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「たった1つの正解」を引き当てるのは不可能って話

”人生は選択の連続である(Life is a series of choices)”

というシェイクスピアの『ハムレット』で出てくる有名な言葉があります。個人的にすごく好きな言葉の1つですし、実際その通りだと思います。

”選択”には「二度寝をするか、起きてジムに行くか」みたいな日々の小さな選択から、進路先や就職先、結婚相手を選ぶといった、いわゆる大きな選択まで大小さまざまなものがあります。

以前は、その中でも「小さくて簡単な選択」というところにフォーカスしました。


今回は、人生の大きな分岐点になるような「大きな選択」について私見を綴ってみたいと思います。


<たった1つの正解を引くのは不可能>

予め断っておきますが、過去の選択に対して「自分はベストな選択肢を選び取った自信がある!」という人を否定するものではありません。

むしろそれほど過去の自分の選択に対して肯定的に捉えられているのは非常に素晴らしいことだと思います。

これはどちらかというと、今まさに選択の岐路に立たされて悩んでいる人や、重大な選択が刻々と近づいてきて不安を抱えている人、に向けたものです。


さて、大きな選択は往々にして「選択肢が多い」という特徴があります。

大学進学であれば、大学の数は短大等も含めると1,000以上ありますし、これに学部や学科の分けも含めると膨大な数になります。就職先も何百万という中から1社を選ぶことになります。パートナー選びなんか、対象で言えばそれはもう途方もない数が母数になりますよね。

こうした中で、しばしば感じるのが「その中からたった1つだけの、自分にとってのベストな選択肢を選び取らなくちゃいけない」というふうに考えている人が少なくないということです。

結論、それは不可能に近いと思います。

というより「たった1つの正解なんてそもそも存在しない」という方が正しいかもしれない。

どういうことかと言うと、
詰まるところ、「選択がもたらす結果の比較ができないから」です。

現実的には、アニメなどでよく見る「パラレルワールド」なるものは存在しないため、当然ですがある一つの選択肢を選んだ場合、他の選択肢を選んでいた場合の未来は消滅します。

【A】という選択肢を選んだ人が数年後に、「あの時【B】を選んでいれば…!」と後悔したとて、【B】を選んでいたら結果が今より良くなっていたかどうかなんてわかりません。もしかすると今よりもっと悪い結果になっていた可能性だって十分にあり得ます。

結果が比較できない以上、「何が自分にとっての最も良い選択肢だったか」なんてわかりようがありません。

これが「たった1つの正解を選び取るのが不可能」である理由。


<ハズレを引かないのが大事>

上記でいくと、「だったら全部サイコロ転がして適当に決めればいいのか」という極論に発展しかねませんが、そこは否定しておきます。

どんな選択がその後自分の人生にどう影響していくか、これは時間を経てみないとわかりませんが、「自分の人生をより良くしてくれるであろう選択肢を選ぶこと」は当然ながら必要なのだと思います。

まぁシンプルに「自分のやりたいことや大事にしたいことから、明らかに遠ざかりそうな選択肢をあえて選ぶ必要はないよね」ということなんですが、
ただこの時に「たった1つの正解を選ばなければ」と気負う必要はないという話。

要するに「たくさんの選択肢の中から”1番の当たり”は引けないけど、ハズレを引くのは避けたほうがいいよね」ということ。

換言すると「ハズレさえ引かなければ何を選んでもいい」わけです。

となると大事になってくるのが、ハズレの選択肢を振るい落とすためのフィルターです。

SUUMOとかで家探しをするときの「家賃○○円以下」とか「駅徒歩○○分以内」とか、ああいったイメージですね。

このフィルター(選択軸)の解像度が高ければ高いほど、より的確にハズレの選択肢を省けるわけです。

家探しをするときに「オシャレな感じの家」とか「雰囲気のいい街」とか言われてもスーモくん困っちゃいますよね。これでは絞り込むに絞り込めない。

ここの解像度の高さによって、残される選択肢の数が決定的に異なります。「ジャム実験(スーパーでジャムを24種類用意するより6種類だけ用意した方が売れる)」で有名なシーナ・アイエンガー教授も言っていますが、「選択肢は豊富にあった方が良いと思われがちだが、実際はたくさんの選択肢を目の前にすると結局のところ何も選択できなくなる」というのが真理です。

ちゃんと深く比較検討できるのはせいぜい7±1程度。これ以上は選択後の納得感や選択への満足度を下げてしまうとのこと。このレベルまではとにかく選択肢を絞り込む(ハズレを取り除く)のが良いです。

あとは、もう「えいやっ!」で決めてしまって差し支えないでしょう。
なぜならどれが正解かはわかんないし、どれを選んでも大差ないから。


自分の中で選択肢を絞り込むフィルターがしっかりしてる人は、決断も早くて後悔も少なく、何より自然と「自分が選んだ選択肢を”正解”にしていくんだ」というマインドが備わっていきます。


こういった人が、より楽しく前向きに人生を生きることができるのではないでしょうか。



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