「シルビオ・ゲゼル入門」を読んだ。

「シルビオ・ゲゼル入門」を読んだ。

シルビオ・ゲゼルは123年前の1900年に「自然的経済秩序」を書いた、ドイツ人実業家・思想家だ。
この著作の中で、地域経済において減価する貨幣を提案している。

私は20年ほど前に『エンデの遺言「お金を根源から問うこと」』(河邑 厚徳 , グループ現代著 2000年)で、その減価する貨幣の事を知った。

食品や、家具など人の生活に必要な商品は、時が経つとともに価値が下がっていく。一般的に消費される資材は時間の経過とともに劣化して、価値が下がるのだ。
しかし、貨幣だけは価値が下がらないうえに、貸すと利子が上乗せされ、増殖していくという特殊な商品となっている。

経済は、お金が流通することで景気が良くなるのだが、貨幣の持つ自己増殖の性質がゆえに、余分にお金を持った人は使わずに溜め込んでしまう。
いわゆるエッセンシャルワーカーは効率を求められ、限界ギリギリの状態で働かされるのに対し、貨幣の自己増殖を助ける「ブルシットジョブ」(クソどうでもいい仕事)をする人たちは高給取りになる。
(「ブルシットジョブ」については以前紹介しているので、そちらをご参照願いたい)https://note.com/pxy02337/n/nf153ac81fd06

ゲゼルはその貨幣の性質に対して、消費財と同様に減価する貨幣システムを提案している。
貨幣に定期的にシールを貼らないと使用できなくなり、時間とともに価値が下がるという仕組みだ。
ゲゼルの死後、地域通貨においてその試みを行った人々はいろいろあったようだが、私は、シールを貼るという仕組みが、その貨幣が流行らない理由なのではないかと感じていた。

しかし、2008年に生まれたブロックチェーンの技術により、仮想通貨によってその減価する地域通貨がようやく流通可能なものになるのではないかと期待している。デジタル貨幣に使用期限を刷り込むのである。
ベーシックインカムを実現しようとしたら、必ずそのシステムが必要になるだろう。

私は会社員時代に、営業成績が毎年「成長しなければならない」と言われ続けた。
「成長ってなんですか?」と訊いたところで、それに応えられる上司は一人も居なかった。

いま、成長の限界の先に新たな貨幣システムをどうやったら構築できるのか、自分なりに地に足をつけて取り組んでいきたい。

ありがとうございます。引き続き、情報発信をしてまいります。