【1日1事例】二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例 #サルコペニア #栄養療法 #レジスタンストレーニング

参考文献:二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例
筆者:三枝 信吾, 加茂 亜里沙, 稲本 あさみ, 久保 宏紀, 山崎 允, 野添 匡史, 間瀬 教史, 島田 真一
発行日:2022年
掲載元:理学療法学 49 巻 (2022) 2 号
検索方法:インターネット
キーワード:Trousseau 症候群, 二次性サルコペニア, 低負荷高頻度レジスタンストレーニング, 栄養療法


【目的】
・二次性サルコペニアを呈したTrousseau 症候群患者に対する理学療法について報告する。
【対象と方法】
・卵巣癌の精査中に小脳梗塞を発症した50 代女性である。
・初期評価では,握力は右8.5 kg/左11.5 kg,快適歩行速度は0.73 m/ 秒,Skeletal Muscle mass Index(以下,SMI)は4.4 kg/m2 であり,重症サルコペニアを呈していた。
・分岐鎖アミノ酸を含む栄養療法でタンパク質の摂取量を漸増させ,運動療法は低負荷高頻度Resistance Training と有酸素運動を中心に実施した。
【結果】
・最終評価では,握力は右18.9 kg/ 左19.3 kg,快適歩行速度は1.17 m/ 秒,SMI は5.6 kg/m2 と各指標で改善を認め,歩行自立で自宅退院となった。
【結論】
・二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して,適切な栄養管理下の運動療法は効果的である可能性が示唆された。

メモ
・Trousseau 症候群は悪性腫瘍による血液凝固能の亢進に伴う血栓形成により脳梗塞を発症する病態であり、脳梗塞全体の約1.8%を占め、脳幹以外の領域に梗塞巣が多いとされる。臨床症状は悪性疾患に伴う食欲不振や発熱、廃用症候群といった全身症状に加え、脳梗塞に伴う運動麻痺や感覚障害などの局所神経症状を呈する。
・Trousseau 症候群は生存期間の中央値が84日であり生命予後が不良である。また、退院時のmRSが1〜2の軽症例は約10%とされ、機能予後も不良である。
・サルコペニアの原因を分類すると、加齢以外に要因がない「一次性サルコペニア」と、加齢以外の要因による「二次性サルコペニア」に大別される。
・二次性サルコペニアの原因としては定活動(安静臥床、不動、無重力状態など)、疾患(侵襲、慢性臓器不全、炎症性疾患、悪液質など)、低栄養(呼吸不良、食事摂取量の低下など)が挙げられ、高齢者でなくても生じる可能性が指摘されている。
・また、悪性腫瘍に対する手術療法に伴うSurgical Stressも術後サルコペニアの原因の一つであると報告されている
・運動療法は筋力や骨格筋量の増加に効果的なレジスタンストレーニングが推奨され、負荷量と回数、セット回数により算出される仕事量を高めることが重要である。
・栄養療法ではカロリー摂取に加えてタンパク質、特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取はサルコペニア患者において有益である。
・運動療法と栄養療法の併用は単独介入に比べサルコペニアの改善に有効であり、ADLの改善に寄与している


参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/49/2/49_12208/_pdf/-char/ja


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?