映画の話

タイトルだけでテンションのアガる「VS」映画

#映画

ぷらすです、こんばんは。

今回は、ファンならタイトルを聞いただけでテンションがアガ↑る「VS」映画の話です。

「VS」映画とは、別々の物語の主役が対決する映画の事で、そのジャンルのファンなら誰もが一度は妄想するけれど、制作会社が違ったり大人の事情が絡んだりで不可能と思われている「夢の対決」を実現する、まさに究極のファンサービス映画です。まぁ、僕の造語なんですが。

この手の映画にはいくつかパターンがあります。

違う映画のメインキャラクターが一つの映画で対決する。(公式)
  例:「フレディーVSジェイソン」

同じジャンル映画で活躍する俳優が一つの映画で対決する。
  例:「DEADOR ALIVE」(哀川翔VS竹内力)

違う映画の主役キャラクターが一つの映画で対決する。(ただし非公式)
  例:「エイリアン vs アバター」

異種(族)格闘技戦。
  例:「メガシャークVSジャイアントオクパス」

また、よく似たジャンルで「オールスター大集合」映画もあります。例えばハリウッド新旧アクションスターが大集合する「エクスペンタブルズ」や、「プリキュアオールスターズ」みたいな、お祭り感溢れる映画です。「VS」映画がプロレス的なのに対し、こちらは野球のオールスター戦的な味わいの映画になりますね。

は、微妙ながらニュアンスが違うし、は、こういう映画専門のB級映画専門会社が作るシリーズが一つのジャンルとして確立してるので、今回は1,2の中で、僕が実際に観た映画を紹介しようと思います。

フレディーVSジェイソン

2003年の映画で、ホラー映画界の二大スターの対決ということで、世界中のホラーファンがざわめいたというハリウッド「VS」映画の先駆け的?な映画です。

フレディーは「エルム街の悪夢」シリーズに登場する怪人?で、そもそもの出自はエルム街という田舎町に住むフレディ・クルーガーという殺人鬼。彼は犯行がバレて住民に焼き殺されたんですが、それから数年後、夢魔として復活。子供達(と言うかティーンエイジャー)の夢の中に現れて、右手につけた鉄の爪で殺すというストーリーの実質的な主人公です。

ボーダーのセーターにハット帽、焼けただれた顔に右手の鉄の爪という特徴的なスタイルや夢の中で人を殺すという設定が受けて、その後何本も続編が出来、さらにその人気から、2010年には第一作のリブート版が公開されるほどの人気キャラです。

対するジェイソンは、「13日の金曜日」シリーズに登場する不死身の殺人鬼。ニュージャージー州ブレアーズタウンのクリスタルレイクのキャンプ場に訪れる人々を次々殺していく怪物(一応人間らしいけど)で、殺されてもすぐに復活する不死身性やトレードマークのホッケーマスク(マスクを被るのは3作目から)で人気を博し、1980年から何本も続編が作られ、来年、二度目のリブート版が公開される、まさにホラー映画界のスーパースターです。

元々両作は配給元が違っていましたが、「13日の金曜日」の配給元であったパラマウント社が、シリーズ8作目「13日の金曜日PART8 ジェイソンN.Y.へ」で見切りをつけ、ニューラインシネマ社に権利を売却したことによって、この夢の対決が実現したのですが、そもそも夢の中の殺人鬼であるフレディーと現実世界の殺人鬼ジェイソンを戦わせるという無理のある設定を可能にするため、スタッフはかなり試行錯誤したんだとか。

フレディーは、人々に忘れられてしまうと活動できなくなるという弱点があり、エルム街の大人たちの間で箝口令が敷かれたことで、子供達に忘れられた彼は思うように動くことが出来ません。そこで一計を案じたフレディーはジェイソンの夢の中でジェイソンママに化けてジェイソンを操り、エルム街で殺人を繰り返させます。恐ろしい連続殺人事件によって人々はフレディーの恐怖を思い出し、フレディーはその力を取り戻していくのですが、ノリノリのジェイソンは次第に暴走し始め、フレディーの獲物まで横取りする始末。そこでフレディーは何とか自分の存在だけをしらしめて、邪魔者のジェイソンを始末しようとするが……という内容。

これは、ストーリーも練られているし、二人のキャラも生きていて、さらに笑っちゃうほどのやりすぎ感もあるB級ホラーの名作だったのですが、そもそもホラーファン以外には見向きもされなかったり、翌年公開される「エイリアンVSプレデター」が話題になっていた事もあって、その割を食ってしまったりと不遇の作品でもあります。

面白いんですけどね。

ただし、基本スプラッタホラーなので、残虐描写の苦手な人にはオススメできませんが。


エイリアンVSプレデター

(公式予告動画なし)

一作目を巨匠リドリー・スコット、二作目をジェームズ・キャメロンが監督した、まさにメジャー級クリーチャーのエイリアンと、第一作目でシュワちゃんと戦った事で一気に大人気クリーチャーになったプレデターがついに対決! という事で、ファンの間では人気が高かく、続編も作られました。

ストーリーをざっくり説明すると、2004年10月4日、人工衛星が南極のブーヴェ島に大規模な熱反応を発見。それに目をつけた大企業の社長が各界の専門家を集めた調査チームを派遣します。その熱源があった遺跡、実はプレデターが人類に文明を授けるのと引き換えに造らせた、100年に一度、宇宙最強の生物「エイリアン」と生死を賭けて闘う成人儀礼のための闘技場で(迷惑)、2004年はちょうどその100年目だった……というストーリー。

本作は、時系列的には「プレデター」シリーズの後「エイリアン」シリーズの前に起こったストーリーで、一応、軽く本家シリーズとも関連を持たせているようです。

ただ、僕はエイリアンもプレデターもちゃんと観たのは一作目くらいで、正直そんなに思い入れのない作品でした。それでも話題作だしということで、DVDで観たんですが……、正直な感想を言うと「普通」

やっぱり「VS]映画の面白さって、そのキャラクターへの思い入れと比例するんですよね。

ただ、ストーリーは面白いので、エイリアン、プレデターを、なんとなく知ってる程度でも十分楽しめる作りにはなってます。


座頭市と用心棒

(公式予告動画なし)

大映の看板スター、勝新こと勝新太郎の代表作「座頭市」は、盲目の按摩で居合いの達人「座頭市」が敵対するヤクザを倒した後に、そのヤクザに雇われた用心棒との一騎打ちをするというフォーマットがあって、その用心棒には時代劇のスターが登場するという、そもそもの作りが「VS」映画というシリーズで、その二十作目に作られたのが、本作「座頭市と用心棒」です。

本作で敵対するヤクザの用心棒として登場したのは、東宝の看板スターで、黒澤明の「七人の侍」や「用心棒」で知られる「世界のミフネ」こと三船敏郎。

まさに、日本映画ファンにとっては夢の頂上対決です。

が、もちろん三船敏郎の役どころは、黒澤明の「用心棒」とは別人の本作オリジナルキャラで、黒澤版「用心棒」とは関係ないわけですが、とは言え、キャラ設定も黒澤版にそれとなく寄せていたり、そもそも三船敏郎が用心棒の役をやれば、どうやっても黒澤版のイメージになってしまうので、ほとんど「座頭市」VS「用心棒」と言って差し支えないような気がします。さらに、ヒロイン役には若尾文子、ヤクザと対立する役人が雇った殺し屋九頭竜に岸田森と、キャストだけでも当時の大スターが勢ぞろいという当時だからこそ出来た豪華な映画です。

その内容はというと、自分に恨みを持つヤクザや役人から命を狙われる生活に疲れ果てた座頭市は、平和で人々が優しくしてくれた思い出の里へ行くことに。しかし、久しぶりに訪れた里は悪徳ヤクザに支配されて荒れ果てていたといういつものパターン。

この里のヤクザというのは、実は里の顔役の息子で、出来が良く役人になった弟にコンプレックスを抱き、さらに父親がどうやら里に財産を隠している事を知り、その財産を自分のものにしようとしています。(その財産というのは、弟がくすね続けた公金だったりします。)

このヤクザの用心棒が三船敏郎で、里に訪れた座頭市とやり合うというストーリー。

対決といっても、基本は一緒に酒を飲んだり、ヒロインを取り合ったり、罵倒し合ったり、いやがらせしあったりと殆どの時間仲良くキャッキャしてるわけですが、それはまぁ、座頭市シリーズの仕様で、ネタバレすると、この対決は両者引き分けで終わります。

なにせ、大映と東宝の二大スターですから、それは仕方ない。

ただ、勝新と三船が一つの画面に収まった時の絵力はハンパない迫力で、映画ファン、特に時代劇ファンなら、それだけで痺れること請け合い。(そんな二大スターのキャッキャ感も含めて)、観て損のない映画だと思います。

あと、余談ですが、座頭市は他にも、当時香港で人気のカンフースター、「片腕ドラゴン」ことジミー・ウォングと「新座頭市・破れ!唐人剣」という映画で対決してたりします。この時は、日本版では座頭市が、香港版ではジミー・ウォング演じる王剛(ワンカン)が勝つという二つのエンディングを作り、双方の顔が立つようにしています。


マジンガーZ対暗黒大将軍

(公式予告動画なし)

1974年7月の「東映まんがまつり」で上映された作品です。以後ネタバレします。

僕が初めて観に行った「東映まんがまつり」がこの時で、とにかく小さい時に観たので、あまり内容は覚えていないんですが、ずっとタイトルを「マジンガーZ対グレートマジンガー」と思ってたんで、今回改めて調べてタイトルが違うことにビックリしました。何か別の映画かアニメと混じっちゃったのかも。

タイトルで分かるように、マジンガーZとグレートマジンガーが戦うわけではなく、もっと言うとグレートマジンガーが登場するのは、ラスト間近だけです。

TVシリーズでの敵役、ドクターヘル軍団を壊滅させ、やっと平和が訪れたのも束の間、ある日突如として世界各国の主要都市を謎の巨大ロボット群が襲撃。彼らこそミケーネ帝国暗黒大将軍が送り込んだ戦闘獣軍団でした。この機械獣はドクターヘルの時よりもずっと強力で、一度は辛うじて敵を退けるものの、主人公、兜甲児も光子力研究所もマジンガーZも満身創痍の状態で、獣魔将軍が率いる戦闘獣軍団がやってきます。

多勢に無勢、マジンガーZはボロボロ、これはもうダメだと誰もが覚悟したその時、これ以上ないというタイミングでグレートマジンガーが登場し、颯爽と敵をやっつけるというストーリー。テーマ曲に乗って登場したグレートマジンガーに全国のちびっ子は拍手喝采。その後のテレビシリーズに繋がっていくわけです。

本作は、厳密に言うと「VS」映画とは違うし、どちらも東映のキャラなので、厳密に言えば「4」や、ハリウッド映画で言えば、「アベンジャーズ」的なノリなのですが、まぁ、タイトルが「VS」映画いうことで。


プロレス・スターウォーズ

これは、映画じゃなくてマンガなんですが、夢の対決といえば、プロレスだよなーと。しかも僕はこの漫画、ある一話しか読んでないんですが、その話があまりにも衝撃的な内容だったので、番外編ということで書かせてもらいます。

このマンガは、ざっくり言うと、ビンス・マクマフォン・Jr率いるアメリカの巨大プロレス団体WWF(現WWE)の日本プロレス界侵略を阻止するため、新日本プロレス、全日本プロレスの選手が一丸となって、アメプロ軍団と対抗戦を行うというストーリー、普段は絶対に見られない、全日本、新日本のスター選手がタッグを組むというプロレスファンの愛と夢が詰まったマンガです。

僕が読んだのは、その対抗戦のメインイベントで、WWFナンバーワンの悪役タッグ、「ロードウォーリアーズ」を迎え撃つために、アントニオ猪木、ジャイアント馬場が伝説のタッグ「BI砲」を組んで戦う話。

反則上等のロードウォーリアーズは、先発の馬場を二人がかりでボコボコにした上、場外に設置された鉄柵(客席とリングを分ける為の鉄の柵)でグルグル巻にして、リングアウト(20カウント以内にリングに戻れないと負け)勝ちを狙うのですが、猪木は助けに入りません。猪木が普段仲の悪い(と思われていた)馬場を陥れようとしていると観客は大ブーイング。その時、一人の観客が言います。「見ろ!猪木が血の涙を流している!」と。

猪木と馬場は日本プロレス界の二大エース、そんな自分たちがルールを破るわけにはいかないという猪木の気持ちを察して、感動した観客は割れんばかりの馬場コールを送り、そんな猪木と観客の気持ちに応えるかのように馬場は、全身の力を込めて体に巻かれた鉄柵を吹き飛ばし、その後二人の見事な連携で、ロードウォーリアーズに勝利するというストーリー。

そんなアホなと笑いながらも、当時コテコテのプロレスファンだった僕の心はグッと熱くなったものでした。昔はこんなハチャメチャだけど面白いマンガが結構あったんですよね。


というわけで、映画四作+番外編一作の計五作でした。

こういう企画モノ的な映画は、ともすれば内容がなかったり辻褄が合わない事も多いですが、それゆえ全ての歯車がガッチリ噛み合った時の興奮は他の映画では味わえない独特のものだったりします。

もし、機会があれば(自己責任で)ご覧下さい。





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