愛情をずっと抱き続けるのは困難に思える。

変わらずにそこにあると思えばなおさら、空気のように透明に見える。

それに触れることが出来なくなったとき、その愛情ははじめて、色や形が鮮明になるのかも。

立ち入り禁止になった近所の海。
突然閉店した小さな喫茶店。
割ってしまったプレゼントのコップ。
いなくなってしまったあの人。

ある日突然、私の世界から消えると、動揺する。困惑する。悔しい。

でもしょうがない。毎日それを気にかけることなんてできない。

それでも、もっと触れていたかったなって思ってしまう。

できることなら時間を巻き戻して、惜しみなく愛したい。けど不可能だ。

だからこそ、「今」を大事にしなきゃ。愛があるなら「今」それを伝えなきゃ。

行きたい場所があるなら、行こうよ。
何度も注文したコーヒーをまた飲んで、おいしいってマスターに伝えて。
しまっていた贈り物を眺めて、もらったあの日を思い出して。
会えていないおじいちゃんに電話して。ありがとうって言おう。
喧嘩したままのあの子に、次あった時じゃなくて今連絡しよう。

愛は強い。愛は消えない。でも、伝えなきゃわからない。

なんだか照れくさいけど、勇気がいるけど、愛っていうのは特別なものじゃなくて、いつも渡し合っていくものだと思う。

今この瞬間も、目には見えない愛が、わたしを、みんなを、すべてを包んでくれているはず。

ここに、ほらそこに、愛はあるんだよ。わたしはあなたを愛しているよ。

伝えたいな。伝わってほしいな。

世界がもっと、愛で包まれた優しいものになればいいな。