映画の話

パシフィックリム

#映画

ぷらすです、こんばんは。

今回は昨年夏に公開された「パシフィックリム」です。

この映画、僕は劇場で3D吹き替え版で観ました。(ちなみに3D映画初体験)

突如地球に現れた巨大怪獣を倒すため、人類が開発した巨大ロボット「イェーガー」に乗って戦うというストーリー。

日本のオタクにとってはまさに、盆と正月が一緒に来たような映画です。

とは言え、ハリウッド映画ということで、実際に劇場で観るまで僕にはある懸念がありました。

「ローランド・エメリッヒ版ゴジラ」

映画としての出来の善し悪しは別にして、あの、絶望的なまでの「コレジャナイ感」

この作品はオリジナルなので「ゴジラ」とは違いますが、巨大ロボット、怪獣という二大日本的要素がハリウッドで一体どんな風に扱われるのか…という不安を胸に、劇場に入っていったわけです……

が、

本編が始まった瞬間に、そんな懸念は一切消え去りました。

まさに、盆と正月と、更にクリスマスが一緒に来たような映画だったのです!

もちろん僕も大人ですから、実際に声に出したりはしませんでしたが、

「イェーガー超カッケー!」「怪獣超スゲー!」「うぉぉぉぉ! 最高だーー!!」

と、僕の中の小学五年生が大暴れ。映画であんなに興奮したのはホントに久しぶりでした。

そんな本作の監督を務めたのはギレルモ・デル・トロというメキシコ出身のオタクで、ある種の変態です。

変態と言っても、もちろん性的な意味ではなく、とにかくフェティシズム的にディテールにこだわる人という意味で、そのフェティッシュなこだわりこそがデル・トロ監督の真骨頂でもあり、作家性でもあります。

例えば、本作に登場する巨大ロボット「イェーガー」にパイロットが乗り込むまでの一連の流れ。パイロットスーツの背中に取り付けた脊椎のようなパーツの部品がカチカチカチっと音を立ててハマり、ヘルメットを被ると横の部品が回ってスーツに固定され、操縦ポジションに乗ると、靴部分が機械で固定され(操縦桿ではなく操縦者の動きをそのままロボットに伝えるリンク機構になってる)、イェーガー頭部はそのままレールを伝って本体へパイルダーオン。全体が起動すると操縦ポジションの下の大きな歯車が回転し出すのが映るわけです。↓(こんな感じ)

ちなみに、このコックピットはCGではなく油圧で動く実物大のセットで、操縦ポジションの装置も全部本当に作ったそうです。(四階建てのビルくらいの大きさになったとか)なので、役者がイェーガーを操縦するときの抵抗や機械の重さが画面に出て、それがCGのロボットのカットと連動することで、巨大ロボットを実際に動かしてる感が出て、もうね、

あぁ、もう、この変態め!(褒め言葉)

この映画に限らず、ギレルモ・デル・トロという人は物語という骨格に細かいディテールを積み重ねて肉付けしていくタイプの監督で、本作から遡って僕が観た作品、「ミミック」「ブレイド2」「ヘルボーイ」「ヘルボーイ/ゴールデンアーミー」「パンズラビリンス」でもそのスタイルは一貫しています。

最高といえば、巨大ロボ「イェーガー」のデザインも素晴らしくて、いわゆるアニメのロボットのようなスマートさはなく、重機とか戦車的な無骨なデザインになってます。搭載された武器はあるものの、とにかく重量を生かし、とにかく殴る、蹴るの物理攻撃が基本で、武器はあくまで切り札なんですね。

しかも、デル・トロ監督は日本のアニメや特撮が大好きだということで、怪獣や巨大ロボットの動きやカメラワークなど、いちいちツボを心得ているんですよ。特に香港での戦いは迫力満点で、主役の乗るイェーガー「ジブシーデンジャー」が海から持ってきたタンカーで挨拶がわりに怪獣をぶん殴り、そこから始まる密集した高層ビルを破壊しながらの取っ組み合いはテンションMAX、

幼少期から、怪獣映画、ウルトラマン、マジンガーZで育ってきた僕のような40代のオタクには感涙ものの映像ですよ。

とは言え、映画としてはもちろん欠点もあって、アニメなら一年がかりで放送するような内容を二時間少々に凝縮してるため、内容やキャラクターがどうしても薄くなってしまってます。なんか全体的に総集編っぽいんですね。あと、ギレ・ルモ監督の癖なのかもしれないですが、後半がかなり駆け足で、せっかく前半で積み重ねた設定やディテールの部分が生かされてない感じになっていったりもしてます。

ただね、ただ……

細けぇこたぁいいんだよ!

だって、巨大怪獣と巨大ロボットが戦う姿が、ハリウッドの最新映像で観られるんですよ!? ライムスター宇多丸さんじゃないですが、

これ以上望んだらバチが当たるってもんです。

とにかくこの映画は、怪獣とロボ、アニメと特撮を愛する世界中のオタクと子供の夢や妄想がそのまま形になった最高の映画です。この映画を観れば多分、みなさんの中に眠る小学五年生が覚醒すること請け合いです。

機会があれば、是非(自己責任で)ご覧下さい。

*吹き替え版では、菊地凛子さん演じるマコ・モリ役に林原めぐみをはじめ、玄田哲章、古谷徹、三ツ矢雄二、池田秀一、千葉繁、浪川大輔など、豪華声優陣が声を当てていて、必殺技の名前を叫んだりと、より熱い感じが楽しめるのでオススメです。








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