医療【身体拘束について】

遍く現心

身体拘束とは:車椅子や椅子、ベットに、体幹や四肢をひも等で縛ることです。このような身体拘束は、徘徊、転落の防止のほか、点滴や経管栄養等のチューブを抜かないようにしたり、他人への迷惑行為を防ぐために行なわれることを指します。(1)

【序論】近年、コロナウイルスの影響もあり、身体拘束や隔離をする必要性が高まってきてる。コロナウイルスなどの感染症や意図しないで、他の患者に危害を与えてしまう行為などと言った場合の『医療的』身体拘束は、適切であると言える。しかし、昨今の医療状況は『医療的』身体拘束の域を逸脱している。だから、私は、『不適当な』身体拘束は反対である。その理由は、大きく分けて2つある。

【本論】1つ目は、過度な身体拘束による身体的苦痛である。『「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に 基づく対応状況等に関する調査結果』 という調査結果では、被虐待高齢者1060人のうち、「身体拘束あり」は277人であり、全体の26.1%であった。(2) ここから読み取れることは、身体拘束によって亡くなってしまう高齢者が約3割もいるということだ。なぜ、身体拘束で亡くなってしまうか。この背景を見てみると様々な要因が浮かび上がってくる。

例えば、『医療的』身体拘束ではあるが、患者を動かないように強く拘束器具を施した場合や『不適当な』身体拘束による拘束などの場合がある。確かに、前者の強く拘束器具を施した場合は、他の患者に危害を与えてしまう行為などと言った場合では、仕方のことのないことだと思う。だが、強く締め付けて逆効果になってしまっては本末転倒だ。一方後者の『不適当な』身体拘束による拘束などの場合は、患者を人間として扱うのではなく物として扱っていることがわかる。

2つ目は、患者の精神的な負担である。患者には、複雑で様々な感情が入り組んでいる。身体拘束をされて自分は一体何をされるのかや不安で逃げだしたい癇癪を起こす人もいて当然だ。京都福祉保健局では身体拘束が精神に大きな弊害をもたらす例として次のようなものが挙げられる。「身体拘束によって、さらに痴呆が進行し、せん妄の頻発をもたらすおそれもある。」や「本人に不安や怒り、屈辱、あきらめといった多大な精神的苦痛を与えるばかりか人間としての尊厳をも侵す。」が精神的弊害として挙げられる。

確かに、『医療的』身体拘束は、適切であると言える。だが、それだけでは、患者のQOLを満たすことはできない。だからこその、看護師なのだと思う。私たち看護師が、患者の不安な気持ちを分かち合い、助けることで患者の精神が安定し良循環が生まれ、身体拘束をする必要がなくなると考える。


【結論】

以上の二つの理由を踏まえて私は、身体拘束に反対だ。改善案として、徐々に身体拘束をなくす方法が良いと考える。また、身体的苦痛や精神的苦痛では、双方の相乗効果によりなくなる場合が半数を占める。だからこそ、まずは片方を消滅させれば今現状の状況よりも少なくとも考えられる。人間には、感情がありその意志で動く生き物であり、決してものでもなければ機械でもないということを念頭に私たち医療従事者は患者に医療を提供していかなければならない。

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