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0727「STUDIO 8の走馬灯」

昨日は、前の晩が「徹底的に飲んだ」日だったので、そこそこ眠くて、眠いながらも朝から勉強をしていたが、寝落ちしてしまった。以前、BASSDRUMの長洞さんが公開したTouchDesignerの習作みたいなやつの再現の仕方がわからなかったので、「自分はこんなんすらできないのか泣」と思って悔しくて頑張っていたが、結局わからなかったので、軟弱ではあるがソースコードをもらって、いろいろ理解しつつ、見ないで再現はできるようになった。下記が長洞さんのやつ。

その後、長男を個別指導学院的な、大学生の先生が差しでいろいろ教えてくれるやつに連れて行きつつ、下の子供たちとゲーセンに行って「電車でGO!」をやったりして過ごし、妻の1人の時間を担保したりした。日本のゲーセンは素晴らしい。ついつい金を使ってしまう。

日本の家に帰ってくると、昔の自分の人生の痕跡をちょこちょこ見つけることができる。今日は、マクロメディアの「STUDIO 8」のパッケージを発見した。もうアドビと一緒になってしまったマクロメディア社が2005年にリリースした、Flash 8とかDreamWeaverとかいろいろ最新バージョンのマクロメディア製品(ソフトウェア)が入っているパッケージだ。すっごい高い。今調べたら126,000円もしたらしい。こういう制作系のソフトも、今みたいなサブスクリプションモデルはない時代だ。

当時の私は、基本的にはInDesign(あるいはQuarkXPress)とかIllustratorとかPhotoShopを使って雑誌のレイアウトとか文字組とかをやるのがメインの仕事で、たまーにFlashなどを触ることもあったが、最新のものを触る必要がなく、使っているのは単品で買った古いバージョンのものだった。

しがないフリーランスのデザイナーに126,000円は非常に高いが、ちょうどその頃の私は、初めてFlashを触ってプログラムというものを仕事としてやってみて、デジタルの制作会社に就職活動を始めたくらいのタイミングだった。「STUDIO 8」はウェブっぽいソフトを集めたもので、ある種、「自分はウェブをやるのだ!」という腹を括って、「えいっ!」と126,000円を投資したのだ。そのときの「STUDIO 8」が残っていた。

「STUDIO 8」に入っているFlash Professional 8は、Flashの歴史上とても重要なリリースで、このバージョンからBitmapData.draw()とかができるようになって、ビットマップの操作や、メモリにビットマップを突っ込んでいろいろやったりとかができるようになった。ビットマップパーティクルみたいな表現もできるようになった。当時は、そういった新しい「技」を活用した広告ウェブサイトなどが、競うようにリリースされていた。

もう画像が小さくてどういうことかよくわからないが、バスキュールさんと、私がその後一緒にPARTYをつくることになる伊藤直樹さんとかがつくった「Saabは、細部だ。」というコンテンツは、当時としてはすっごく良くできていたインタラクティブムービーコンテンツで、途中で雪の結晶のパーティクル表現とかが出てくるのだが、それがめちゃくちゃ綺麗で、感動させられた。が、このコンテンツはすごいことに、当時確かまだ正式にリリースされていなかったFlash Player 8必須というもので、今考えると、一部のリテラシーがすごく高い人しか見れないようなものだったはずだ。それだけみんなが、Flashのちょっとした機能を先に先に取り入れようとしてがんばっていた。

thaさんとかspfの鎌田さんとかがつくっていた「HONDA SWEET MISSION」もちょうど同じ時期で、地球の上に世界中にいる特派員のアバターを置いてそれをクリックするとPodCastが聴けるみたいなサイトだった。これもすごくって、球体上にアバターを置く際の3D演算は新しかったし、それ以上に、地球のテクスチャが球体みたいにちゃんとゆがんで表示されるようになっていて、これは当時としては半端なく新しい表現だった。これも、Flash 8のビットマップ系の機能がないとできなくて、確かDesplacementMapとかを使っていたんだった気がする。

で、「STUDIO 8」発表時に、「STUDIO 8」自体のプロモーションコンテンツとして発表されていたのが「Eight the Project」で、これはすごくって、raku-gakiの西田さんとか、wildcardの高木さんとか(高木さんはたまにBASSDRUMの総会にも来てくれるので嬉しい・・・)、今ではしいたけ占いのタロアウトさんとか、ピクルスのタナカさんとか、私が当時独学用に使っていたFlashの参考書を書いていたトザキさんとかが集まってFlash 8の機能を使ったいろいろ(なんか全部すごいやつだった。細かく覚えていないけど)を競作して、さらにそれをCBCの栗田さんとか9zakuさんとかがイベントをやったりしてプロモーションをする、みたいなものだった。これは当時のFlashクリエイターワナビーたちにとっては鼻血が出るようなラインナップだった。

で、私はこの「Eight the Project」にノックアウトされて、126,000円出して「STUDIO 8」を購入した。購入して、六本木ヒルズで開催されていた「Eight the Project」のイベントに行った。高木さんとか栗田さんの本物を見たのは、そのときが初めてで、Flashクリエイターワナビーだった私は鼻血がでるほど感動した。そのイベントに、全く意味がないのに、この「STUDIO 8」のパッケージをカバンに入れて行った記憶がある。サインでももらおうと思ったのだろうか。

Flashはなくなっちゃったけど、当時夢見ていた、デジタルでものをつくる仕事には就くことができた。生計も立っている。良かった。業界の形もいろいろ変わったが、素敵な仕事を続けさせて頂いている。まだ先はあるし、別にやりたいことも生まれけれど、良かったなあ。

・・・といういろいろが、自宅の片隅で「STUDIO 8」を発見した瞬間に、走馬灯のようによみがえった。特に今日は日記に書くことがなかったので、「あ! この走馬灯を全部書いて済まそう」と思ってそのまま走馬灯を転写した。といいつつ、今をがんばらなくてはならない。

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