猿の惑星 新世紀 (2014) 感想

1968年に公開されて社会現象にまでなった『猿の惑星』の前日譚として、2011年に公開され世界的にヒットした『猿の惑星: 創世記』の続編。
監督は前作のルパート・ワイアットに変わり、マット・リーヴス、
エイプ(猿)のボス、シーザー役は前作に引き続きモーションアクターの
アンディ・サーキス。


あらすじ

投薬により人間と同様の知性を得たチンパンジーのシーザーが仲間と共に人類に反旗を翻した前作から10年後。
彼らは人間から勝ち取った「領地」で家族や仲間たちと原始的ながら文明を作り、平和に暮らしていた。
一方、一人の人間への感染から始まったALZ113ウィルス(猿インフルエンザ)は驚異的なスピードで世界に広がり、人間は絶滅寸前まで追い込まれている。

そんなある日、カリフォルニアに残ったマルコム(ジェイソン・クラーク)たちは、電気を確保するためエイプの「領地」に足を踏み入れ、エイプの一匹を撃ち怪我をさせてしまう。
翌日、シーザーは仲間を引き連れ人間の集落に出向き、自分たちの「領地」を侵略するなら戦争も辞さないと宣言。

しかし、電気がなければ立ち行かない人間たち。
そこでマルコムは、仲間数人と息子を連れてエイプの「領地」に出向き、水力発電所の復旧を交渉。シーザーもこれを条件付きで受け入れる。

問題はありながらも、なんとか電力は復旧。これで上手くいくと思われたマルコムとエイプだったが、動物実験で人間に虐待された過去を持つ、シーザーの腹心コバ (トビー・ケベル)により、事態は悪化の一途を辿っていく。


人間が作り出した「猿インフルエンザ」によって多くの人間が死滅した、前作のエンディングから物語はスタート。

前作では人間側が悪役で、そんな悪い人間たちの手からシーザーたちエイプが独立を勝ち取るという物語だったけれど、今回は人間は力を失い、逆に森という「領地」でシーザーをリーダーにエイプたちは原始的ながら、言葉(手話)でコミュニケーションを取り、家を建て、狩りをしながら暮らしています。
子供たちに勉強も教えるし、「エイプは仲間を殺さない」という掟の元、みんな助け合いながら幸せに暮らしているわけです。

本作と前作の違いは、明確な悪役がいないことです。
もちろんストーリー上の悪役はいるけれど、そんな彼らにもそれぞれちゃんとそうするだけの理由が描かれていて、エイプと人間双方に中立な視点で物語が進むので、非道い行為もどうにも憎み切ることができません。
そういう意味で、非常に尻の座りが悪いというか「ああ、これは戦争映画なんだな」という感想を持ちました。

元々の原作が、白人中心の社会がひっくり返される恐怖を、人間と猿に置き換えて作られたわけで、そういう意味で今回のリブート二部作は形は違うものの、テーマ的には通じる部分があるのかなと。
そこには多分、米国を始めとした先進国の他国への政治的干渉への批判を分かりやすい形に置き換えているんだろうと思います。

また、少数の敵意や憎しみが伝播した集団の「それ」は、少数の理性や正しさで止めることは決して出来ないという、戦争の本質がこの映画では描かれています。
作中シーザーの発する一言は、彼の絶望と敗北の言葉で、聞いていて胸が痛くなりました。

とまぁ、こんな事ばっかり書いてると暗くてイヤンな映画のように思えるかもですが、もちろん娯楽映画としても非常に面白いです。
特にエイプたちの三次元的なアクションは迫力もあるし、何といっても前作以上にシーザーがカッコイイ!
チンパンジーなのに、シーザーパイセンマジカリスマ感パねーっす! って感じ。
他にもオラウータンのモーリス (カリン・コノヴァル)とマルコムの息子アレキサンダー (コディ・スミット=マクフィー)との交流は心温まるし、コバもなんやかんや言ってカッコイイんですよね。(悪役だけど)
あと、出番はあまり多くないけど、人間側のリーダー、ドレイファス 役のゲイリー・オールドマンが、壊れかけのipadで家族の写真を見ながら涙するシーンには思わずもらい泣きでした。

そんな訳で、リブート版「猿の惑星」2部作。
見ごたえは十分です。
興味のある方は是非!

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https://note.mu/purasu/n/nb98c1c6ade27?magazine_key=m0b08a7d5752d

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