知らんゲーム① / バックギャモン

「知らんゲーム」、すなわち、ルールを全然知らないゲームを見るのが好きだ。そういったゲームはなるべく具体的ではなく抽象的な器具を使っているものだと良くて、アナログな機構だと嬉しい。

何が好きなのかというと、いろんな要素があって、たぶん一番重要なのは「所作」だ。麻雀だったら、牌をつまんだり、整理したり、切ったりする際の手つき等々が「所作」ということになる。ゲームによってこの所作というのは独特のものが生まれがちだ。アナログじゃないけど、パチスロなんかは所作が結構かっこいいので、人がやるのを見ていてちょっと楽しいところもある。

しかし、麻雀とかパチスロだと、ルールがわかっているので、どうしてもゲームの内容を見ることになってしまう。優勢か劣勢か。良い配牌か。みたいな話だ。

「ルールを全然知らない」ゲームだと、何が良いって、この「所作」だけが目に入ってくるので、なんていうか、ジェネラティブ・アートをぼーっと眺めるような楽しさというのがある。

さらに、こういった「ルールを全然知らない」ゲームは、何しろルールがよくわからないので、プレイヤーが「やったー」とか「やっちまったー」とか、喜んだり落ち込んだりする根拠が全然わからない。何でそこで盛り上がるのかがわからない。それがまた面白かったりする。

実はそんな「ルールを全然知らないゲームを眺める」を入り口にして私がハマったのが、バックギャモンだ。ニューヨークの公園では、春になるとチェスとバックギャモンのテーブルに人が集まり始めて、お金を賭けたりして楽しんでいる。チェスはルールを知っているので、眺めていてもあんまり楽しくなくて、バックギャモンはさっぱりわからないので、よく眺めていた。

バックギャモンの所作というのはそれはもう、超かっこいいのだ。筒にサイコロを入れてカラカラする所作、コマを動かす手付き、ダブリングキューブを回転するときの感じ。いろんなプロの映像がYouTubeに上がっているので見て欲しい。すごくいい。

で、自分もあの所作を身につけたくって、バックギャモンのルールを覚えてニューヨークのミートアップとかに顔を出したりし始めた。ところが、ルールを覚えると、所作以上に、バックギャモンというゲームが異常に面白いことに気づいてしまい、反面、いつしか所作そっちのけで観戦したりするようになってしまった。

バックギャモンは、わかったような口を聞くとプロの方などに怒られてしまうかも知れないが、1ゲームで言うと運70%、実力30%くらいのバランスで成り立っていて、そのバランスが人生というゲームのバランスに近いように思える。そして、当然ながら、ゲームを重ねていくと結局は毎ゲーム30%の実力が物を言ってくる感じも現実世界に近い。

1000文字になったのでつづく。

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