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2023年3月に読んだ本

青山美智子『お探し物は図書室まで』ポプラ社

久しぶりにこれはいい本に出合った、と感じた本。
金曜日に郵便受けに放り込まれるタウン誌の片隅に
地域の図書館の司書さんのおすすめ本として紹介されていた。
やりたいことはいろいろあるけど前に進めない、
あれこれ言い訳してしまう人に、すっと背中を押してくれるような本。
本の中に出てくる司書の小町さんに、元の職場のWさんが重なった。
愛想がいいわけではないけど、よく人を見ていてすっと助けてくれる。
本に作者からのメッセージカードがしおりのように挟んであって
「それぞれが回り回って、
いちばんいいところで交わえる。
お探し物が見つかりますように。」
と書いてあり、ちょっと感動してしまった。
この本を通して、作者からの祈りを受け取ったような気持ち。
何か一歩でも動いたら、世界が変わってくるかもと思えるようなお話。
読んだ後、気になっていた本屋さんを訪ね、
気が付いたら、「本屋がやりたいんですよね。」とつぶやいていた。

花田奈々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』河出書房新社

ブルータスで見て気になっていた本屋さんのオーナーさんが作者。
本自体も数年前本屋で見かけたときに気になっていたのだけど
買わないでいるうちに見かけなくなってしまっていた。
出会い系サイトに飛び込んで知らない人とガンガン会っていく
バイタリティ&コミュニケーション力、本の知識と愛がすごい。
ついつい「私には無理かも・・・」と思ってしまいそうになるけど、
10年前の話→からの昨年本屋をオープンらしいので、
10年後の私はわからない、と思うようにしよう。

養老孟司『「自分」の壁』新潮社

自分探しという言葉に、迷わされているときにガツンと来る一言。
「自分探し」の答えがあるかと思って読んだら、
「そんなものはそもそも存在しない」と養老先生からご回答。
・「自分」とは地図の中の現在位置の矢印程度
・「本当の自分」がどこかに行ってしまっているとして、じゃあ、それを探しているのは誰なんだよ
・世間に押しつぶされそうになってもつぶれないものが「個性」
・自分がどこまでできるか、できないか。それについて迷いが生じるのは当然
・社会で生きるというのは、そのように迷う、ということ。

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