュニケーションにならず、「質問する側」と「される側」が明確に分かれてしまう。
②せっかく話が盛り上がっても、「用意した質問案をこなさねば……」と相手の話の腰を折り、次の質問に行ってしまう。(結果、相手を白けさせる危険性もある)
③へたをすると、柔軟性のない、機械的な取材者と見られかねない。もっと最悪なのは「質問案」がないと、質問もできない人間に見られること。
④相手の目線を真正面から受け止められず、目線を下に泳がせるので、事務的な質問になりがちで、相手の感情を引き出すことができない。

ということで、両者4つの特徴をあげられた。
一見するとメリット・デメリット半々のように思えるが……、これまでの経験を振り返ると、若干デメリットの方が大きいのではないかとも感じている。

過去、来日した映画監督にインタビューしていた際、「もう質問はうんざりだ。僕は会話がしたいんだよ。まずは君がこの作品を観て感じたこと、考えたことを聞かせてくれ」と言われたことがある。
薄々ね、感じてた。これまでも。
作品を宣伝するために来日して、朝から晩まで新聞社や雑誌社のインタビューが続くのは、さぞやうんざりするのではと。
まあ、聞くことって大抵似通っているしね。
だから、あまり他が聞きそうもないことって何かな……と考えながら、質問案も用意していたけれど、特に外国人の場合、「目と目」を見つめて話すことがマナーだから、終始紙を見ながら「質問」するのは、生の会話になりにくい。
なので、この時は一応「質問案」を用意していたものの、もう紙は伏せて、「会話」に専念した。
監督からは「君はどう思う?」「どう感じた?」と逆取材みたいだったけど、結果、「会話」は発展して、原稿づくりも深まった……かな。

もう一つ、過去に「質問案」を用意してブルったのは、亡き石原慎太郎氏に取材した時のこと。
さすがに大物なので、編集部からも「質問案」を用意するように言われ、私も現場でテンパって頭が真っ白になりそうだったので、素直に用意していったのだが……、これがかの氏の逆鱗に触れた。

リモートだったので、手元の紙は見えなかったはずだが、チロチロ下を見るので、「質問案」を用意しているのがバレたのだろう。
「紙なんて見るな!」と一喝。
「誰かが用意したのを読んでいるのか!」と。
なるほど……、「質問案」とは、そういう風に思われることもあるのだな。インタビュアー自身が用意したものか、編集部から「これ聞いてこい」と渡されたものか、分からないものね。

もう一つ、この取材でヒヤリとしたのは、氏が著書で書かれていたフランスの作家「バルザック」の名前を出した時のこと。
「君は、バルザックを読んだことがあるのかね!」と思わぬ雷が落ちた。
たしか、遠い過去に何冊か読んだ記憶がある……、とブルブルしながら、「何冊か……」と答えたら。
「何を読んだ! タイトルは!」
……容赦ない。。
「えーと、、『ゴリオ爺さん』とか『あら皮』とか……」
とつぶやくと、
「そうか、ならいい。」と、瞬時に穏やかになり、会話を続けてくれた。

……よかった~~。内容まで確認されたら、覚えてなったよ~~と内心泣きながら……、でも、「質問案は胸にしまえ」「知ったかぶりはやめろ」という、取材者の二大心得をいただいたということもできる。

ということで、話、なんだっけ。。

そうそう、結論としてはこうだ。

・「質問案」は用意し過ぎると、「質問案」に足を救われるし、相手との「生の会話」になりにくいので、ほどほどに。
・必要最低限、絶対に聞くべきことは、4,5個用意してメモしておいても、実際は脳裏にしまい、「会話」に集中すること。
・事前に「質問案」を用意しても、話が脱線していき、そちらで盛り上がったら、その派生した「会話」を楽しむこと

あ、ただし、経済人や学者先生などに取材する場合は、この限りにあらず。

・具体的なデータや事例、経営戦略など、ちゃんとした論拠を元に相手も話したい(話すべき)場合は、事前に「質問案」をつくり、場合によっては事前に相手に送付しておくと、相手も用意しやすい場合もある……、のも実は最近学んだこと。

まあ、ビビりなので、「質問案」用意しようと、しまいと、取材前はいつもトイレ行きたくなるほど、緊張するんだけどね、、。

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