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17 ステーキ

結婚後、給料日にお肉屋さんで上等のお肉を買ってステーキ、というのが我が家の定番でした。ここのところ元夫の機嫌が悪い日が続いていたので、
「明日はステーキにしようよ」
と提案しました。仕事でストレスがあるのかもしれませんし、とにかく夫の機嫌が直ったのにほっとしました。

定休日

 翌日、仕事の後、自宅近くのお肉屋さんに行ったら、なんと定休日でした。しまった!と血の気が引きました。もう夫の不機嫌は決定です。せっかく頑張って提案したのに、台無しにしてしまうかもしれません。モラハラ夫は、妻の小さな失敗も絶対に許しません。こういううっかりミスは、格好のネタです。お店が閉まっていたこと自体はどうでもよく、私がいかにいい加減でぼーっとした人間であるかの証拠として、何年も夫の記憶に保存され、私が何か申し出たときに、それを許可しないことの理由として出してくることになるのです。

 しかし私も仕事で疲れています。フルタイムで結構大変な仕事なのです。今更献立を考えなおして買い物に行くのも大変だし、ステーキがキャンセルになったら、それはそれで責められるかもしれないと思い、一駅戻った駅前のスーパーに急いで移動しました。結局どんな選択をしても、予定と少しでも違えば責められることに変わりはありません。

 そしてうっかりしていた自分を責めました。ドキドキしながら急いで買い物を済ませました。娘のお迎えは義母に頼んであるので、不機嫌になったとしてもそこまでひどくはならないだろうと判断したのです。義母がいる時なら、たとえ不機嫌になられても、少しは感じ方がマシになります。午後6時半頃、会計をしているとき夫から電話がありました。嫌な予感がしてすぐに電話にでました。


不機嫌電話

モラ夫「いまどこおるん」
「ごめん!いつものお肉屋さんお休みだったから、大きめのスーパーまでステーキ肉買いに来た」
モラ夫「ふーん」
それから30分ほどで帰宅しました。嫌な予感は当たり、夫の機嫌はとてつもなく悪いものでした。
モラ夫「遅い。なんで隣駅まで行ったん?いつものとこは事前に電話で確認しなかったの?ほかの献立にすればいいやんか」
「私も仕事で疲れていたし、またゼロから献立考える元気なかったんよ」ほかの献立にしたら、何でステーキじゃないのか、わざわざお母さんも呼びつけて、と文句を言うにきまっています。何をしても責めるのです。
モラ夫「にしても遅いやん。もう俺夕飯いらんわ。こんだけ待たされて嫌んなるわ」
「え、ステーキやで??わざわざ買ってきたのに。喜ぶと思って」
モラ夫「いや、もういらん」

家事をしないのに果てしなく上から目線

結局義母と私と娘でステーキを食べることになりました。
義母「おいしいステーキなのに、あの子は馬鹿だねぇ、ごめんね」
「いえ大丈夫です。遅くなっちゃった私が悪いんで」
元夫は、食事が終わるころに部屋から出てきて、無言でカップラーメンを作り始めました。
(逆よりいいや。ステーキ食べさせないって言われるよりは)
いろいろ理由をつけて納得しようと思いましたが、どう考えても私は悪くありません。ベストを尽くしたし、それにいつもより30分遅かっただけです。そこまで怒られるものでしょうか?
私のモヤモヤと怒りは収まりませんでした。家で何もせずに黙って待っていた人に、文句を言われる筋合いはありません。明らかに夫の方が間違っています。しかし今主張したところで、謝らないし不機嫌になって終わりなのです。正論をぶつけても結局変わらず、精神的に疲弊するのは目に見えています。


配偶者がモラハラだと共働きでもワンオペが当たり前 

 モラ夫は当然のようになにも家事育児をしません。「皿洗いだけは死ぬほど嫌」と言っていましたが、皿洗いだけではなく、トイレやお風呂や排水溝の掃除、ごみの分別、買い物、料理、掃除、洗濯なにもしません。

 献立を考えて買い物に行って作って食べさせて後片付け。夫はなにも手伝いません。共働きです。私は仕事だって正社員で頑張っているし元夫より稼ぎがありました。もちろん元夫も彼なりに仕事を頑張っているので、そこは平等です。出勤してから、帰宅後娘を寝かせる22時近くまで、文字通り休む暇もありませんでした。夫は当たり前のようにソファに座って携帯ゲーム。私だって座りたい。でも一度もできる環境ではありませんでした。

 この頃から、年に数回、職場や家で気を失って倒れるようになりました。体力も限界だったのです。

次回に続きます。


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