映画の話

「WALL・E ウォーリー」

#映画

ぷらすです、こんばんは。

今回は2008年公開されたディズニーピクサー映画「ウォーリー」です。

僕は、CGアニメが出始めた頃に観た数本があまり肌に合わなくて、それからずっとCGアニメを避けていたので、この「ウォーリー」を観たのも実はつい最近の事です。

っていうか、子供~高校生くらいまではハリウッド映画大好きだったんですが、一時期なんだかハリウッド映画が面白くなく感じた時期があって、それで日本映画とか単館上映系のマイナー映画とかB級映画ばっかり観るようになり、なんとなくTSUTAYAで借りた「アベンジャーズ」にハマって、再びハリウッド映画を観始めたのが、ここ1~2年という有様なのです。

で、「アベンジャーズ」から遡って、他のハリウッド映画の話題作も借りるようになり、その流れで観たのがこの「ウォーリー」です。

正直、最初は「どうせアレでしょ。トイ・ストーリー的な子供向けのヤツでしょ」と、完全になめてかかってたんですが、見終わったあとは

「ピクサーSUGEEEEE!」

と、叫んでました。(心の中で)

「ウォーリー」は、ざっくり言うと、(自分たちが原因で)生き物が住めない程汚染された地球を旅立った人類が700年後、地球に戻ってやり直す。というSF映画です。

で、この映画の中には、二つのディストピアが描かれてます。

一つ目は、上記の通り、汚染されて生物の住めないほど荒廃しきった地球。

二つ目は、地球を捨てた人類が暮らす「アクシオム」という世代宇宙船です。

この宇宙船は非常に快適で、運行も生活も全て「オートパイロット」というコンピューターが船のシステムを掌握しロボットを使って管理しています。人類は歩く必要もなく、揺りかごを思わせる乗り物の上で(多分一生)生活をします。移動も食事もコミュニケーションも、割り当てられた乗り物の上で出来ます。食事や飲み物は、欲しい時に色んな味のドリンク的なモノが給仕され、子供の育児も教育も船のシステムが一括管理。

人類はその環境に慣れきってしまい何の疑問もなく受け入れていて、ぱっと見とても楽しげなユートピアのようですが、見方を変えれば人間が機械に家畜のように管理されている恐ろしいディストピアでもあるわけです。

その二つのディストピアに関わっているのが、BNLという大企業で、これは多分、資本主義社会のメタファーなんだろうと思います。つまり、このディストピアを形成したのは、よく映画で描かれる独裁者による恐怖政治ではなく、子供の頃にマンガやアニメで描かれていた、テクノロジーの発達によって、あらゆる労働や義務から解放された「人類の夢」そのものなのです。

と、そんなハードSFさながらの設定でありながらも、このストーリーが大人から子供まで、誰もが楽しめるエンターテイメントになっているのは、主人公が人間ではなく、ウオーリーやイヴを始めとした、ロボットたちで、物語が彼ら目線で進んでいるからだと思います。

ウォーリーは、BNL製の量産型ゴミ処理ロボットですが、毎日の仕事の合間にゴミの山の中から自分が気き入ったものをコレクションしてたり、仕事を終えると自宅(倉庫)で「ハロー・ドーリー!」のビデオを繰り返し観ては心をトキメかせたり。つまり、宇宙船の人類と対になる存在です。

他の同型ロボは壊れ、ウォーリーは一人ぼっちですが(正確には、ハルというゴキブリの相棒がいる)、上記のような生活でなんとも楽しくやってる様子。

ところがある日、地球に一台の小型宇宙船が着陸し、中から現れたのが、アクシオムから地球探査用の最先端ロボットのイヴです。

最初は、護身用のブラスターでウォーリーを攻撃したりしますが、次第にウォーリーに惹かれ、ある事件をきっかけにウォーリーにデレるという、この映画におけるヒロイン的存在でツンデレです。

学園ものに例えるなら、ヘタレな劣等生男子と優等生の学級委員長(三つ編みメガネっ子希望)みたいな。

そんな二人(二体?)が少しづつ関係を深めて、惹かれあっていくラブコメ的な側面もあるというか、実はそれこそがこの映画のメインストリームだったりするんですけど……

とにかく、ウォーリーとイヴが両方、超絶カワイイんですよ!(興奮)

イヴに攻撃されたり、ドジを踏むたび頭や手足を体の中に引っ込めてガタガタ震えるヘタレのくせに、イヴの為ならどんな無茶な行動も厭わないウォーリー。仕事(命令)第一で最初はウォーリーの事なんか眼中になかったけど、ウォーリーの献身的な行動に、次第に心を開きウォーリーに惹かれていくイヴ。

彼女?の気を引くために、ガラクタでイヴの像を作ったり、自宅?に来たイヴを楽しませるために、自慢のコレクションや「ハロー・ドーリー!」のビデオを見せたり、踊りを真似してみせたりするウォーリーの不器用すぎるアピールに、「お前は俺か」とツッコんだ非モテ男性も多かったはず。(僕も含めて)

結局、ウォーリーが見つけた「あるモノ」が原因で、イヴは宇宙船に帰るわけですが、ウォーリーは宇宙船までついて行っちゃったり、イヴのために良かれと思ってやったことが原因で大騒ぎになったり、事の重大さが分かってなかったり、そんなウォーリーを宇宙船から逃がすためにイヴが小型ポッドに連れて行くと、一緒に地球に帰ると思って、嬉しそうに自分の横の席を叩いたり。とにかく調子っぱずれで、ドジばっかりなんですが、そんなウォーリーの行動は全部イヴのためなんです。

一方のイヴは高性能(音速を超えるスピードで飛べたり、レーザー銃で巨大タンカーを壊せる)すぎて、ウォーリーに勧められたおもちゃをいじれば壊したり、踊ってみれば家を壊しかけたり、宇宙船に戻ったあとはウォーリーのせいでお尋ね者にされたり、ウォーリーを無事地球に帰そうと奔走したり、最初はお姉さん的視点だったのが、ウォーリーの一途さに心を打たれて最後は……って、

萌え死ぬわ!

そんな二人(というか主にウォーリーが)の起こす騒動に、次第に他のロボットや人間が巻き込まれながらストーリーは進み、最終的にはアクシオムは地球に帰還し、地球で再び暮らしていくのです。

人間とロボットが協力して地球を再生、再び文明を築いていく様子は、ED曲に乗せて、2Dアニメーションで描かれるのですが、これが本当に素晴らしくて、思わずグッときてしまいます。

あと、この映画で特に素晴らしいのは「動き」です。

もちろん、これまでのピクサー映画の動きも素晴らしいですけど、この映画での主人公はロボットなので表情も最小限だし、セリフも単語で2・3言しか言えません。そういう不足分をこの映画では「動き」で補っていて、僕が子供の頃に見ていた、初期のディズニー映画や「トムとジェリー」や「バックスバニー」などの、絵が動く楽しさ=アニメーション本来の喜びを思い出させてくれるのです。

「ウォーリー」は子供達には、教訓を含めた寓話として、大人にはチクリと釘を刺すような風刺SFとして、何より極上のエンターテイメントとして、どこにも隙がない100点満点の映画だと思います。少なくとも僕は今まで観たピクサー映画の中では一番好きですし、誰にでも自身を持ってオススメ出来る一本です。

機会があれば、是非ご覧下さい。


















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